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Wednesday, October 31, 2012

難波金融伝ミナミの帝王 #5 キタの女闇金 / The King of Minami #5



シリーズ第5作目。準レギュラーの梅子こと梅垣義明が初登場。また、前作のラストでの伏線どおり、長江健次が田所純平として新たに銀次郎の舎弟として登場している。ツカミのショートストーリーは、例えどんなに少額だろうが債務者が何処に行こうが、地獄の底まで追いかける銀次郎の仕事について。

女闇金のビジネスモデルがなかなか面白い。彼女の策略が功を奏し普段は債務者を追いかけキリ取るのが仕事の銀次郎の元へ、逆に債務者が殺到し債務がドンドン返済されるという不思議な状況に。金貸しにとってはトイチの利息を如何に長く支払ってもらうかが生命線だけに、銀次郎は窮地に陥る。やっとの思いで女闇金のカラクリを知った銀次郎は奇策の手で巻き返しに出る。今回の車も前回に引き続きメルセデスのSクラス。坂田雅彦が強面のヤクザ役で再び出演。坂田雅彦と菅田俊の2人にはヤクザな役がよく似合う。(SS)


製作: 1994年 日本 72分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
製作: 
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 長江健次 / Kenji NAGAE, 未來貴子 / Takako MIKI, 結城哲也 / Tetsuya YUKI, 天田益男 / Masuo AMADA, 梅垣義明 / Yoshiaki UMEGAKI, 坂田雅彦 / Masahiko SAKATA, 菅田俊 / Shun SUGATA, 岡田千代 / Chiyo OKADA
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD

難波金融伝ミナミの帝王 #4 言われなき借金 / The King of Minami #4



シリーズ第4作目の本作は、銀次郎に金を返せなくなった親子を嵌めた詐欺師との闘いを描く。萬田銀次郎には不動の竹内力、舎弟の竜也も前作に続き大森嘉之だが、今回の探偵はその昔『刑事物語・リンゴの唄』でデビューした未來貴子が桃子として出演しており、少々絵面が新しくなった。舞台はいつものミナミからフィリピンへと移し、シリーズ初の海外ロケを敢行。フィリピンの地ビールである『サンミゲル』のボトルを飲む銀次郎と沢木の組長とのシーンは、昔フィリピンに仕事で行った事のある私にとっても懐かしい。

第4作目の本作ではいよいよシリーズの『基本線』に乗ってきた。全3作まではお約束だった濃厚な濡れ場も姿を消した。今回はフィリピン出張でキリ取りしたためか、モロモロの経費含めて350万と比較的高額だったのだが、悪党の詐欺師から奪った金と被害者の親子に支払う金額を鑑みるとそれなりに計算が合っているのが憎い。サブストーリーでは、丹古母鬼馬二演じる鬱陶しいドブネズミ刑事が銀次郎の尻尾を捕まえようと頑張るも、最後は無理矢理収めた感が否めないがまぁいいか。今回の車は濃紺のメルセデスSクラスで銀次郎には珍しく4ドアのセダン。(SS)


製作: 1994年 日本 72分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
製作: 
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 大森嘉之 / Yoshiyuki OMORI, 未來貴子 / Takako MIKI, 結城哲也 / Tetsuya YUKI, 天田益男 / Masuo AMADA, 長江健次 / Kenji NAGAE, 丹古母鬼馬二 / Kibaji TANKOBO, 河原さぶ / Sabu KAWAHARA
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD

難波金融伝ミナミの帝王 #3 金貸しの条件 / The King of Minami #3



シリーズ第3弾。麻子役の竹井みどりはそのままだが、柳沢慎吾演じる舎弟の竜一に変わって、大森嘉之が新しい舎弟の金子竜也役としてとして登場する。その竜也は元警官だが金でどうにでもなるいわゆる悪徳警官の男。ひょんな事から銀次郎から借金を背負うことになり、いろいろあって舎弟になるまでの経過と、関連するサブストーリーを交えつつ、裏で暗躍していた詐欺師、さらにその詐欺師の裏にいる巨悪との闘いを描く。なお、本作から名も無き端役兼方言指導で宇野ポテトが出演している。この宇野ポテトはWEBで調べても素性が良く分からない人なのだが、愛知県出身らしく、それでいて大阪弁の方言指導をしている面白い人。とにかく本作以降の作品では必ずと言っていいほど端役で出演する常連中の常連で、井上茂・日高久と併せて『ミナミの帝王・端役三羽烏』と勝手に命名する。

本作でも相変わらず長めの濡れ場シーンが満載。警官の竜也をドツボにハメるテクや沢木組の広瀬にシノギの方法を教えるあたりなど、今となっては真新しいものではないものの、銀次郎一流のテクニカルな部分を紹介しつつ、舞台は詐欺師との対峙から舞台を徳島に移して最後の巨悪との対決へとテンポよく展開する。銀次郎の愛車は淡いブルーのメルセデスSLクラス。

鬼の萬田が舎弟、麻子や沢木組と協力し合いながら、借金ずくめでクビの回らなくなった者の裏で暗躍する巨悪から金をキリ取り、最後は仏の萬田、というシリーズの基本線に近くなってきた。やはり、ミナミの帝王にはハッピーエンドが良く似合う。(SS)


製作: 1993年 日本 72分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
製作: 
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 大森嘉之 / Yoshiyuki OMORI, 竹井みどり / Midori TAKEI, 結城哲也 / Tetsuya YUKI, 天田益男 / Masuo AMADA, 本郷功次郎 / Koujirou HONGOU, 宇野ポテト / Potato UNO
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD

難波金融伝ミナミの帝王 #2 計画倒産 / The King of Minami #2



難波金融伝ミナミの帝王第2作目。前作同様、シリーズの基本線とは少々色合いが異なり、悪党と愛人のかなり長めの濡れ場や、刃物を交えたアクションシーンなどが満載。本作から沢木組組長役と組長補佐役として結城哲也と天田益男が出演している。

今回の案件はシリーズでも一二を争う悪党と言える証券マンの悪党を中心に展開。紙くず同様のゴルフ会員権販売で荒稼ぎするわ、愛人を使って男から金を騙し取るわ、銀次郎へヒットマンを雇うわで、挙句には題名通りの計画倒産で銀次郎を散々苦しめる。しかし、ここはさすがにミナミの鬼。これまたシリーズ随のエグさで攻めたて、若かりし頃の竹内力をしっかり堪能できる。今回から登場する沢木組もヤクザという立場を上手く利用して銀次郎の取り立てにしっかり組み込まれているのが面白い。今回の愛車は黒のシボレー・コルベットコンバーチブル。

本作では銀次郎がこの稼業に就くに至る経緯や過去の生い立ち、師匠との関係などが語られる。また、竜一のピンチに手を差し伸べるあたりなども後の作品ではあまり見られないシーン。最後は悪党の和歌山の実家まで乗り込むも、人情に厚い一面を見せる銀次郎でエンディング。とは言っても銀次郎のキリ取りは相変わらずの鬼の形相で期待を裏切らない。ミナミの鬼は少々エグーおまっせ!(SS)


製作: 1992年 日本 91分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
製作: 
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 柳沢慎吾 / Shingo YANAGISAWA, 竹井みどり / Midori TAKEI, 結城哲也 / Tetsuya YUKI, 天田益男 / Masuo AMADA, 藤田佳子 / Yoshiko FUJITA, 石井光三 / Mitsuzou ISHII
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD

Monday, October 29, 2012

難波金融伝ミナミの帝王 #1 トイチの萬田銀次郎 / The King of Minami #1



言わずと知れた『ミナミの帝王』の映像版第1作目。原作は週刊漫画ゴラクに連載中の原作: 天王寺大原作・漫画: 郷力也漫画による同名漫画で、竹内力の代名詞かつ最大のヒット作となっている。ちなみに、二人は兄弟で郷力也は天王寺大の実兄にあたる。漫画は現在も連載中だが、こちらのシリーズは全60作製作され、公開当初はレンタルビデオ店でよく借りて観たものだが、根強いファンがいるのか、はたまた一定の視聴率が取れるのか、最近ではチャンネルNECOやCSの邦画チャンネルで頻繁に再放送されている。基本的に1話完結のストーリーであり、主人公の金貸し萬田銀次郎に竹内力、協力者の舎弟や探偵は数話毎に変わる。また、結城哲也が途中からレギュラー出演兼プロデューサーとして製作に参加しているためか、吉本芸人もしくは松竹芸人などの関西芸人の出演が非常に多い。

ストーリーの基本線は、以下のとおり。
 『ツカミのショートストーリー(以降の展開の伏線であることもしばしば)』 →
 『銀次郎のところへ金を借りに来る債務者達』 →
 『その債務者が何らかの理由により借金を返済をせずに飛ぶ』 →
 『銀次郎は債務者を追いかけてカタに嵌めようとする』 →
 『実は債務者が暗躍する悪党に騙されていたことを知る』 →
 『とりあえずその悪党へ挨拶へ出向きご挨拶』 →
 『悪党に「わしの借金返せ」と言うものの足蹴に断られ、口上を述べて帰る』→
 『探偵に「なぁ〜銀次郎さぁん、何とかならへんの〜?」と言われる銀ちゃん』 →
 『「取れるところから取ったる。ただし、儲けは折半でっせ。」と債務者に言う』 →
 『その悪党をカタに嵌めてキッチリとキリ取る』 →
 『モロモロの経費含めて◯◯万がわしの取り分。残りはあんたの取り分や』 →
 『債務者の借金をチャラにした挙句、出直しの為の金まで渡す』 →
 『相生橋の上でのラストシーン〜エンディング曲「欲望の街 (唄: 竹内力)」』

記念すべき第1作目の本作では、初代舎弟の坂上竜一役に柳沢慎吾、探偵の矢吹麻子に竹井みどり、銀次郎の金主で師匠の矢吹金造に横山やすしを迎え、銀次郎の借金を頑として返さない町工場のおっさんのキリ取りと、複数の偽造手形で銀次郎に一杯食わせた坂田雅彦演じるヤクザ金融をカタにハメるストーリー。ちなみに、この坂田雅彦もシリーズ初期の常連で、本作の濡れ場では背中のモンモンを踊らせている。また、今回の銀次郎の愛車は前後オーバーフェンダーでハードチューンしたケーニッヒと思しきシルバーのBMW3シリーズ。

若き日の竹内力が凄まじいカッコ良さ。さすがは当時の『とれんでぃドラマ』などに出演していただけあって、今の貫禄ある雰囲気とはまた違うキレを感じる知的なミナミの鬼・萬田銀次郎を見事に演じ切っている。しかし、竹内力もこの『ミナミの帝王』や『仁義』に出会わなければ、違う役者人生を歩んでいたに違いない。本作は幾つかのストーリーで構成されており、結城哲也も未出演でエンディングも違う、いわばシリーズの基本形がまだ出来上がってない頃の作品で、前述の『基本線』とは少々異なる。ちなみに、銀次郎と麻子の濡れ場は本作が最初で最後。横山やすしも最初で最後の出演をしており、発売当時のビデオパッケージのクレジットには『横山やすし完全復帰作品』と銘打たれていたほどだが、演技というか何というか、例えば水野晴郎のそれと同様で少々目に痛い。(SS)


製作: 1992年 日本 87分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
製作: 
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 柳沢慎吾 / Shingo YANAGISAWA, 竹井みどり / Midori TAKEI, 横山やすし / Yasushi YOKOYAMA, 坂田雅彦 / Masahiko SAKATA, 杉原美輪子 / Miwako SUGIHARA
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD

Friday, October 26, 2012

タンポポ / Tampopo



『お葬式』に続く伊丹十三作品2作目は、器量は良いが味はイマイチなラーメン屋の未亡人と、ひょんな事からそのラーメン店を救うことになるタンクローリーの運転手のお話。

しかし、本作の核はラーメン屋再生ではなく、ふとしたきっかけで突然始まるショートストーリーにある。主人公の名前もタンポポとか訳の分からない感じで、全体的に混沌とした感じの作品。その混沌さの主因こそ、時にエロ、時にグロ、時に笑いと、多くの食にまつわるショートストーリーなのだ。しかも、これらのショートストーリーは大きなきっかけなく突然始まり突然終わる。一歩間違うとオフザケの領域だが、本作ではこれが上手く効いてる。個人的に一番面白かったのは、フランス語の解せぬ年老いたお偉いさんと、口の肥えた下っ端のレストランでのストーリー。ふてぶてしい下っ端とその隣の高橋長英と淡々とした橋爪功が面白い。

本作も含めた以降の伊丹作品の撮影場所は京浜湾岸地域が多く、出演している役者の顔ぶれも『伊丹組』と言われるだけあり毎作ほぼ同じで、観ていいるこちらがしっかりしないと、絵面に飽きが来たり、別の作品の役柄を思い出したりしてしまうのが唯一の欠点か。


製作: 1985年 日本 115分
監督: 伊丹十三 / Juzo ITAMI
製作: 
出演: 宮本信子 / Nobuko MIYAMOTO, 山崎努 / Tsutomu YAMAZAKI, 大滝秀治 / Hideji OTAKI, 桜金造 / Kinzo SAKURA, 役所広司 / Koji YAKUSHO, 黒田福美 / Fukimi KURODA, 洞口依子 / Yoriko DOGUCHI, 高橋長英 / Choei TAKAHASHI, 橋爪功 / Isao HASHIZUME, 上田耕一 / Koichi UEDA, 安岡力也 / Rikiya YASUOKA, 渡辺謙 / Ken WATANABE, 津川雅彦 / Masahiko TSUGAWA, 井川比佐志 / Hisashi IGAWA, 大友柳太朗 / Ryutaro OTOMO, 久保晶 / Akira KUBO
ジャンル: ドラマ, コメディ
鑑賞方法: DVD

ミンボーの女 / The Gentle Art of Japanese Extortion



ヤクザによる民暴 (ミンボー: 民事介入暴力) をテーマにした本作は、公開中に実際の暴力団が劇場のスクリーンを切り裂いたり、伊丹十三が刃物を持った五人組に襲撃されたりと、何かといわくつきの作品。私は、そっちの方面の人間ではないが、確かに作中の台詞を聞いてると頭にくるかも。

舞台は格式あるホテル『ホテル・ヨーロッパ』。しかし、簡単にお金で解決しようとするホテルの対応は全国中のヤクザに知れ渡っており、引っ切り無しに訪れるヤクザに頭を悩ましていた。そこで、ホテル内のスタッフから2名を選抜しヤクザ専従班を設置するも、所詮素人の対応ではヤクザを追い出すどころか、またもや金で解決する始末。そこで、ホテルの会長は民暴対策のプロである、一人の女性弁護士を雇うことにした…。

