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Sunday, February 17, 2013

マネーボール / Moneyball



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メジャーリーグの弱小貧乏球団であったアスレチックスに『マネーボール理論』を適用することで、より少ない年俸総額で優勝を狙える強豪チームへと変革させたビリー・ビーンの実話小説を映画化した作品。主演にはブラッド・ピット。

超高校生選手としてメジャーでの活躍を嘱望されるも、選手として思うような結果を残せず、引退して自らチームのスカウトに志願し、現在はアスレチックスのGMを務めるビリー・ビーン。2001年の地区優勝争いでチームは惜しくも敗退。しかも、チームの主力を高額年俸で他球団に引き抜かれてしまい、補強選手を獲得することが急務となっていたが、チームに潤沢な資金など無くビリーは頭を抱えていた。そんなある日、トレード交渉のため訪れたインディアンズにてピーター・ブランドという男と出会う。野球経験の全くないピーターはイェール大学経済学部卒業で、出塁率や選球眼を重要視しバントを完全否定するといった、古典的野球観とは全く異なる手法により選手評価をしていた。ビリーはピーターをチームへ引き抜くと共に、データを重視した全く新しい手法でチーム改革を断行していく。だがそれは同時に、古き伝統を重んじる古参のチームスカウト、選手や監督らと軋轢を生んでいくことになるのだが…。

ビリー自身は勿論、チームも選手も全て実際の実話を元にした脚本だけあって、一癖も二癖もある選手やスカウト陣との軋轢にも動じず、自らの信念に従ってチームを『マネーボール理論』で変えていく過程にリアリティーを感じるが、一方、肝心の『マネーボール理論』そのものや、チームが変わっていく過程はさらりと描かれており、もう少し詳細が欲しいところ。かと言って、スポーツもので良くある、困難を乗り越えて掴み取る感動の勝利、という感じでもないので、それを期待する向きにとっても少々物足りない。ストーリーをどちらかに強めに振っておけば、もう少し個性が出たかと思う。(SS)


製作: 2011年 アメリカ 133分
監督: ベネット・ミラー / Bennett Miller
製作: 
出演: ブラッド・ピット / Brad PITT, ジョナ・ヒル / Jonah HILL, ロビン・ライト / Robin WRIGHT, フィリップ・シーモア・ホフマン / Philip Seymour HOFFMAN, クリス・プラット / Chris PRATT, ケリス・ドーシー / Kerris DORSEY, キャスリン・モリス / Kathryn MORRIS
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: Blu-ray

インファナル・アフェア / 無間道 Infernal Affairs



ハリウッド史上最高額でリメイク権が落札された潜入捜査サスペンス・ドラマ。犯罪組織から警察へ潜入した男と警察から犯罪組織へ潜入した男。善と悪を代表する対照的な二人の数奇な人生と交錯を描いた香港ノワールの名作。主演にアンディ・ラウとトニー・レオン。なお、ハリウッド映画の『ディパーテッド』やTBSとWOWOWの共同制作作品『ダブルフェイス』は、本作のリメイク作品。

香港マフィアのボスに拾われた青年ラウは警察に忍び込むべく、ボスによって警察学校へと送り込まれる。一方、青年ヤンは警察学校を突然退学となってしまうが、これはヤンの能力を見込んだ警視によって仕組まれたことであり、彼はマフィアへの極秘潜入捜査を命じられる。ラウとヤンの2人の青年は自らを偽りつつ、それぞれの組織の深部へと潜入していく。しかし、とある麻薬事件の捜査を切っ掛けにマフィアと警察双方が互いの組織に潜り込んだスパイの存在に気付き始める…。

実はこの作品を観る前にハリウッド・リメイク作の『ディパーテッド』は既に鑑賞済だったが、ストーリーの細かいところに至るまで本作とほぼ一緒であったため、本作の脚本の質の高さが証明されることとなった。一方、警察学校における二人の生い立ちや、キーとなる麻薬取引事件後の警察署におけるシーンなど、少し説明不足かなとも感じるが、102分という時間に詰め込まれた凝縮感とスピード感は観る者を裏切らず、意味深長な最後のテロップが残す余韻が素晴らしい。(SS)


製作: 2003年 香港 102分
監督: アンドリュー・ラウ / 劉偉強 / Andrew LAU
製作: アンドリュー・ラウ / 劉偉強 / Andrew LAU
出演: アンディ・ラウ / 劉徳華 / Andy LAU, トニー・レオン / 梁朝偉 / Tony LEUNG, アンソニー・ウォン / 黄秋生 / Anthony WONG, エリック・ツァン / 曾志偉 / Eric TSANG, サミー・チェン / 鄭秀文 / Sammi Cheng,  ケリー・チャン / 陳慧琳 / Kelly CHAN, チャップマン・トー / 杜汶澤 / Chapman TO,  エディソン・チャン / 陳冠希 / Edison CHEN, ショーン・ユー / 余文樂 / Shawn YUE
ジャンル: クライム, サスペンス
鑑賞方法: DVD

