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Friday, March 7, 2014

脳男 (映画)

★★★★☆

江戸川乱歩賞を受賞した首藤瓜於による『脳男』の映画化作品。原作は未読ながら興味を惹かれる造語のタイトルが気になっていた。監督は瀧本智行。主演はジャニタレの生田斗真。個人的にジャニタレは余り好きではないのだが、この方はジャニーズにしては珍しく、アイドルというよりも俳優風情が強い感じがするのは自分だけだろうか。共演は江口洋介、松雪泰子、二階堂ふみなど。

刑事の茶屋は無差別連続爆破事件の容疑者が潜伏していると思われる倉庫へ踏み込んだものの、そこに居たのは身元不明の男一人だけで、彼以外の者を取り逃がしてしまう。連続爆破事件の共犯者と思われるこの男は、名を鈴木一郎と名乗ったが、その犯行の異常性から精神鑑定を受けることになった。しかし、鑑定を進めるにつれ、一切の感情を表へ出さない鈴木に興味をもった鑑定医は彼の過去を調べ始めた。すると、彼は天才的な頭脳と驚異的な肉体を併せ持ちながら、呼吸以外の自発的行動を取ることが全く出来ず、『脳男』と呼ばれていたことが分かった…。

猟奇的な連続殺人犯の犯行動機がよく分からない。共犯者も含めてその辺に説明不足と曖昧さがあるが、別に主人公ではないので、省略されててもストーリーの核にはあまり影響ないのかもしれない。映像的には多量の火薬を使った爆破シーンの映像処理が秀逸で日本映画には珍しい。にも関わらず、登山のシーンにおける映像処理は非常にチープで興醒めする。こういう細かいところの品質が全体印象に与える影響は小さくないと思う。脳男の存在には無理を感じないしリアル感も十分あるが、幾ら無痛症だとしてもあんなに派手に車に轢かれたら幾らなんでも死んでしまうだろう。最後の山場にああいうアンリアル感満載のシーンを入れ込むあたりが本作の脚本レベルを示しているが、勧善懲悪では片付けられない脳男の存在が圧倒的にユニークで、原作の質の高さに救われている。(SS)


製作: 2013年 日本 125分
原作: 首藤瓜於 / Urio SHUDO『脳男』
監督: 瀧本智行 / Tomoyuki TAKIMOTO
出演: 生田斗真 / Toma IKUTA, 松雪泰子 / Tomoko MATSUYUKI, 江口洋介 / Yosuke EGUCHI, 二階堂ふみ / Fumi NIKAIDO, 太田莉菜 / Rina OTA, 染谷将太 / Shota SOMEYA, 勝矢 / KAtsuya, 甲本雅裕 / Masahiro KOMOTO, 光石研 / Ken MITSUISHI, 小澤征悦 / Seietsu OZAWA, 石橋蓮司 / Renji ISHIBASHI, 夏八木勲 / Isao NATSUYAGI
ジャンル: クライム, サスペンス, アクション
鑑賞方法: DVD

Tuesday, March 4, 2014

ストロベリーナイト - アフター・ザ・インビジブルレイン (TV)

★★★☆☆

誉田哲也の姫川玲子シリーズ作品「シンメトリー」および「感染遊戯」より、5本の短編を原作としたスペシャルドラマ。タイムライン的にはタイトル通りで、劇場版の『ストロベリーナイト』のその後、姫川はんの刑事達のそれぞれを描いたショートドラマ集。姫川が主役の『アンダーカヴァー』、菊川の『東京』、葉山の『沈黙怨嗟 / サイレントマ―ダー』、井岡と日下の『左だけ見た場合』と勝俣の『推定有罪 / プロバブリィギルティ』の5話で構成されている。

それぞれのあらすじはここでは割愛するが、相互関連は無く葉山と勝俣のストーリーが薄く交差するぐらいで、基本的には登場人物が変わらないだけの全く別物のドラマとなっている。ドラマのパイロット版から連続ドラマ、そして映画版と見てきたが、映画版のラストにおける姫川班の解散は少々唐突だったし、下世話なところでは姫川と菊川の行く末も気になるところ。しかし、そうしたファンの気持をフォローアップする意図は本作は全く織り込まれていない。

ショートドラマだけに、各話とも短くポンポンと進んでいくが、そんな中でも菊川が主人公の『東京』は短いながらも、濃い人間ドラマを詰め込んだ秀逸作。かと思えば、姫川の『アンダーカヴァー』は、一体何をやりたかったのか良く分からない作品で、ドラマ品質のばらつきが大きい。『ストロベリーナイト』シリーズ次作までの繋ぎならまだしも、仮にシリーズ最終作だとしたら少々寂しい感じがした。(SS)