ロビーで怒鳴りまくるヤクザ。レストランでゴキブリ騒動。仕舞いには街宣車など、実際に職場でこんな事態にあったら気が滅入るだろうな、というほどヤクザの仕事っぷりが悪どい。それに対して、女弁護士の仕事は切れが良すぎてストーリー的には少しつまらないかも。もう少し困難な状況があればバランスが取れていると思うのだが。(SS)



製作: 1992年 日本 123分
監督: 伊丹十三 / Juzo ITAMI
製作: 
出演: 宮本信子 / Nobuko MIYAMOTO, 宝田明 / Akira TAKARADA, 伊東四朗 / Shiro ITO, 大地康雄 / Yasuo DAICHI, 村田雄浩 / Takehiro MURATA, 大滝秀治 / Hideji OTAKI, 中尾彬 / Akira NAKAO, 不破万作 / Mansaku FUWA, 上田耕一 / Kouichi UEDA
ジャンル: コメディ, サスペンス, ヤクザ
鑑賞方法: DVD

スーパーの女 / Supermarket Woman



『大病人』、『静かな生活』と興行的失敗に終わった作品に続いて撮影された伊丹十三の『◯◯の女』シリーズ4作目。原作は小説『スーパーマーケット』で、著者の安土敏こと荒井伸也は、1996年当時スーパーマーケットチェーン『サミット』の社長であり、この映画の制作には同社が全面協力しているとのこと。(Wikipediaより)

ストーリーは、スーパー好きの主婦が偶然再会した幼馴染の経営する地元のスーパーが抱える問題点を解決しつつ、ライバル店を打ち負かすという痛快サクセス物語。スーパー経営者とバックヤードで働く職人達との関係、その職人達と弟子やパートのおばさん達との確執。日付や産地の偽装に訳あり商品の陳列など、それぞれのサブストーリーがいちいちリアルで面白い。出演者はいわゆる『伊丹組』の面々で宮本信子のおかっぱや津川雅彦を観ると、伊丹の他作品の役がチラチラと浮かんでくるが、それはまぁ仕方のない事か。

瀕死のスーパーを一人の主婦の熱意と努力が救うハッピーエンドのサクセスストーリーだが、そこには幸運や偶然は存在せず、成功が必然となるべく努力と熱意があるのみ。本作が多くのスーパーで社員研修用として使われるているといった逸話も十分信に足りる。(SS)



製作: 1996年 日本 127分
監督: 伊丹十三 / Juzo ITAMI
製作: 
出演: 宮本信子 / Nobuko MIYAMOTO, 津川雅彦 / Masahiko TSUGAWA, 不破万作 / Mansaku FUWA, 六平直政 / Naomasa MUSAKA, 高橋長英 / Choei TAKAHASHI, 三宅裕司 / Yuji MIYAKE, あき竹城 / Takejo AKI, 伊東四朗 / Shiro ITO
ジャンル: ドラマ, コメディ
鑑賞方法: DVD

Thursday, October 25, 2012

マルタイの女 / Woman of the Police Protection Program



伊丹十三監督作品の『◯◯の女』シリーズ最終作でかつ遺作となった本作は、ある殺人事件を目撃してしまった女優と警察の捜査、犯人逮捕から立件に至るまでの一連のやり取りを目撃者の女優を中心とした視点で描く。『マルタイ』とは、警察の捜査および護衛の対象になる人間のことであり、本作では宮本信子演じるビワコがそれになる。同監督作品の『ミンボーの女』公開後に、伊丹が暴力団に襲撃された事件で、伊丹自身が『マルタイ』になった経験も少なからず本作の脚本に影響を与えているに違いないだろう。

偶然殺人現場を目撃してしまった女優の磯野ビワコは、自身も犯人に殺されそうになるが、危うく難を逃れる。事件の裏には新興宗教団体『真理の羊』が絡んでいた。警視庁は裁判における重要な証言者となるビワコを狙う教団から守るため、ビワコをマルタイとして2人の刑事を護衛に就けた。しばらくして実行犯が逮捕、警察の取り調べにより自白に至ると、教団はありとあらゆる手を使ってビワコに証言をやめるように脅しをかける…。

宮本信子の演技に何とも言えない味を感じる。女優が映画の中で女優を演じるのだから多少大袈裟になるのだろうが、全編とおしてコメディタッチで描かれているためか、嫌味が無い。西村雅彦や名古屋章も同じトーンで演じており、まるで舞台のように見られる映画なのが本作の良い所であり悪いところだろうが、この辺は三谷幸喜の名が企画としてクレジットされているせいもあるだろう。ところで、ビワコの舞台であるクレオパトラのシーン。映画のクレオパトラも冗長で長ったらしいが、このシーン自体が本作のストーリー上で特に意味を持たないのに長すぎる。お金も掛かったろうに。(SS)



製作: 1997年 日本 148分
監督: 伊丹十三 / Juzo ITAMI
製作: 
出演: 宮本信子 / Nobuko MIYAMOTO, 西村雅彦 / Masahiko NISHIMURA, 村田雄浩 / Takehiro MURATA, 高橋和也 / Kazuya TAKAHASHI, 名古屋章 / Akira NAGOYA, 津川雅彦 / Masahiko TSUGAWA, 江守徹 / Toru EMORI, 益岡徹 / Toru MASUOKA, 不破万作 / Mansaku FUWA
ジャンル: ドラマ, サスペンス, クライム, コメディ
鑑賞方法: DVD

マルサの女 2 / A Taxing Woman's Return



大ヒット作の前作に続き、マルサの板倉亮子と脱税者の闘いをスリリングに描く娯楽作。前作では悪人にも良心が垣間見えたが、今回はうって変わって、悪人がとことん悪人として描かれている。

バブル期の東京。地上げ屋、ヤクザ、政治家、大企業が土地を結託して巨額の利益を上げんと欲望を燃え上がらせていた。そんな中、地上げやソープランドで得た利益を自身が管長として君臨する宗教法人を隠れ蓑として脱税に手を染める男、鬼沢が居た。地道な内偵を進める板倉とマルサの面々だが、教団の信者やヤクザが次々と妨害工作を行い、調査は遅々として進まない…。

宗教法人とヤクザと政治家と大企業。本作以降に顕在化するオウム問題や暴力団対策法改正や銀行の不良債権問題など、伊丹十三の先見の明が見える良作。個人的にはそれほど演技力を感じない三國連太郎だが、本作での悪役ぶりは堂に入っており、最高のキャスティング。鬼沢が夢を観るシーンでのSFXは意味不明で不要かなと。しかし、1作目の爽快感とは真逆で本作を見終わった後の胸クソの悪さは、これまで観た映画の中でも一二を争う。(SS)


製作: 1987年 日本 127分
監督: 伊丹十三 / Juzo ITAMI
製作: 
出演: 宮本信子 / Nobuko MIYAMOTO, 三國連太郎 / Rentarou MIKUNI, 津川雅彦 / Masahiko TSUGAWA, 大地康雄 / Yasuo DAICHI, 益岡徹 / Toru MASUOKA, 不破万作 / Mansaku FUWA, 上田耕一 / Kouichi UEDA, 洞口依子 / Yoriko DOGUCHI, 丹波哲郎 / Tetsuro TANBA
ジャンル: ドラマ, サスペンス, クライム
鑑賞方法: DVD