Sunday, February 10, 2013

ラスベガスをぶっつぶせ / 21



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『カード・カウンティング』と呼ばれるブラックジャックの必勝法を研究してラスベガスで大金を手にした、マチューセッツ工科大学(MIT)の大学生・卒業生による『MITブラックジャック・チーム』の実話を元にした小説を映画化。主演はジム・スタージェス。ヒロインにケイト・ボスワース。オスカー俳優のケヴィン・スペイシーが出演兼製作として名を連ねる。原題の『21』とはブラック・ジャックの通称から。

MIT卒業間近の学生ベンは、成績優秀で親友とコンテスト用のロボットの研究をし、誕生日には男友達だけでお祝いをする冴えない学生。そんなある日、ベンはミッキー・ローザという教授にブラックジャック必勝チームへの参加を誘われる。一度は断ったベンだが、卒業後に進学する予定の、ハーバード大学医学部学費の目処が全く無かったこともあり参加を決意する。ブラック・ジャック必勝法である『カード・カウンティング』を身に付けたベンは、ローザ教授に天才と言わせるほどの天賦の才能で、週末のラスベガスで大金を稼いでいく。しかし、大金を手にしラスベガスでの派手な生活に慣れてしまい、ボストンでの地味な学生生活は余りにもつまらなく身が入らない。そして、ふとした失敗が原因でロボットコンテストチームから追い出されてしまう。そんな週末にいつものようにラスベガスに来たベンは、気落ちしたせいからかとんでもないミスを犯してしまう。…。

面白そうなテーマを持つストーリーだが、出来上がった映画はそうでもない。『カード・カウンティング』に関する説明も詳しいし、ラスベガスでの実践風景もテンポが良いし、キャスティングもピッタリ。でも何か足りない。ラスベガスでの稼ぎ額といい、カジノ側がベンをカタに嵌めるシーンといい、極限に振らない中途半端なところが本作の物足りなさだろうか。ただ、最後はアメリカ映画らしく、皆がハッピエンドで終わる結末で気持よく見終える事ができた。(SS)


製作: 2008年 アメリカ 122分
監督: ロバート・ルケティック / Robert LUKETIC
製作: ケヴィン・スペイシー / Kevin SPACEY
出演: ジム・スタージェス / Jim STURGESS, ケイト・ボスワース / Kate BOSWORTH, ローレンス・フィッシュバーン / Laurence FISHBURNE, ケヴィン・スペイシー / Kevin SPACEY
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: Blu-ray

テルマエ・ロマエ (映画) / Thermae Romae (film)



ヤマザキマリの同名人気漫画を映画化した作品。古代ローマの浴場 ― テルマエの設計技師であるルシウス・モデステュスが現代の日本にタイムスリップする事で巻き起こす騒動を描くコメディ・ファンタジー作品。コミカルな役を演じる主演に阿部寛とヒロインに上戸彩。さすがに古代ローマをテーマにした作品らしく、北村一輝、宍戸開、市村正親に竹内力と濃い顔ぶれが並ぶが、竹内力は何故か日本人役。

生真面目で古風な設計しかできない古代ローマの浴場設計技師ルシウスは、ふとしたきっかけでローマの公衆浴場から21世紀の日本の銭湯に突然タイムスリップしてしまう。そこでルシウスは目にしたものは、お風呂を便利に楽しくするために多くの工夫が施された設備であり、ローマのテルマエでは決して有り得ないものであった。その後あることをきっかけに古代ローマに舞い戻ったルシウスは、日本の銭湯で得たアイデアを元に新しいテルマエの設計を行ったところこれが大好評。その後も幾度と無く古代ローマと現代日本を往復し、次々と新しいアイデアをローマのテルマエに導入したルシウスの高まる名声は、遂に時のローマ皇帝の耳にも届き…。

古代ローマの銭湯のアイデアは現代日本の銭湯から得ていた!という、『神々の指紋』的なキャッチなテーマが観る意欲を掻き立てる。とは言え、シナリオ自体は相当にコメディ方面に振ってあるが、歳を重ね生真面目役が似合ってきた阿部寛が見事に乗っかっており相当に笑える。一方、前半のアップテンポで心地良い展開が後半では一変、とまでは言わないが、少々笑いを抑えつつ真面目な、言い方を変えると冗長な展開になるのが残念。次回作を匂わせるラストの切れ方は嫌いではないが、皇居のお堀にでもタイムスリップしたのだろうか。風呂が全然関係ないところにも移動するのかと、一貫性に関する疑問が湧いてきたがコメディだからまぁ許そう。ストーリー以外の仕込みネタで笑いを取ろうとするTVっぽく映画らしくないところは、好き嫌いが別れるところ。(SS)


製作: 2012年 日本 108分
監督: 武内英樹 / Hideki TAKEUCHI
製作: 
出演: 阿部寛 / Hiroshi ABE, 上戸彩 / Aya UETO, 北村一輝 / Kazuki KITAMURA, 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 宍戸開 / Kai SHISHIDO, 笹野高史 / Takafumi SASANO, 市村正親 / Masachika ICHIMURA, キムラ緑子 / Midoriko KIMURA
ジャンル: コメディ, ファンタジー
鑑賞方法: Blu-ray