製作: 2012年 日本 127分
監督: 佐藤祐市 / Yuichi SATO
原作: 誉田哲也 / Tetsuya HONDA「インビジブルレイン」
出演: 竹内結子 / Yuko TAKEUCHI, 西島秀俊 / Hicetoshi NISHIJIMA, 小出恵介 / Keisuke KOIDE, 遠藤憲一 / Kenichi WATANABE, 生瀬勝久 / Katsuhisa NAMASE, 武田鉄矢 / Tetsuya TAKEDA, 國村隼 / Jun KUNIMURA, キムラ緑子 / Midoriko KIMURA, 竜雷太 / Raita RYU, 光石研 / Ken MITSUISHI, 大高洋夫 / Hiroo OTAKA, 入江雅人 / Masato IRIE, 杉本哲太 / Tetta SUGIMOTO
ジャンル: TV, サスペンス
鑑賞方法: DVD

Thursday, February 27, 2014

ジャンゴ 繋がれざる者 / Django Unchained

★★★★★

『イングロリアス・バスターズ』以来となるクエンティン・タランティーノ監督作品は、アメリカ南北戦争直前の19世紀半ばを時代背景に黒人奴隷制度をタランティーノ流に描いたバイオレンス西部劇。主演にジェイミー・フォックス、共演には『イングロリアス・バスターズ』に引き続きタランティーノ作品連続出演となる、クリストフ・ヴァルツや常連のサミュエル・L・ジャクソン、レオナルド・ディカプリオなど。

南北戦争直前のアメリカ南部。賞金稼ぎのドクター・キング・シュルツの当面のターゲットはお尋ね者のブリトル3兄弟だが、その顔を知る黒人奴隷のジャンゴを見つけると、シュルツは彼の鎖を解いてブリトル兄弟追跡へと共に出発した。やがてある農場で3兄弟を見事に始末したシュルツはジャンゴの腕を認め、賞金稼ぎのパートナーにすることに。そんなある日、シュルツはジャンゴから妻がいて生き別れになったことを聞かされる。奴隷市場での取引記録を調べた結果、妻はミシシッピーのキャンディ・ランドにいることが判明。シュルツはジャンゴと共にキャンディー・ランドから妻を助け出すことを決意する…。

タランティーノ作品ではもはや驚かないが、とにかく序盤から強烈なバイオレンスシーンが炸裂。血糊というか血の吹き出し方がとにかく大袈裟で『キル・ビル』を思い出す。加えて、歌謡曲っぽいキャッチなメロディーの使い方も今までのタランティーノ作品同様で期待を裏切らない。足に鎖を巻く黒人奴隷や生死をかけて強制的に闘わされる格闘奴隷の描き方など全く手加減なく、見ているこちらも心が痛くなるが、こうしたところも容赦なく描いているのが本作のいいところで、中途半端では面白くなかったはず。ジェイミー・フォックスはもちろん、共演のレオナルド・ディカプリオ、クリストフ・ヴァルツおよびサミュエル・L・ジャクソンの演技が秀逸で、特にサミュエル・L・ジャクソン演じる黒人の皮を被った白人主義者の執事は悪ノリが過ぎて憎悪を覚えるほど。黒人奴隷制度というアメリカの黒い歴史を取り上げた作品でありながら徹底して勧善懲悪。展開に少々強引さを感じつつも、最後は気分スッキリという典型的娯楽映画で、2時間半を超える作品ながら全くそれを感じさせないスピード感とストーリー展開に脱帽。(SS)


製作: 2012年 アメリカ 165分
監督: クエンティン・タランティーノ / Quentin TARANTINO
出演: ジェイミー・フォックス / Jamie FOXX, クリストフ・ヴァルツ / Christph WALTZ, レオナルド・ディカプリオ / Leonardo DiCAPRIO,  ケリー・ワシントン / Kelly WASHINGTON, サミュエル・L・ジャクソン / Samuel L. JACKSON
ジャンル: アクション, ヒストリー, 西部劇, R15+
鑑賞方法: Blu-ray

Monday, February 24, 2014

ナイルの宝石 / The Jewel of the Nile

★★☆☆☆

前作『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』の続編はシリーズ第2作目。監督はルイス・ティーグ、制作兼主演にマイケル・ダグラスとヒロインのキャスリーン・ターナーや共演のダニー・デヴィートも前作に引続きで変わらず。

