ミナミの鬼と呼ばれるトイチの萬田銀次郎を主人公とした『難波金融伝 ミナミの帝王』シリーズ。1992年に第1作目が製作されて以来かれこれ10年以上が経つが、2004年最初の作品は区切りの50作目となるシリーズ初の『スペシャル』と銘打たれた作品。製作はよみうりテレビとケイエスエスとの共同制作。また、過去に『スペシャル』と付いた作品はシリーズ第21作目の『ローンシャーク・・・追い込み』と第40作目『裏金略奪』があるが、この2作は『スペシャル劇場版』であって、『スペシャル』というのが本作が最初で最後のようだ。
不動の主役は劇中でも本当に不動となってきた竹内力演じる萬田銀次郎。探偵は前作までの山本太郎演じる公平が引退したのか何なのか居なくなり、本作から桐谷健太演じる真(しん)が新たな舎弟として登場。探偵はいつもの川島なお美演じる速水翔子。ヤーさんはゆうき哲也演じる沢木英雄組長と若頭に天田益男演じる広瀬昇一は変わらず。その他ではスペシャルらしく、宇野ポテト…じゃなくて、元宝塚の大輝ゆう、警察役で常連の大門正明や極道役がよく似合う麿赤兒に隆大介とてんこ盛り。ここまで個性の強い俳優が揃うと河野太郎が余りに普通の男に見えてしまうが、芸人の千原ジュニアや石田靖、シリーズ2回めの登場となる島崎俊郎はそこそこの存在感。
今回の銀次郎の相手は極道の面々。先代が亡くなった杉浦組を組長代行として仕切る姐さんとその下で極道金融を営む若頭。その若頭と跡目を巡って争う代行補佐。一方、四国で計画されているリゾートホテル開発とその地元対策に駆り出された極道の面々。銀次郎は自分の債務者を極道金融に相保証&根保証で借金漬けにされた挙句、臓器担保なる裏手法で海外に飛ばされてしまい、借金が回収不能となっていた。そんな中、沢木組長の紹介で件のリゾートホテル開発の地元対策費が入り用となった中井組長に5000万の用立てを頼まれた銀次郎。その5000万を中井組長に届けたその刹那、何者かにその金を強奪されてしまう…。
50回の節目でもあり、豪華な出演陣に久々の100分越え作品ということで、気合が入ったのだろうが、萬田銀行の金に極道の跡目争いと極道金融を絡めるも、キリ取り手法としては特に鮮やかでも知的でもなく、これといった特色は無い。また、臓器担保で海外に売り飛ばされた銀次郎の債務者や残された家族などの、多くの要素が未回収のまま終幕しており、少々不完全燃焼気味。共演の大輝ゆうは、流石は宝塚出身というか、華がある顔立ちにしてなお迫力があり、極道の姐さん役が良く似合う。とは言っても岩下志麻には敵わないけどね。銀次郎の愛車は黒のSLで変わらず『なにわ310な77-77』。翔子の愛車はまたもや変更でシルバーのBMW Z3。(SS)
製作: 2004年 日本 112分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 桐谷健太 / Kenta KIRITANI, 川島なお美 / Naomi KAWASHIMA, 結城哲也 / Tetsuya YUKI, 天田益男 / Masuo AMADA, 宇野ポテト / Potato UNO, 大輝ゆう / Yu DAIKI, 千原浩史(千原ジュニア) / Hiroshi CHIHIRO, 島崎俊郎 / Toshiro SHIMAZAKI, 石田靖 / Yasushi ISHIDA, 浪花勇二 / Yuji NANIWA, 山西惇 / Atsushi YAMANISHI, 大谷允保 / Mitshuho OTANI, 大門正明 / Masaaki DAIMON, 川野太郎 / Taro KAWANO, 隆大介 / Daisuke RYU, 麿赤兒 / Akaji MARO
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD
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