マルサの女 / A Taxing Woman



本作は当時の日本の世の中に『マルサ (国税局査察部) 』という言葉とその職業を広めることになった、金字塔的な邦画娯楽作。宮本信子演じるソバカスでシングルマザーのマルサがアクの強いラブホテル経営者の脱税を地道な調査で内偵し摘発するまでを描く。

地域税務署の調査官から国税局査察部へと抜擢された板倉亮子は、偶然見かけた高級車からあるラブホテルに脱税の匂いを嗅ぎ取った。しかし、調査を進めるもオーナーの権堂はなかなか尻尾を出さない。それでお、板倉の地道な内偵は続く。権堂の家から出されるゴミを調べ、出入りの業者の対面調査を行い、ヤクザの事務所を訪ねる。徹底的に調べて証拠を積み上げ、ついに権堂をガサ入れする日がきた…。

『お葬式』や『タンポポ』といった、ほのぼの路線からうって変わり、本作では税務官という社会派テーマについて取り上げた伊丹十三の3作目は、映画史に残る名作となった。冒頭の老人が乳を吸うシーンは掴みとしては半ば反則だが、これまでもこれからも作品にエロスを入れ込む、伊丹十三の好きな手法といえばそれまでか。作中のガサ入れシーンや金品の隠し場所などは、実際にあったケースをモチーフにして描かれており、リアリティも抜群。脱税の巧妙な手口とそれに対峙するマルサの捜査官との丁々発止のやり取りは、適度なスピード感を保ちつつ観る者を飽きさせない。一点難を言えば、出演者がいわゆる『伊丹組』のメンバーなので画的に飽きてくる。(SS)



製作: 1987年 日本 127分
監督: 伊丹十三 / Juzo ITAMI
製作: 
出演: 宮本信子 / Nobuko MIYAMOTO, 山崎努 / Tsutomu YAMAZAKI, 津川雅彦 / Masahiko TSUGAWA, 大地康雄 / Yasuo DAICHI, 桜金造 / Kinzo SAKURA, 室田日出男 / Hideo MURATA, 絵沢萠子 / Moeko EZAWA, 小林桂樹 / Keiju KOBAYASHI, 松居一代 / Kazuyo MATSUI, 伊東四朗 / Shiro ITO
ジャンル: ドラマ, サスペンス, クライム
鑑賞方法: DVD

Friday, October 19, 2012

ボーン・アルティメイタム / The Bourne Ultimatum



マット・デイモン扮する記憶を失った元CIA諜報員のジェイソン・ボーンが自らの過去と真実を取り戻すために、CIAと巨悪との闘いを繰り広げるシリーズ完結編。原作はロバート・ラドラムのサスペンス小説。本作では、ついにジェイソン・ボーンの過去が明らかとなる。

CIAの極秘計画、トレッドストーンはアップデートされ、ブラック・プライヤーとなり、自国・他国を問わず、不利益になる者の命が消されていた。一方、イギリスの大手新聞ガーディアンの記者、ロスはCIAの内部告発者からの情報により、ジェイソン・ボーンの記事を発表、更にブラック・プライヤーに関する取材を進めていた。エシュロンによりその通信を傍受したCIAは直ちにロスの監視を行うが、同じ頃ジェイソンもロスへの接触を図ろうとしていた…。

時系列的には前作『スプレマシー』のラストシーン辺りと重複している。開始直後のシーンを観てそれに気付くも、どこまで重なっているのかはしばらく見進めないと分からないが、ストーリー展開には影響が無い。本作はジェイソンの過去が明らかになるだけに、過去のフラッシュバックのシーンが前作と比べて多く、多少焦れったい部分も否めない。しかし、激しいカーアクションやジェイソンとCIA工作員との戦闘シーンは更にブラッシュアップされて、前作を上回るほどの完成度をみせている。そしてお約束のラストシーンにおけるMobyの"Extreme Ways"を耳にした時、思わずニヤリとしてしまったのは、私だけではあるまい。(SS)
 


製作: 2007年 アメリカ 115分
監督: ポール・グリーングラス / Paul GREENGRASS
製作: 
出演: マット・デイモン / Matt DAMON, ジュリア・スタイルズ / Julia STILES, デヴィッド・ストラザーン / David STRATHAIRN, ジョーン・アレン / Joan ALLEN, 
ジャンル: CIA, サスペンス, アクション
鑑賞方法: 映画館, DVD

ボーン・スプレマシー / The Bourne Supremacy



設定は前作から2年後。記憶を喪失したジェイソン・ボーンとCIAとの闘い、そしてかすかな記憶を頼りに真実の自分を追い続ける物語が始まる。原作はロバート・ラドラムのサスペンス小説3部作の2作目『殺戮のオデッセイ』。監督は前作から変わってポール・グリーングラス。主演は引き続きマット・デイモン。

ベルリンでCIAによる内部公金横領事件に関する重要な資料引渡し作戦が実行されていたが、その最中何者かに襲撃され、重要資料を奪われてしまう。そして犯行現場からはジェイソン・ボーンの指紋が発見される。一方、2年前にCIAとの壮絶な闘いを経て逃げ切ったジェイソンは、マリーとインドのゴアで新たな生活を始めていたが、しかし、過去の記憶も自分自身も取り戻せてはいなかった。そんな彼らの生活を狙う一つの銃口が…。

呆れるほど強すぎる殺人マシーン、ジェイソンの肉弾戦と、ここ数年の映画の中でも最高の出来と言えるカーチェイスが圧巻。物語は目まぐるしいスピードで展開されるが、謎解きの伏線や細かな説明も適度に散らばっていて、観ている方も安心して付いていける。加えて、ジョン・パウエル (John POWEL) の音楽が秀逸。カーチェイス、CIA工作員との戦闘、銃撃戦、そしてクールなラストシーンと、どの場面においてもシーンを邪魔せず、しかし音楽を聞くとそのシーンを思い出せるほどの高い完成度。シリーズ全作品ともにラストからエンディングにかけての音楽にはMobyの"Extreme Ways"が使われているが、本作ではラストシーンと音楽のあまりのマッチぶりにブルっと震えがきた。(SS)



製作: 2004年 アメリカ 108分
監督: ポール・グリーングラス / Paul GREENGRASS
製作: 
出演: マット・デイモン / Matt DAMON, フランカ・ポテンテ / Franka POTENTE, ジョーン・アレン / Joan ALLEN, ジュリア・スタイルズ / Julia STILES
ジャンル: CIA, サスペンス, アクション
鑑賞方法: 映画館, DVD


Mobyの"Extreme Ways"はこちら。


Thursday, October 18, 2012

刑事物語



80年代を代表する邦画ヒットシリーズ、刑事物語の第1作目。主人公の片山刑事を演じるのは武田鉄矢。片山のアイデンティティというより、もはや武田のそれだと思うが、長髪にくたびれた帽子とズボン、胴長短足で一見冴えない男だが、実は拳法「蟷螂拳」の達人で正義感は人一倍。日本映画の名作『男はつらいよ』を意識しているのかいないのか、シリーズの基本設定は、捜査上のミスを犯して日本各地を異動する片山刑事が異動先で美しいマドンナに恋をするも結局は失恋し、また次の勤務地へと全国を渡り歩くというのもの。