Friday, February 1, 2013

影の交渉人 ナニワ人情列伝 3 法廷への階段



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ヤメ検の城崎竜二と6人の元犯罪者達で構成された『影の交渉人』達の活躍を描くシリーズ第3作目はシリーズ最終作。『ミナミの帝王』シリーズとは異なり本シリーズは単作では楽しめない。本作は3部作の最終章であり、物語をきちんと理解するには1作目と2作目を観なければならない。特に2作目と3作目は繋がりが強く、1つの作品だと思って違いない。

3部作最終作の本作は、城崎が検察官時代に追いかけた西大阪都市開発事業をめぐる汚職事件にストーリーを戻す。当時、重要参考人だった池山を法廷へ引きずりだすべく調査を進めるが難航していた。一方、前作でのNPO法人による貧困ビジネスお一連の事件で、事件のキーを握っていた日雇い労働者の大西は、あるネタで池山を脅して金を受け取っていた。大西から話を聞き出そうとする城崎だが、その刹那大西が何者かに殺されてしまう…。

『ミナミの帝王』のコンセプトを受け継ぎ、監督萩庭貞明に主演竹内力というコンビで製作された本シリーズだが、残念ながら『ミナミの帝王』シリーズの影も踏めない作品となったようだ。誰が言ったか知らないが、コンセプトを受け継いだとは到底思えないし、単作でも楽しめない。エンディングの『交渉』で最後に巨悪をカタに嵌めるシーンも、本作では交渉どころか裁判所に送り込むのが目的なので、交渉は一切なし。こうした一貫性の無い展開がシリーズ化されなかった理由だろうか。(SS)


製作: 2010年 日本 84分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
法律監修: 山之内幸夫
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 桂ざこば / Zakoba KATSURA, 山口祥行 / Yoshiyuki YAMAGUCHI, 城明男 / Akio JOE, 大久保貴光 / Takamitsu OKUBO, 中野裕斗 / Yuto NAKANO, 勝矢 / Katsuya, 野村祐人 / Yuto NOMURA, 梅沢富美男 / Tomio UMEZAWA, 清水紘治 / Koji SHIMIZU, 鶴見辰吾 / Shingo TSURUMI, 螢雪次朗 / Yukijiro HOTARU, 芝本正 / Tadashi SHIBAMOTO, 清水紘治 / Koji SHIMIZU, たむらけんじ / Kenji TAMURA, 蟷螂襲 / Shu TORO, 金子舞優名 / Mayuna KANEKO
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD


影の交渉人 ナニワ人情列伝 2 秘密を知る男



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ヤメ検の城崎竜二と6人の元犯罪者達で構成された『影の交渉人』達の活躍を描くシリーズ第2作目。前作で説明された大阪地検特捜部時代に城崎が扱った事件を中心としたバックグラウンドはそのままに、新たな事件が発生し依頼者から相談を受けた城崎が、交渉人達を使って調査を行い、最終的に交渉を行うスタイルで展開する。

今回のテーマは『貧困ビジネス』。NPO法人を隠れ蓑にした極道連中は貧困者を次々と捕まえてきては、就職安定資金融資、あぶれ手当や生活保護のさや抜きを行い、彼らをアパートに半軟禁状態で閉じ込めて管理していた。アパートの家主売却を行いたいのだが、全く応じる気のないNPO法人に困り果てて、城崎の元を訪れる…。

日雇労働被保険者手帳の取得、26日ルールや雇用保険印紙の裏売買など、あぶれ手当詐欺や生活保護/失業手当のさや抜き実態が細かく説明されており、貧困ビジネスの実態が良く描かれている。今さらだが、シリーズ2作目とは言っても、バックグラウンドやストーリーの流れを鑑みるに、本作はシリーズ3部作の2作目と言う位置づけの作品だろう。前作でもそうだったが、桂ざこばの演技がどうにもこうにもショボイ。しかもショボイのにキーとなる役というのがどうにもしっくりこない。また、最後の『交渉』シーンは、法律で相手をカタに嵌めつつ、最後の決め台詞は『法律度外視の交渉』というのも矛盾したところ。敵と対峙する最後のシーンは重要でかつ最も山場となるだけに、もう少し練った手法で魅せるべき。(SS)


製作: 2010年 日本 84分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
法律監修: 山之内幸夫
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 桂ざこば / Zakoba KATSURA, 山口祥行 / Yoshiyuki YAMAGUCHI, 城明男 / Akio JOE, 大久保貴光 / Takamitsu OKUBO, 中野裕斗 / Yuto NAKANO, 勝矢 / Katsuya, 野村祐人 / Yuto NOMURA, 鶴見辰吾 / Shingo TSURUMI, 正司花江 / Hanae SHOJI, 四方堂亘 Wataru SHIHODO, 佐川満男 / Mitsuo SAGAWA, 螢雪次朗 / Yukijiro HOTARU, 梅沢富美男 / Tomio UMEZAWA, 芝本正 / Tadashi SHIBAMOTO, 下元年世 / Toshiyo SHIMOMOTO, アンドレ / Andre, 蟷螂襲 / Shu TORO, 金子舞優名 / Mayuna KANEKO
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD