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Wednesday, October 3, 2012

ラッキナンバー7 / Luck Number Slevin

★★★☆☆

『シックス・センス』や『ユージュアル・サスペクツ』など、全く予備知識無しで鑑賞したほうが楽しめる映画は多々あるが、本作もそうした類の一つ。ジョシュ・ハートネットとブルース・ウィルスにモーガン・フリーマンと豪華なキャスト陣が目立つが、ストーリーもそれに負けてはいない。物語は主人公のスレヴンに起きる不運な出来事から始まる。仕事をクビになり、アパートからはシロアリ被害で追い出され、恋人にも裏切られ、ニューヨークに住む友人のニックを頼って来たが、人違いでマフィアに拉致されてしまう。そこで云われのない借金のカタとして対立するマフィアのボスの息子の殺害を強要され…。

スレイブの不運が続く序盤とモンタージュで描かれる幾つかの殺害シーン。その殺害シーンは時系列なのか否か、スレイヴとは何時何処で交差するのか、様々な謎を残したまま、伏線を撒きながらストーリーは展開する。そして、火サスのようにラストで一気に伏線回収しつつ真実を明らかにする。そこそこ面白いが、しかしこのレベルのオチでは舌の肥えたサスペンス好きには少々物足りないかもしれない。ちなみに、邦題は『ラッキーナンバー7』だが、原題は『ラッキーナンバー・スレヴン (Lucky Number Slevin)』。見終わった後で考えてみたが、"7"に変える必要は無いと断言する。(SS)


製作: 2007年 アメリカ 111分
監督: ポール・マクギガン / Paul McGUIGAN
製作: 
出演: ジョシュ・ハートネット / Josh HARTNETT, ブルース・ウィルス / Bruce WILLIS, ルーシー・リュー / Lucy LIU, モーガン・フリーマン / Morgan FREEMAN, ベン・キングスレー / Ben KINGSLEY
ジャンル: サスペンス, クライム, R15
鑑賞方法: DVD

白い巨塔 (2003フジテレビ) 2/2

★★★★★

 第11回 天国と地獄
 第12回 捨て身
 第13回 カルテ改ざん
 第14回 母の涙
 第15回 判決
 第16回 妻たち
 第17回 一年後
 第18回 師動く
 第19回 嘘だ! 真実の叫び
 第20回 最後の審判 〜 最終回 財前死す

★★★ 熾烈な教授選を闘い抜きついに医学部の外科教授となった財前。海外での講演と公開オペの成功や国際外科医学会の名誉会員へ選出されるなど、栄誉の絶頂にあった財前を待っていたのは、財前が執刀し後に死亡した患者遺族の訴えによる医療過誤裁判だった。第2部はこの裁判を中心に展開される。

物事のきっかけは些細なところから始まるものだ。教授としての自分の診断を絶対視する余り医局員の意見を無視し、患者の命を些細な私欲と天秤に掛けてしまった事が無用の嘘を招き、その嘘が更なる嘘を呼ぶ。嘘を死ぬまで突き通す事が出来るものは少ない。そして無力の者が大きな力を持つ者を突き動かし、裁判は展開していく。医療過誤裁判の現場とは医師を叩く場所なのか、真実を暴く場所なのか。リスクテイクと積極的治療のバランスを鑑みつつ医療裁判の現実を問う、秀逸な社会派フィクションドラマに仕上がっている。一方、ストーリー展開上の多くの重要な場面で東の娘が存在し、財前の愛人も必要以上に露出するといった演出は、個人的には過剰だと思う。

第1話から財前のタバコにをやたらと焦点が当たっていたのでもしやと思ったが、予想を裏切らない結果となった。財前の病魔について最善の治療を考える里見。執刀を引き受けた東。そして死を前にしてもなお無念を募らせる財前。最終話はの完成度は素晴らしく、いがみ合いながらも互いを尊敬できる医師として認め合ってきた財前と里見が語り合う場面は本作最高のシーンだ。決して交わる事は無いと思われていた財前、里見、東という3つの線が再び交差し、財前の死と自らの病理解剖所見をもって物語は終幕する。(SS)


製作: 2003年 日本
原作: 山崎豊子 / Toyoko YAMAZAKI『白い巨塔』
脚本: 井上由美子 / Yumiko INOUE 
出演: 唐沢寿明 / Toshiaki KARASAWA, 江口洋介 / Yosuke EGUCHI, 石坂浩二 / Koji ISHIZAKA, 西田敏行 / Toshiyuki NISHIDA, 伊武雅刀 / Masatou IBU, 小林正寛 / Masahiro KOBAYASHI, 品川徹 / Toru SHINAGAWA, 伊藤英明 / Hideaki ITO, 佐々木蔵之介 / Kuranosuke SASAKI, 沢村一樹 / Ikki SAWAMURA, 平泉成 / Sei HIRAIZUMI, 矢田亜希子 / Akiko YADA, 若村麻由美 / Mayumi WAKAMURA, 水野真紀 / Maki MIZUNO, 高畑淳子 / Atsuko TAKAHATA, 野川由美子 / Yumiko NOGAWA, 上川隆也 / Takaya KAMIKAWA, 及川光博 / Mitsuhiro OIKAWA, 黒木瞳 / Hitomi KUROKI, 池内淳子 / Junko IKEUCHI, かたせ梨乃 / Rino KATASE, 田山涼成 / Ryosei TAYAMA, 河合美智子 / Michiko KAWAI, 木村多江 / Tae KIMURA
ジャンル: ドラマ, サスペンス
鑑賞方法: DVD


 

白い巨塔 (2003フジテレビ) 1/2

★★★★★

山崎豊子の『白い巨塔』を原作とした長編TVドラマシリーズ。同名のテレビドラマは田宮二郎主演の1966年の大映映画および1978年のTVドラマシリーズが有名であるが、本作は主演の財前五郎に唐沢寿明を迎えてフジテレビ開局45周年記念として製作された作品である。ストーリーは2部構成だが、違和感なく全話が続いており、第1部は主人公の財前五郎の教授選、第2部は医療過誤裁判を中心とした構成で展開される。

財前五郎の同期でもう一人の主人公とも呼べる医師、里見脩二に江口洋介を配し、石坂浩二、伊武雅刀や西田敏行といったベテラン俳優陣が脇を固めており、緻密な人間描写、複雑怪奇な医局制度、裸のままの欲望が闊歩する医学部の病巣を描ききった原作が見事に映像に昇華され、笑いやコメディー色の全くない重厚感のあるドラマに仕上がっている。中でも唐沢の演技は素晴らしく、財前の明暗や善悪の感情表現を完璧に演じ切っており、山崎豊子をして『素晴らしかったです。あなたが財前で良かった。感動しました』と言わしめている(Wikipediaより)。本作は『田宮版』に負けず劣らないクオリティーと言われているが、とかく比較されている『田宮版』も観てみたい。

『一介の医局員が教授に意見を述べようなど100年早い』とまで言わせる、教授への権力集中と絶対的な上下関係。教授選という旧態依然の権力争奪戦を舞台に飛び交う金と渦巻く欲望。時に患者の命にさえ優先される自らの保身と名誉への飽くなき欲望が露骨に描かれ、フィクション作品とはいえ、リアリティーという意味では少々度を越しているのは否めないが、そこは山崎豊子原作という事で、予め間引いて観るべきだろう。(SS)




 第1回 (タイトル無し)
 第2回 贈り物
 第3回 土下座
 第4回 落選
 第5回 祝宴
 第6回 父の姿
 第7回 毛嫌い
 第8回 決戦
 第9回 正念場
 第10回 無常 (第一部最終回)

★★☆ 野心に溢れ自分以外の者を愛せない男、財前五郎は食道癌手術を得意とする国立大学医学部の外科助教授である。一方、財前の同期で内科助教授の里見脩二は国立大学病院の医者らしく実直で研究熱心、患者第一の男である。財前の卓越した技量と野心、それを快く思わない退官間近の外科教授、東貞蔵。第一部は財前と対照的な医師である里見や教授である東と財前との確執、東の後任教授を決める教授選とそれに係る教授陣との間の熾烈な闘いを描く。

『救命病棟24時』や海外ドラマの『ER』などに見られる、医療用語が飛び交う患者の治療シーンなどは殆ど無く、こうした作品とは全く向きが異なる医療ドラマで、国立大学医学部における魑魅魍魎の人間模様を描いたドラマである。特に教授選を巡るドロドロの駆引きは、もはや医者なのか政治家なのかという程、金や欲望が飛び交う世界が展開される。そうした中で、東貞蔵を演じる石坂浩二の演技が光る。派手さは無いが、しかし、東の内心が透けて見えるが如き演技は、財前演じる唐沢と絡むシーンで最も光る。個人的には財前の愛人や教授婦人会が過剰に出過ぎる演出が少々目にうるさい。また、東の娘や妻も出過ぎでストーリー展開に絡みすぎだろう。硬派な社会派ドラマにはこうした華も必要であろう向きも分かるが。

財前の妻や愛人、舅や大阪医師会まで交えて派手に展開される教授選までの盛り上げに対して、教授が決まるプロセスは省略し過ぎて少々尻すぼみした感があるが、テレビドラマらしく、その先を観たいと思わせる一話一話の構成は流石フジテレビ。CMの無いDVDで鑑賞してて良かった。(SS)


製作: 2003年 日本
原作: 山崎豊子 / Toyoko YAMAZAKI『白い巨塔』
脚本: 井上由美子 / Yumiko INOUE 
出演: 唐沢寿明 / Toshiaki KARASAWA, 江口洋介 / Yosuke EGUCHI, 石坂浩二 / Koji ISHIZAKA, 西田敏行 / Toshiyuki NISHIDA, 伊武雅刀 / Masatou IBU, 小林正寛 / Masahiro KOBAYASHI, 品川徹 / Toru SHINAGAWA, 伊藤英明 / Hideaki ITO, 佐々木蔵之介 / Kuranosuke SASAKI, 沢村一樹 / Ikki SAWAMURA, 平泉成 / Sei HIRAIZUMI, 矢田亜希子 / Akiko YADA, 若村麻由美 / Mayumi WAKAMURA, 水野真紀 / Maki MIZUNO, 高畑淳子 / Atsuko TAKAHATA, 野川由美子 / Yumiko NOGAWA, 上川隆也 / Takaya KAMIKAWA, 及川光博 / Mitsuhiro OIKAWA, 黒木瞳 / Hitomi KUROKI, 池内淳子 / Junko IKEUCHI, かたせ梨乃 / Rino KATASE, 田山涼成 / Ryosei TAYAMA, 河合美智子 / Michiko KAWAI, 木村多江 / Tae KIMURA
ジャンル: ドラマ, サスペンス
鑑賞方法: DVD


 

Monday, October 1, 2012

ネバー・サレンダー 肉弾凶器 / The Marine

★★☆☆☆

ジョン・シナと言えば、WWEの人気レスラー。で、WWEのレスラーで映画に出ている奴といえばザ・ロックだが、シナもこの路線に乗せようとWWEが画策しているようで、本作はその1作目。考えてみれば、WWEの興行自体がプロレスというよりも、ストーリーに乗って肉体を駆使した演技を演じる役者をやっているようなものだから、映画に出演するのも自然な流れかもしれない。

邦題が意味不明なのだが、ストーリーとしては元海兵隊員の主人公が、誘拐された妻を取り戻すために巨悪に戦いを挑むというもの。悪玉の親分にターミネーター2やXファイルでお馴染みのロバート・パトリックを起用している。ロバート・パトリックは演技力も素晴らしく、善も悪も演じられる良い役者だと思うのだが、こういうB級映画の脇役で出ているということは作品に恵まれないのか、マネージメントが悪いのか。

この手のストーリーで巨人的な作品といえばシュワルツネッガー主演の「コマンドー」が金字塔的作品として挙げられるが、これには及ばないとしても、シナの肉体はやはり現役レスラーだけあって素晴らしい。シュワルツネッガーに匹敵する肉体でかつ、動きが俊敏。そして、爆発だろうが車に引かれようが死なないのも良い所。最後はお約束のハッピーエンドで締めると書いても、それはネタバレではなくこの手の作品の既定路線という事でかご容赦願いたし。気軽な気持ちで観ればそれなりに楽しめるストレス発散映画。(SS)



製作: 2007年 アメリカ 92分
監督: ジョン・ボニート / John BONITO
製作: 
出演: ジョン・シナ / John CENA, ロバート・パトリック / Robert PATRICK, ケリー・カールソン / Kelly CARLSON, 
ジャンル: アクション
鑑賞方法: Movie Plus

グッドフェローズ / Gooffellas

★★★☆☆

よくあるマフィア映画と思いきや、本作は決してファミリーに入ることが許されないアイリッシュ系のマフィアメンバーの実態を、実話に基づいて描いたドキュメンタリー作品。そうは言ってもドキュメンタリー色は全くと言っていいほど無く、主人公のモノローグとナレーター多用しつつ、当時のヒットナンバーを織り込んで、心地良いスピード感で展開させるストーリーが気持ち良い。

ロバート・デ・ニーロやジョー・ペシといった、マフィア映画お約束の配役に少々食傷気味ではあるが、ジョー・ペシの切れた演技が本作のファーストクラス。切れたら何をするか分からないといった雰囲気が映像から滲み出ている。しかし、イタリア人というのは食べることが大好きなんだなと改めて思う。マフィアでもムショでもとにかく良く食べてる。それがまた美味そう。ラストシーンは少し気が抜けるが、「ゴッドファーザー」のような重厚感や人間関係描写などなく、軽い気持ちでさらっと見られる軽快な作品。(SS)



