『ミレニアム』の第3部にして完結編。前作で父親であり宿敵であるザラとの闘いで、脳に被弾、生き埋めにまでされ、危うく死の淵まで追いやられたリスベットだが、ミカエルによって発見され一命は取り留めた。しかし、彼女は動くことも出来ず、厳重監視の病室へと隔離されてしまう。一方、元ソ連の上級スパイだったザラを利用して悪事に手を染めてきた『班』と呼ばれる謎の組織と、幼いリスベットの人生を狂わせた精神科医のペーテル・テレボリアンは共謀して、リスベットを闇に葬るための作戦を開始する。対するミカエルは、弁護士である妹のアニカ、リスベットが調査員として働いていた警備会社社長のドラガン・アルマンスキー、そして『班』を徹底調査するよう首相に命じられた公安警察と協働し『班』に立ち向かう。しかし、『班』の狙いはリスベットのみならず、ミカエル、そしてミレニアムの編集員までをも巻き込んでいく。そして舞台は法廷での全面対決となる…。
前回の第2部のレビューで各々が独立したエピソードと評したが、この第3部は第2部と完全に一体となったエピソード。本国で公開された際も、この2作品は時を経ずに立て続けに公開されたのもこの理由だろう。前作で感じたモヤモヤ感も裁判へと至る過程と裁判そのものでスッキリした。聡明で脅威的な記憶力を持つリスベットの活躍は少々なりを潜めているが、ラストでの天才的な行動力は相変わらず観ていて爽快感を感じた。余談だが、出ている俳優陣はもう少し若いのを起用できなかったのだろうか。下世話な言い方だが、出演している俳優がそこら辺のおじさん・おばさんのような人が多く、画に少し元気が無いと感じたのは私だけではあるまい。
本シリーズの優れているところは、謎解きの展開を一貫してテンポよく見せているところだ。基本的に調査や事件の展開が時系列で流れるため、民放2時間ドラマで良くある、最後に荒波押し寄せる絶壁の崖で犯人が独白する新事実的なものも無く、観ている者が入りやすい。それが故にどんでん返し的な要素も無いのだが、それを補って有り余る原作者の筆力と、それを映像にした2人の監督の手腕。リスベット役を演じたノオミ・ラパスの演技力が素晴らしい。また、違法な手法で得た証拠がその場で有効なのかどうかはさておき、『班』との最終対決の舞台は裁判所で、法に則り悪事を裁くラストもハリウッドにありがちな『目には目を』とは一味違うものだ。現状では陽の目を見ることが無いであろう本シリーズの残りを猛烈に観たくなった。(SS)
原題: Luftslottet Som Sprangdes / The Girl Who Kicked the Hornet's Nest
製作: 2010年 スウェーデン, ドイツ, デンマーク 148分
監督: ダニエル・アルフレッドソン / Daniel ALFREDOSON
製作: ソーレン・スタルモス / Sren STRMOSE
出演: ミカエル・ニクヴィスト /Michael NYQVIST, ノオミ・ラパス / Noomi RAPACE
ジャンル: サスペンス, ミステリー, 法廷
鑑賞方法: IMAGICA BS
製作: ソーレン・スタルモス / Sren STRMOSE
出演: ミカエル・ニクヴィスト /Michael NYQVIST, ノオミ・ラパス / Noomi RAPACE
ジャンル: サスペンス, ミステリー, 法廷
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