本作の冒頭シーンはソープランド (当時は、トルコ風呂と呼称) のガサ入れで、いきなりバスト丸出しのソープ嬢が逃げ回るという、半ば反則もののツカミだが、ここでマドンナ役の有賀久代が、これまたいきなりトップレスで豊かなバストを晒すという、ツカミとしてはこれ以上無いだろうというシーンから始まる。ちなみに、有賀久代は本作がデビュー作で且つ引退作となってしまったようだが、観ているこちらも分からない程、聾唖(ろうあ)の女性を完璧に演じており、同じく聾唖を演じた田中邦衛のそれとはレベルが違う。もうスクリーンで観ることが出来ないと思うと至極残念。

福岡県警から異動した先の沼津にてソープランド絡みの事件を追う片山。事件そのものの背景は本シリーズの中でも結構真面目に考えられたという感じがする。そうは言いつつも、事件の中身はさほど重要ではないだろう。残忍な事件を追いつつも、マドンナ絡みのサブストーリーを散りばめて、片山の優しさと強さ、マドンナとの恋と失恋を描き、最後は悪党相手に蟷螂拳で大暴れ → 異動。というストーリー展開は型通りだが、しかし飽きのこない不思議な魅力に溢れている。(SS)



製作: 1982年 日本 110分
監督: 渡邊祐介 / Yusuke WATANABE
製作: 
出演: 武田鉄矢 / Testuya TAKEDA, 有賀久代 / Hisayo ARIGA, 花沢徳衛 / Tokue HANAZAWA, 田中邦衛 / Kunie TANAKA, 仲谷昇 / Noboru NAKAYA, 樹木希林 / Kirin KIKI, 室井滋 / Shigeru MUROI, 高倉健 / Ken TAKAKURA, 西田敏行 / Toshiyuki NISHIDA
ジャンル: アクション, コメディ, ドラマ
鑑賞方法: DVD, チャンネルNECO

Wednesday, October 17, 2012

ボーン・アイデンティティ / The Bourne Identity



マット・デイモン演じるジェイソン・ボーンを主人公にしたアクション映画シリーズの第1作目。原作はロバート・ラドラムのサスペンス3部作だが、Wikipediaによれば原作と映画は全く違う内容のストーリのようで、ほぼオリジナルの脚本と思われる本作だがストーリー展開は俄然面白い。スパイものといえば007シリーズだが、チャラチャラしたピアース・ブロスナンから肉体派のダニエル・クレイグに変わって印象も180度変更したのと同様、本作も骨太なスパイ・アクション映画に仕上がっている。

ストーリーは嵐の地中海から始まる。イタリアの漁船に引き上げられた意識不明の男。男の背中には銃創があり、皮膚にはスイスの銀行の口座番号が記されたマイクロカプセルが埋め込まれていた。船上で意識を取り戻した男だったが、過去の記憶を失っている事に気付く。船を降り、唯一の手がかりであるスイス銀行の貸し金庫を訪ね彼が目にしたものは、数冊の偽造パスポート、数カ国の紙幣と銃だった。数少ない手掛かりを追ううちに次第に自分が持つ特殊な能力に気づき始めるジェイソン。一体自分は何者なのか。イタリア、スイス、フランスとヨーロッパの各地を舞台に、記憶を失った男が自分の正体を突き止めようと奔走する。

マット・デイモン演じるジェーソンが一体どういう男なのか謎を残しつつ展開するストーリーが秀逸。こういう展開に女は付き物だが、本作もご多分に漏れず。ミニで失踪するシーンで使用される音楽、Paul Oakenfoldの"Ready, Steady, Go"やMobyの"Extreme Ways"も耳に良い。派手な爆破や有り得ないスパイグッズより、己の能力を駆使した肉体派エージェントのアクションに次作への期待が高まる。(SS)



製作: 2003年 アメリカ 119分
監督: ダグ・リーマン / Doug LIMAN
製作: 
出演: マット・デイモン / Matt DAMON, フランカ・ポテンテ / Franka POTENTE, クリス・クーパー / Chris COOPER, クライヴ・オーウェン / Clive OWEN, ジュリア・スタイルズ / Julia STILES
ジャンル: CIA, サスペンス, アクション
鑑賞方法: 映画館, DVD



Paul Oakenfold "Ready, Steady, Go"はトム・クルーズ主演のCollateralでの韓国クラブでの殺人シーンでも使われているが、あちらはKorean Mixで"Ready, Steady"が韓国語になっている。で、下はオリジナルバージョン。

Tuesday, October 16, 2012

レッドブル / Red Heat



初期のシュワルツネッガー主演作品にはどうしようも無い駄作が多かったが、本作はその境界線上に位置する微妙な作品。決してシュワルツネッガーが悪いのではないが。冒頭のロシアンサウナのシーンはシュワルツネッガーの素晴らしい肉体を披露するためのシーンだろう。それ以外の意味を見出すのは難しい。熱々に焼けた石を無慈悲な表情で握る意味も、全裸の女性が闊歩する混浴サウナの設定も全く意味不明。しかし、冒頭の15分ほどでストーリーのバックグランドは全て説明されるので見逃してはならない。そして、国外逃亡した麻薬密売人を追うべく、アメリカへ旅立つ。迎えるシカゴ警察の刑事はジェームス・ベルーシ演じるリジック刑事。作品が作られた時代は米ソ冷戦末期。東西に表面的理解の相互差異が2人の刑事によって表現されているが、そこに思慮深さは微塵も感じられない。

至極単純なストーリー。東西冷戦における典型的ロシア人感。しょうもないヤンキージョークの羅列。見所感は少ないが、若き頃のシュワルツネッガーと、ユルイ刑事役を演じるジェームス・ベルーシの対比がそれなりに面白い。リチャード・ブライトはチョイ役ながら落ち着いた先輩刑事を存在感ある演技で魅せる。ちなみにAmazonのレビューによると、本作はモスクワの赤の広場で撮影を許可された初めてのアメリカ映画だそうで。(SS)



製作: 1988年 アメリカ 105分
監督: ウォルター・ヒル / Walter HILL
製作: 
出演: アーノルド・シュワルツェネッガー / Arnold SCHWARZENEGGER, ジェームス・ベルーシ / James BELUSHI, リチャード・ブライト / Richard BRIGHT, ローレンス・フィッシュバーン / Laurence FISHBURNE
ジャンル: サスペンス, アクション, クライム
鑑賞方法: DVD, IMAGICA BS

Monday, October 15, 2012

ウォンテッド / Wanted



フラタニティーという秘密の暗殺者集団と冷酷な殺し屋稼業を近未来的映像で描いた作品。ジェームス・マカヴォイ演じる冴えないサラリーマン、ウェスリーの前に突然、謎の美女フォックスが現わたその刹那、激しい銃撃戦に巻き込まれてしまう。しかし、フォックスの応戦により命拾いしたウェスリーは、秘密の暗殺組織フラタニティの元へ連れて行かれ、自分の持つ特殊能力と宿命について聞かされる。やがて、決意したウェスリーは暗殺者となるべく、激しい特訓に耐えることになる…。

映像的にはなかなか面白いが『マトリックス』がリリースされた時のような革新性は感じない。そして、その映像自体が本作から現実感を削いでいるのにも関わらず、『マトリックス』ほどの非現実感というか不思議感も無く、言うならば中途半端な立ち位置の作品。主演のアンジェリーナ・ジョリーは相変わらず美しく、切れが足りないジェームス・マカヴォイや老齢なモーガン・フリーマンの男臭い雰囲気の中にあって一服の清涼剤のよう。ストーリーは面白く、ラストにかけてのドンデン返しも秀逸なだけに、もっと現実的な映像で押せば良作になったと思うのだが。(SS)