製作: 1990年 アメリカ 145分
監督: マーティン・スコセッシ / Martin SCORSESE
製作: 
出演: レイ・リオッタ / Ray LIOTTA, ロバート・デ・ニーロ / Robert De NIRO, ジョー・ペシ / Joe PESCI
ジャンル: クライム, マフィア, ドキュメンタリー
鑑賞方法: 映画館, DVD

Wednesday, September 26, 2012

ゴールデンスランバー / A Memory

★★☆☆☆

地元の仙台にて凱旋パレードを行なっていた首相を突然襲った爆弾テロ。何者かの陰謀により突然首相暗殺犯に仕立てられた男の逃走劇を描く、日本映画ではありそうで無かったサスペンス。主人公と周りの友人達の「大学時代の思い出話」と「逃走劇」の2軸がモンタージュで描かれ、「思い出話」で撒かれた伏線を、「逃走劇」で回収していくというのが基本構成である。

始まりは、大学時代の友人から呼び出された主人公は「お前オズワルドにされるぞ」と言われるところなのだが、かなり突拍子な感じが否めない。逃走劇も迫力不足でスピード感もなく、逃走エリアが仙台市内限定なので逃走の広がりも無い。逃走している緊張感が無い普通の格好の主人公。逃走に使用する車はこれでもかと目立つボロボロの旧車。謎すぎる協力者と現実離れした逃走の山場。逃走劇を主題にした映画というにはおこごましいだろう。かと言って、大学時代の友人達との人間関係に重きを置くわけでもなく、中途半端なストーリー。コミカルな笑いを混ぜ込んでいるが、ニヤリとさせられるものは数少ない。ラストの伏線回収はいい感じだったので、最後は気持よく見終えたのがせめてもの救い。(SS)


製作: 2010年 日本 139分
監督: 中村義洋 / Yoshihiro NAKAMURA
製作: 
出演: 堺雅人 / Masato SAKAI, 竹内結子 / Yuko TAKEUCHI, 吉岡秀隆 / Hidetaka YOSHIOKA, 濱田岳 / Takeshi HAMADA, 劇団ひとり / Gekidan-Hitori, 柄本明 / Akira EMOTO, ベンガル / Bengal, 大森南朋 / Nao OMORI, 貫地谷しほり / Shihori KANJIYA, 相武紗季 / Saki AIBU, 永島敏行 / Toshiyuki NAGASHIMA, 石丸謙二郎 Kenjiro ISHIMARU, 香川照之 / Teruyuki KAGAWA, 上田耕一 / Koichi UEDA, 竜雷太 / Raita RYU, 伊東四朗 / Shiro ITO, 木内みどり / Midori KIUCHI, 山口良一 / Ryoichi YAMAGUCHI, 
ジャンル: サスペンス
鑑賞方法: DVD

鬼畜 / The Demon

★★★★☆

商売が立ち行かなくなり愛人と隠し子を養えなくなった男が、金の切れ目は縁の切れ目とばかりに3人の隠し子突然押し付けられる。商売を取り巻く状況は厳しさを増し、女房は隠し子に辛く当たり、愛人は行方不明。そんな中、育児放棄と不慮の事故の末に末っ子が栄養失調で亡くなってしまうが、これをきっかけに、男は残りの2人の「処分」に取り掛かる…。タイトルどおりの「鬼畜」ぶりが目に余る主人公の男を緒形拳、その女房のお梅役に岩下志麻を配し、徹底して隠し子に冷徹なお梅と、迷いながらも次第にお梅と共に「処分」に手を染めていく男の心情が見事に描かれた演出と、情景を代弁するが如く上質な音楽が非常に秀逸。一方、人物や風景に寄るシーンでは何故かカメラのズームアップがぎこちない動きで少々気になる。

「鬼畜」とは主人公の男の事なのか、もしくはその妻なのか。はたまた子を捨てて姿を消した愛人なのか。立場や環境や金銭的状況が親が子を思う気持ちに変化を与えようとも、子が親を慕い思う気持ちに変わりは無いのだろう。疑念を持ちながらも親を愛する子供の純粋な心。どんな事をされても父親を好きであり続ける、子の心情が観ているこちらの心に突き刺さる。(SS)



製作: 1978年 日本 110分
監督: 野村芳太郎 / Yoshitarou NOMURA
製作: 野村芳太郎 / Yoshitarou NOMURA
出演: 緒形拳 / Ken OGATA, 岩下志麻 / Shima IWASHITA
ジャンル: ドラマ, サスペンス
鑑賞方法: DVD