前作の冒険で手に入れた大金を元にジャックはついに夢の豪華ヨットを手にし、ジョーンと共に世界一周の旅に出た。ある日、寄港した街で催されたパーティーに出席したジョーンは、アフリカのある国の独裁者オマーから彼自身の伝記の執筆依頼を受ける。楽しいが刺激の無いヨットの旅に飽き始めていたジョーンはその話を受けて単身アフリカへ旅立つ。そんな時、ジャックのヨットが何者かによって爆破されてしまう。命は助かったジャックだが、居合わせたタラクという男によってオマーの仕業と知ったジャックもジョーンの後を追うようにアフリカへと向かう…。

前作同様にストーリーの設定や展開がとにかくユルく、アドベンチャーとコメディーの隙間を縫うかのような作品だ。また、前作は宝石を追うアドベンチャーだったが、本作はお宝ではなくジャックがジョーン救う旅ための冒険なので、前回にも増してロマンス色が強め。シリーズとしては軸がブレブレで別の作品のようになってしまった。その為か否か、アクションも貧乏臭く、特に物語中盤のヌビア族との出会いとジョーンを巡る戦いのくだりは、単なる尺稼ぎのための小話という感じで白けてしまった。(SS)

製作: 1986年 アメリカ 106分
監督: ルイス・ティーグ / Lewis TEAGUE
製作: マイケル・ダグラス / Michael DOUGLAS
出演: キャスリーン・ターナー / Cathleen TURNER, マイケル・ダグラス / Michael DOUGLAS, ダニー・デヴィート / Danny DeVITO
ジャンル: アドベンチャー, アクション
鑑賞方法: Blu-ray

Sunday, February 23, 2014

ロマンシング・ストーン 秘宝の谷 / Romancing the Stone

★★★★☆

宝探し系ジャングル・アドベンチャー作品の草分けといえば1981年に公開されたインディー・ジョーンズ・シリーズが思い出されるが、こちらも似たような路線の映画か。インディーよりは少々大人向けだが、ハチャメチャな展開はハリウッド娯楽映画の面目躍如。監督はジェイムズキャメロン。主演兼製作にマイケルダグラス。ヒロインにはキャスリーンターナー。

人気女流小説家のジョーンの元へコロンビアからの郵便物が届けられる。郵便物の中身は宝の地図だが、その地図を巡ってジョーンの姉が誘拐されてしまう。地図と引き換えに姉の命を助けるためジョーンはコロンビアへと向かうが、地図を狙う悪党から命を狙われるハメになり…。

それにしても『秘宝の谷』とは何とも安易なネーミング。そもそも秘宝があったのは谷ではなかったし。それはさておき、主人公はジャングルの中で濁流に飲み込まれたり、今にも崩れ落ちそうな吊り橋を渡ったり、ガンアクションからカーアクションとこの手の映画で考えられるシーンがテンコ盛りだが、何となく緊張感が無いユルい作品。インディー・ジョーンズは息つく暇も無いジェット・コースター・ムービーだったが、それとは趣の異なる心地良いテンポのアクション・アドベンチャーに仕上がっており、安心して見られる。(SS)


製作: 1984年 アメリカ 106分
監督: ロバート・ゼメキス / Robert ZEMECKIS
製作: マイケル・ダグラス / Michael DOUGLAS
出演: キャスリーン・ターナー / Cathleen TURNER, マイケル・ダグラス / Michael DOUGLAS, ダニー・デヴィート / Danny DeVITO
ジャンル: アドベンチャー, アクション
鑑賞方法: Blu-ray

悪の教典 (映画)

★★☆☆☆

貴志祐介の同名小説の映画化作品。ハーバード大卒のイケメン人気高校教師でありながらその内面はサイコキラーという男が主人公のホラー・サスペンスである。監督は三池崇史、主演に伊藤英明。なお、原作は上下巻で850頁超という大作なので、この手のサイコ・サスペンス小説にありがちな、殺人者の過去や深層心理を深堀りした記述が多いかと推測するも、原作は未読である。

都内の私立高校に勤める蓮実聖司はハーバード大を卒業した天才でイケメンで有能である生徒の人気者だが、その実態は冷酷なサイコキラーであり、蓮実にとって有害となる人間は躊躇なく殺害される。ある時、蓮実に好意を持っている女子生徒の安原とキスをしているところをクラスの不良生徒に見られてしまう。蓮実は合理的解決方法として不良生徒を殺害するが、その男子生徒の携帯電話を持っていることを安原が知ったことから、学校での飛び降り自殺に見せかけ安原を殺害する。しかし、その現場に女子生徒が偶然居合わせてしまい、しかもその日は学園祭の準備でクラスの生徒全員が学校に残っていた。窮地を脱するために、蓮実は校内の残る者全員の殺害を選択した…。