製作: 2008年 アメリカ 110分
監督: ティムール・ベクマンベトフ / Timur BEKMAMBETOV
製作: 
出演: アンジェリーナ・ジョリー / Angelina JOLIE, ジェームス・マカヴォイ / James McAVOY, モーガン・フリーマン / Morgan FREEMAN
ジャンル: R15+, アクション, クライム
鑑賞方法: Blue-ray

Sunday, October 14, 2012

チェンジリング / Changeling



ここ最近は俳優業もさることながら、監督としての名声も高いクリント・イーストウッドによる感動のノンフィクション・ドラマ。主演にアンジェリーナ・ジョリーを迎え、1920年代のロサンゼルスで実際に起きたゴードン・ノースコット事件(Wineville Chicken Coop Murders)を映画化したものだが、事件から90年近く経つせいもあるのか、本作に出てくる地名や人名などは全て実際に存在したものである。非常に完成度の高いストーリーだが、映画冒頭でテロップが流れるように、脚色されていない真実のストーリーであるという事に驚愕する。しかし、鑑賞し終えた後に本事件をWikipediaなどで調べると、映画では語られていない事実など実際の事件のあらましの方が残酷なくらいで、事実は小説より奇なりを地でいく作品となっている。

舞台は1928年のロサンゼルス。アンジェリーナ・ジョリー演じるクリスティン・コリンズは、一人息子のウォルターを女手一つで育てる傍ら電話会社に勤めている。ある土曜の日、彼女は息子と映画に出かける予定だったが、人手不足で急遽休日勤務を行うことになった。勤務を終え息子との約束の時間を過ぎた夕方、彼女が急いで帰宅すると、ウォルターは忽然と姿を消していた。息子を探しに近所を走り回るもウォルターは見つからず、ロス市警に通報する。翌日から捜査が始まるが手掛かりも無いまま時間が過ぎていくが、しかし5ヶ月後、ウォルターがイリノイ州で見つかったという朗報が入る。腐敗と汚職により市民の批判に晒されていたロス市警はここぞとばかりに報道陣を集め、感動の母子再会を演出しようとしていた。息子が乗る列車の停車も待てずに走り出すクリスティン。しかし列車から降りてきた少年は息子とは似ても似つかぬ全く別人だった…。

一見単純に見える息子の失踪事件に隠された驚愕の犯罪。自らの功名心のために虚偽を重ね口封じを行うことも辞さない腐敗し切ったロス市警。これに対し、クリスティンの支持者である牧師を中心に徐々に湧き上がる市民運動。強大な警察権力に立ち向かうクリスティンの行動はロス市警のみならず社会を変えていく大きな原動力となっていく。驚愕の事件をほぼ脚色することなく、しかし感動のヒューマン・ドラマに昇華させた監督と制作陣の辣腕に拍手。(SS)



製作: 2009年 アメリカ 142分
監督: クリント・イーストウッド / Clint EASTWOOD
製作: クリント・イーストウッド / Clint EASTWOOD
出演: アンジェリーナ・ジョリー / Angelina JOLIE, ジェフリー・ドノヴァン / Jeffrey DONOVAN, ジョン・マルコヴィッチ / John MALKOVICH
ジャンル: ドラマ, ミステリー, ノンフィクション
鑑賞方法: Blue-ray

Saturday, October 13, 2012

刑事物語2 りんごの詩



80年代に名を馳せた名作シリーズ『刑事物語』の第2作目。引き続き片山刑事を演じるのは武田鉄矢。お約束の片山スタイルである長髪に帽子、胴長短足でくたびれたズボン。しかし実は拳法「蟷螂拳」の達人はそのまま。冒頭のシーンでは本作の舞台である青森県弘前市の歓楽街である鍛冶町で、早速その拳法と向こう見ずな性格を披露している。

全5作製作されたシリーズの中でも特に本作は、私が子供の頃に何度も何度も観た作品である。というのも私の出身地が撮影地であるからで、小学生の頃は本作がTVで放映されると知ると家族で必ず観たものだ。シーン冒頭の弘前市鍛冶町や酒井和歌子とその息子が宿泊する大鰐町の温泉宿など、まさに自分が育った街が舞台だけに思い入れが強い。

さて、それから20年以上経ち、今改めて鑑賞してみると、そのストーリーのハチャメチャぶり、薄っぺらさ、無理矢理泣きのシーンに持ち込む軽薄な展開が目に余る。武田の拳法も目の肥えた今では、健康に良さそうなエクササイズにしか見えない。ハンガーヌンチャクも何だかな。そもそもヌンチャクじゃないし。とは言いつつも、そんな細かい突っ込みは本作には無用だろう。若い三浦洋一や何かとお騒がせの寺田農、本作がデビュー作の未來貴子などが脇を固め、個人的な思いも含めて、80年代の日本映画を十分に堪能出来る良作である。(SS)



製作: 1983年 日本 106分
監督: 杉村六郎 / Rokurou SUGIMURA
製作: 
出演: 武田鉄矢 / Tetsuya TAKEDA, 酒井和歌子 / Wakako SAKAI, 未來貴子 (園みどり) / Takako MIKI, 三浦洋一 / Youichi MIURA, 寺田農 / Nou TERADA, 高岡健二 / Kenji TAKAOKA, 岸部四郎 / Shiro KISHIBE, 倍賞千恵子 / Chieko BAISHOU
ジャンル: ドラマ, アクション, コメディ
鑑賞方法: TV, DVD

Friday, October 12, 2012

ターミネーター / Terminator



いまやTVシリーズまで作られるほど巨大な作品となったターミネーターの映画第1作目。30年近くも前の低予算作品であるが、良質なストーリー、未来と現代を交えた物語の基本的なロジック、子供の頃に初めて観た時は本当に恐怖感を感じたほど破壊力抜群のターミネーター。恐らく制作当時は次作を意識していなかったと思われるが、こうしたストーリー設定の品質が高いために、違和感なく次作やTVシリーズが製作されているのだろう。

ストーリーを知らぬ人などいないと思うので省略するが、シュワルツネッガーの名声を高めることになった恐怖のターミネーターと残虐非道なアクション。次作では鉄の女ばりに変貌を遂げる事になるが、本作ではまだ初々しい学生を演じる80年代の髪型が懐かしいリンダ・ハミルトン。レーザーポイント銃やガーゴイルのサングラスなど人々に与えた影響も大きい。時空を超えた人間とサイボーグの闘いは一見すると陳腐、機械戦争やラストシーンも低予算らしい映像だが、このストーリーなら誰も文句は付けれまい。(SS)



製作: 1984年 アメリカ 108分
監督: ジェームズ・キャメロン / James CAMERON
製作: 
出演: アーノルド・シュワルツェネッガー / Arnold SCHWARZENEGGER, マイケル・ビーン / Michael BIEHN, リンダ・ハミルトン / Linda HAMILTON
ジャンル: SF, アクション
鑑賞方法: DVD, TV

ブロンド・ライフ / Life or Something Like It



『あなたの命は残り1週間です。』といきなり宣告されたらどうするだろうか。しかも仕事は順調で大きなオファーが舞い込み、彼氏はメジャーリーガーと公私共に充実している時にだ。一見重く見えるテーマだが、そんな主人公の心情と改めて自己を見つめなおして生きる姿を、努めて明るく軽い感じで仕上げた作品。

