発売年度の『週刊文春ミステリーベスト10第1位』『このミステリーがすごい!第4位』『本屋大賞』などを総なめし、松たか子主演の映画も大ヒットした、湊かなえのデビュー作。
ある中学校の女性教師、森口悠子は終業式のホームルームで自分は教師を辞めるという事を生徒に告げる。一人娘を校内で亡くした事がその理由だと誰もが気づいていたが、森口は娘の死は事故死ではなく殺されたのだとして、犯人である少年2名を指し示す。そして、罪の償いは警察に委ねず、代わりに彼らに恐ろしい復讐を仕掛けたと宣告する…。ストーリーは『聖職者』『殉教者』『慈愛者』『求道者』『信奉者』『伝道者』の6章から成り、第3章の求道者以降は、本作発表のための書き下ろし作品となっている。なお、第1章の『聖職者』は月刊『小説推理』2007年8月号に初出され、小説推理新人賞を受賞している。
我が娘を殺害された教師である森口、犯人、級友、犯人の家族、と各章異なる人物の視点から見た形式で語らせつつ、事件と復讐劇の真相に迫っていく。驚くのは『聖職者』を書いた時点で、筆者は続編を書くつもりがなかったこと。また、確信に迫り復讐が完結する後半の章に至っては、書き下ろしであるにも関わらず、前半の章で適度に撒かれた伏線など、あたかも最初から全て練られていたようなストーリー展開。はっきり言って読んだ後に胸糞が相当悪くなるが、処女作と思えない圧倒的な筆力と深い構成を堪能できる作品。(SS)
初版発行: 2008年
著者: 湊かなえ / Kanae MINATO
ISBN-10: 4575236284
ISBN-13: 978-4575236286
ISBN-10: 4575236284
ISBN-13: 978-4575236286
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