サイコキラーが手にするショットガンが、全く躊躇なく、そして外すことなく一発で生徒を殺害していく。何しろこの殺戮シーンが後半の1時間近くを占めるので、その手が好きな向きにはおあつらえ向きと言える。しかし、サイコキラーである蓮実の深層心理に関しては深く描かれておらず、殺害目的があやふやなままであり、結果的にはこのことが殺害シーンを単調なホラー映像と成り下げている。そういう意味ではカラスを無意味に殺すシーンが多少のヒントになりそうだが、個人的にはそのシーンに矛盾を感じる。また、天才的殺人者という設定でありながら、最後の殺戮を他人に擦り付けようとするロジックは余りにも幼稚で破錠しているし、ラストにおける殺害された者の生存を伺わせるシーンに至ってはもはや本当にホラー。最後のコマは『to be continued』なのだが、続編ありという意味では無いと思う。(SS)


製作: 2012年 日本 129分
原作: 貴志祐介 / Yusuke KISHI 『悪の教典』
監督: 三池崇史 / Takashi MIIKE
出演: 伊藤英明 / Hideaki ITO, 二階堂ふみ / Fumi NIKAIDO, 染谷将太 / Shodta SOMEYA, 林遣都 / Kento HAYASHI, 山田孝之 / TAkayuki YAMADA, 平岳大 / Takehiro HIRA, 吹越満 / Mitsuru FUKIKOSHI, 小島聖 / Hijiri KOJIMA
ジャンル: サスペンス, ホラー, R15+
鑑賞方法: Blu-ray

Friday, February 21, 2014

ハゲタカ (映画)

★★☆☆☆

NHKの制作の大ヒットドラマ『ハゲタカ』の映画版作品である本作は、TV版と同様に、真山仁の経済小説『ハゲタカ』、『バイアウト』および『レッドゾーン』の3作品を原作とした経済ドラマである。TV版が非常に秀逸な作品であっただけに期待が高まるが、同じNHK制作の『外事警察』はTV版に比べて映画版の方がイマイチだっただけに本作はどうだろうか。主演は引続き大森南朋と柴田恭兵。共演に玉山鉄二。栗山千明や松田龍平もTV版に引続き出演している。

かつて日本を買い叩く「ハゲタカファンド」の辣腕マネジャーとして一世を風靡した鷲津は、一向に変わることのない閉鎖的な日本市場に見切りをつけ、海外で生活を送っていた。そんな時、日本を代表する自動車メーカーであるアカマ自動車の役員として迎えられていた芝野が鷲津の元を訪れ、アカマ自動車の救済を求めてきた。アカマ自動車は中国政府系ファンドのブルー・ウォール・パートナーズによる買収の危機にさらされていた。芝野の依頼を一度は断った鷲津だが、ブルー・ウォール・パートナーズの代表、劉一華の記者会見をみたのち、アカマ自動車からの正式な要請に答える形で「ホワイトナイト」としてブルー・ウォール・パートナーズと対峙することを決意する…。

映画版ということで、TV版を見ていなくても掴めるようなストーリー展開になっているのは間違いない。また、本作のメインストーリーは鷲巣と劉一華との対峙であり、芝野やアナウンサーの三島は脇に添えられた役どころと言っても過言では無いだろうが、TV版を見ていない人にはこの3者の過去の関係についての前知識が全く無いため、はてなマークが頭の中にグルグル回ったまま本作を鑑賞し続けたに違いない。

TV版では良く練られたファンドのスキームを充分に堪能することが出来たが、本作では所謂『リーマン・ショック』の翌年に公開された作品のため、どうしてもリアル経済に倣ったストーリーになってしまい、特に鷲津が劉一華を潰すためのロジックが稚拙に感じられた。そういう意味では、松田龍平演じる旅館の若旦那をTV版に続いて出演させるべき理由が見当たらないし、根本的なところでは、鷲津がアカマ自動車のホワイトナイトを引き受ける明確な動機が不明確。劉一華の最後も意味不明で、あらゆる意味で映画版はTV版を超えることが出来なかったと感じた。(SS)


製作: 2009年 134分 日本
原作: 真山仁 / Jin MAYAMA 「ハゲタカ」「バイアウト」「レッドアウト」
監督: 大友啓史 / Keishi OTOMO
出演: 大森南朋 / Nao OMORI, 柴田恭兵 / Kyohei SHIBATA, 松田龍平 / Ryuhei MATSUDA, 栗山千明 / Chiaki KURIYAMA, 嶋田久作 / Kyusaku SHIMADA, 志賀廣太郎 / Kotarou SHIGA, 中尾彬 / Akira NAKAO, 玉山鉄二 / Tetsuji TAMAYAMA, 高良健吾 Kengo KORA, 遠藤憲一 / Kenichi ENDO
ジャンル: サスペンス 
鑑賞方法: DVD