前述のとおりテーマの割にはストーリーは薄く、コメディーと不思議感を押し出しているが、そこまで笑えるわけでも無く。ラストもハッピーエンドというか予想通りというか中途半端で、これなら90分くらいにまとめた方が良かったと思う。如何にも安易な日本語版のタイトル通り、アンジェリーナ・ジョリーのブロンドヘアがやたらと美しく、彼女のアップシーンも多いので、ファンの方にはオススメ。(SS)



製作: 2003年 アメリカ 103分
監督: スティーヴン・ヘレク / Stephen HEREK, 
製作: 
出演: アンジェリーナ・ジョリー / Angelina JOLIE, エドワード・バーンズ / Edward BURNS, 
ジャンル: コメディ, ドラマ, ロマンス
鑑賞方法: 映画館, DVD

Wednesday, October 3, 2012

ラッキナンバー7 / Luck Number Slevin



『シックス・センス』や『ユージュアル・サスペクツ』など、全く予備知識無しで鑑賞したほうが楽しめる映画は多々あるが、本作もそうした類の一つ。ジョシュ・ハートネットとブルース・ウィルスにモーガン・フリーマンと豪華なキャスト陣が目立つが、ストーリーもそれに負けてはいない。物語は主人公のスレヴンに起きる不運な出来事から始まる。仕事をクビになり、アパートからはシロアリ被害で追い出され、恋人にも裏切られ、ニューヨークに住む友人のニックを頼って来たが、人違いでマフィアに拉致されてしまう。そこで云われのない借金のカタとして対立するマフィアのボスの息子の殺害を強要され…。

スレイブの不運が続く序盤とモンタージュで描かれる幾つかの殺害シーン。その殺害シーンは時系列なのか否か、スレイヴとは何時何処で交差するのか、様々な謎を残したまま、伏線を撒きながらストーリーは展開する。そして、火サスのようにラストで一気に伏線回収しつつ真実を明らかにする。そこそこ面白いが、しかしこのレベルのオチでは舌の肥えたサスペンス好きには少々物足りないかもしれない。ちなみに、邦題は『ラッキーナンバー7』だが、原題は『ラッキーナンバー・スレヴン (Lucky Number Slevin)』。見終わった後で考えてみたが、"7"に変える必要は無いと断言する。(SS)


製作: 2007年 アメリカ 111分
監督: ポール・マクギガン / Paul McGUIGAN
製作: 
出演: ジョシュ・ハートネット / Josh HARTNETT, ブルース・ウィルス / Bruce WILLIS, ルーシー・リュー / Lucy LIU, モーガン・フリーマン / Morgan FREEMAN, ベン・キングスレー / Ben KINGSLEY
ジャンル: サスペンス, クライム, R15
鑑賞方法: DVD

白い巨塔 (2003フジテレビ) 2/2



 第11回 天国と地獄
 第12回 捨て身
 第13回 カルテ改ざん
 第14回 母の涙
 第15回 判決
 第16回 妻たち
 第17回 一年後
 第18回 師動く
 第19回 嘘だ! 真実の叫び
 第20回 最後の審判 〜 最終回 財前死す

★★★ 熾烈な教授選を闘い抜きついに医学部の外科教授となった財前。海外での講演と公開オペの成功や国際外科医学会の名誉会員へ選出されるなど、栄誉の絶頂にあった財前を待っていたのは、財前が執刀し後に死亡した患者遺族の訴えによる医療過誤裁判だった。第2部はこの裁判を中心に展開される。

物事のきっかけは些細なところから始まるものだ。教授としての自分の診断を絶対視する余り医局員の意見を無視し、患者の命を些細な私欲と天秤に掛けてしまった事が無用の嘘を招き、その嘘が更なる嘘を呼ぶ。嘘を死ぬまで突き通す事が出来るものは少ない。そして無力の者が大きな力を持つ者を突き動かし、裁判は展開していく。医療過誤裁判の現場とは医師を叩く場所なのか、真実を暴く場所なのか。リスクテイクと積極的治療のバランスを鑑みつつ医療裁判の現実を問う、秀逸な社会派フィクションドラマに仕上がっている。一方、ストーリー展開上の多くの重要な場面で東の娘が存在し、財前の愛人も必要以上に露出するといった演出は、個人的には過剰だと思う。

第1話から財前のタバコにをやたらと焦点が当たっていたのでもしやと思ったが、予想を裏切らない結果となった。財前の病魔について最善の治療を考える里見。執刀を引き受けた東。そして死を前にしてもなお無念を募らせる財前。最終話はの完成度は素晴らしく、いがみ合いながらも互いを尊敬できる医師として認め合ってきた財前と里見が語り合う場面は本作最高のシーンだ。決して交わる事は無いと思われていた財前、里見、東という3つの線が再び交差し、財前の死と自らの病理解剖所見をもって物語は終幕する。(SS)


製作: 2003年 日本
原作: 山崎豊子 / Toyoko YAMAZAKI『白い巨塔』
脚本: 井上由美子 / Yumiko INOUE 
出演: 唐沢寿明 / Toshiaki KARASAWA, 江口洋介 / Yosuke EGUCHI, 石坂浩二 / Koji ISHIZAKA, 西田敏行 / Toshiyuki NISHIDA, 伊武雅刀 / Masatou IBU, 小林正寛 / Masahiro KOBAYASHI, 品川徹 / Toru SHINAGAWA, 伊藤英明 / Hideaki ITO, 佐々木蔵之介 / Kuranosuke SASAKI, 沢村一樹 / Ikki SAWAMURA, 平泉成 / Sei HIRAIZUMI, 矢田亜希子 / Akiko YADA, 若村麻由美 / Mayumi WAKAMURA, 水野真紀 / Maki MIZUNO, 高畑淳子 / Atsuko TAKAHATA, 野川由美子 / Yumiko NOGAWA, 上川隆也 / Takaya KAMIKAWA, 及川光博 / Mitsuhiro OIKAWA, 黒木瞳 / Hitomi KUROKI, 池内淳子 / Junko IKEUCHI, かたせ梨乃 / Rino KATASE, 田山涼成 / Ryosei TAYAMA, 河合美智子 / Michiko KAWAI, 木村多江 / Tae KIMURA
ジャンル: ドラマ, サスペンス
鑑賞方法: DVD


 

白い巨塔 (2003フジテレビ) 1/2



山崎豊子の白い巨塔を原作とした長編TVドラマシリーズ。同名のテレビドラマは田宮二郎主演の1966年の大映映画および1978年のTVドラマシリーズが有名であるが、本作は主演の財前五郎に唐沢寿明を迎えてフジテレビ開局45周年記念として製作された作品である。ストーリーは2部構成だが、違和感なく全話が続いており、第1部は主人公の財前五郎の教授選、第2部は医療過誤裁判を中心とした構成で展開される。

財前五郎の同期でもう一人の主人公とも呼べる医師、里見脩二に江口洋介を配し、石坂浩二、伊武雅刀や西田敏行といったベテラン俳優陣が脇を固めており、緻密な人間描写、複雑怪奇な医局制度、裸のままの欲望が闊歩する医学部の病巣を描ききった原作が見事に映像に昇華され、笑いやコメディー色の全くない重厚感のあるドラマに仕上がっている。中でも唐沢の演技は素晴らしく、財前の明暗や善悪の感情表現を完璧に演じ切っており、山崎豊子をして『素晴らしかったです。あなたが財前で良かった。感動しました』と言わしめている(Wikipediaより)。本作は田宮版に負けず劣らないクオリティーと言われているが、とかく比較されている田宮版も観てみたい。

『一介の医局員が教授に意見を述べようなど100年早い』とまで言わせる、教授への権力集中と絶対的な上下関係。教授選という旧態依然の権力争奪戦を舞台に飛び交う金と渦巻く欲望。時に患者の命にさえ優先される自らの保身と名誉への飽くなき欲望が露骨に描かれ、フィクション作品とはいえ、リアリティーという意味では少々度を越しているのは否めないが、そこは山崎豊子原作という事で、予め間引いて観るべきだろう。(SS)




 第1回 (タイトル無し)
 第2回 贈り物
 第3回 土下座
 第4回 落選
 第5回 祝宴
 第6回 父の姿
 第7回 毛嫌い
 第8回 決戦
 第9回 正念場
 第10回 無常 (第一部最終回)

★★☆ 野心に溢れ自分以外の者を愛せない男、財前五郎は食道癌手術を得意とする国立大学医学部の外科助教授である。一方、財前の同期で内科助教授の里見脩二は国立大学病院の医者らしく実直で研究熱心、患者第一の男である。財前の卓越した技量と野心、それを快く思わない退官間近の外科教授、東貞蔵。第一部は財前と対照的な医師である里見や教授である東と財前との確執、東の後任教授を決める教授選とそれに係る教授陣との間の熾烈な闘いを描く。

救命病棟24時や海外ドラマのERなどに見られる、医療用語が飛び交う患者の治療シーンなどは殆ど無く、こうした作品とは全く向きが異なる医療ドラマで、国立大学医学部における魑魅魍魎の人間模様を描いたドラマである。特に教授選を巡るドロドロの駆引きは、もはや医者なのか政治家なのかという程、金や欲望が飛び交う世界が展開される。そうした中で、東貞蔵を演じる石坂浩二の演技が光る。派手さは無いが、しかし、東の内心が透けて見えるが如き演技は、財前演じる唐沢と絡むシーンで最も光る。個人的には財前の愛人や教授婦人会が過剰に出過ぎる演出が少々目にうるさい。また、東の娘や妻も出過ぎでストーリー展開に絡みすぎだろう。硬派な社会派ドラマにはこうした華も必要であろう向きも分かるが。

財前の妻や愛人、舅や大阪医師会まで交えて派手に展開される教授選までの盛り上げに対して、教授が決まるプロセスは省略し過ぎて少々尻すぼみした感があるが、テレビドラマらしく、その先を観たいと思わせる一話一話の構成は流石フジテレビ。CMの無いDVDで鑑賞してて良かった。(SS)


製作: 2003年 日本
原作: 山崎豊子 / Toyoko YAMAZAKI『白い巨塔』
脚本: 井上由美子 / Yumiko INOUE 
出演: 唐沢寿明 / Toshiaki KARASAWA, 江口洋介 / Yosuke EGUCHI, 石坂浩二 / Koji ISHIZAKA, 西田敏行 / Toshiyuki NISHIDA, 伊武雅刀 / Masatou IBU, 小林正寛 / Masahiro KOBAYASHI, 品川徹 / Toru SHINAGAWA, 伊藤英明 / Hideaki ITO, 佐々木蔵之介 / Kuranosuke SASAKI, 沢村一樹 / Ikki SAWAMURA, 平泉成 / Sei HIRAIZUMI, 矢田亜希子 / Akiko YADA, 若村麻由美 / Mayumi WAKAMURA, 水野真紀 / Maki MIZUNO, 高畑淳子 / Atsuko TAKAHATA, 野川由美子 / Yumiko NOGAWA, 上川隆也 / Takaya KAMIKAWA, 及川光博 / Mitsuhiro OIKAWA, 黒木瞳 / Hitomi KUROKI, 池内淳子 / Junko IKEUCHI, かたせ梨乃 / Rino KATASE, 田山涼成 / Ryosei TAYAMA, 河合美智子 / Michiko KAWAI, 木村多江 / Tae KIMURA
ジャンル: ドラマ, サスペンス
鑑賞方法: DVD


 

Monday, October 1, 2012

ネバー・サレンダー 肉弾凶器 / The Marine



ジョン・シナと言えば、WWEの人気レスラー。で、WWEのレスラーで映画に出ている奴といえばザ・ロックだが、シナもこの路線に乗せようとWWEが画策しているようで、本作はその1作目。考えてみれば、WWEの興行自体がプロレスというよりも、ストーリーに乗って肉体を駆使した演技を演じる役者をやっているようなものだから、映画に出演するのも自然な流れかもしれない。

邦題が意味不明なのだが、ストーリーとしては元海兵隊員の主人公が、誘拐された妻を取り戻すために巨悪に戦いを挑むというもの。悪玉の親分にターミネーター2やXファイルでお馴染みのロバート・パトリックを起用している。ロバート・パトリックは演技力も素晴らしく、善も悪も演じられる良い役者だと思うのだが、こういうB級映画の脇役で出ているということは作品に恵まれないのか、マネージメントが悪いのか。

この手のストーリーで巨人的な作品といえばシュワルツネッガー主演の「コマンドー」が金字塔的作品として挙げられるが、これには及ばないとしても、シナの肉体はやはり現役レスラーだけあって素晴らしい。シュワルツネッガーに匹敵する肉体でかつ、動きが俊敏。そして、爆発だろうが車に引かれようが死なないのも良い所。最後はお約束のハッピーエンドで締めると書いても、それはネタバレではなくこの手の作品の既定路線という事でかご容赦願いたし。気軽な気持ちで観ればそれなりに楽しめるストレス発散映画。(SS)



製作: 2007年 アメリカ 92分
監督: ジョン・ボニート / John BONITO
製作: 
出演: ジョン・シナ / John CENA, ロバート・パトリック / Robert PATRICK, ケリー・カールソン / Kelly CARLSON, 
ジャンル: アクション
鑑賞方法: Movie Plus

グッドフェローズ / Gooffellas



よくあるマフィア映画と思いきや、本作は決してファミリーに入ることが許されないアイリッシュ系のマフィアメンバーの実態を、実話に基づいて描いたドキュメンタリー作品。そうは言ってもドキュメンタリー色は全くと言っていいほど無く、主人公のモノローグとナレーター多用しつつ、当時のヒットナンバーを織り込んで、心地良いスピード感で展開させるストーリーが気持ち良い。

ロバート・デ・ニーロやジョー・ペシといった、マフィア映画お約束の配役に少々食傷気味ではあるが、ジョー・ペシの切れた演技が本作のファーストクラス。切れたら何をするか分からないといった雰囲気が映像から滲み出ている。しかし、イタリア人というのは食べることが大好きなんだなと改めて思う。マフィアでもムショでもとにかく良く食べてる。それがまた美味そう。ラストシーンは少し気が抜けるが、「ゴッドファーザー」のような重厚感や人間関係描写などなく、軽い気持ちでさらっと見られる軽快な作品。(SS)



製作: 1990年 アメリカ 145分
監督: マーティン・スコセッシ / Martin SCORSESE
製作: 
出演: レイ・リオッタ / Ray LIOTTA, ロバート・デ・ニーロ / Robert De NIRO, ジョー・ペシ / Joe PESCI
ジャンル: クライム, マフィア, ドキュメンタリー
鑑賞方法: 映画館, DVD