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Sunday, January 27, 2013

難波金融伝ミナミの帝王 #56 野良犬の記憶 / The King of Minami #56



シリーズ通算56作目。取り巻きは、舎弟の真に探偵の美咲、沢木組長と広瀬はんといういつものメンバー。債務者には、真が言うところの『色ボケこいた完熟トマト』役の山村紅葉。悪党には、常連俳優の立川貴博と、シリーズ第32作『借金極道』以来2回めの悪役出演となる鶴田忍。その他では、桑原和夫、山田幸伸にトミーズ健と関西芸人もしっかり。

今回の債務者はとある下請け工務店の堀田社長。社会保険庁の独身寮建設工事で内装工事を請け負っていたが、工事完了後も元請けの横井建設が工事代金の3000万を支払ってくれない。挙句には内装仕様が違うなどと言い掛かりをつけられ、堀田は自殺寸前まで追い込まれていた…。一方、大貫ビルサービスの女社長で元社会保険労務士の桃代は、銀次郎の借金も滞り無く返済しており残りもあとわずか。しかし順調な経営のその実態は、就職困難者の雇用に対して国が支払う『特定求職者雇用開発助成金』を狙った詐欺のためのダミー会社だった。桃代は何故こんな詐欺をするようになったのか。その理由は、桃代が以前勤めていた横井建設にあった。横井社長は従業員に助成金詐欺の片棒を担がせながらそれがバレると容赦なく切り捨てた。桃代は資格を剥奪された上に、2年間の実刑まで喰らっていた…。

当時、問題が顕在化した社会保険庁の問題に絡めた時事ネタ系ストーリー。そして、下請けに金を支払わないという極悪建設会社。建設業界にいる私から観れば、請負契約下で工事代金の不払いなど聞いたことがないし、裁判にもならないはずだが、それはさておき『商事留置権』は実は身近な言葉。劇中では、トミーズ健が演じる謎のおっさんの解説が素晴らしく、留置権自体は非常に強力な権利であるが、鍵を渡すという行為は留置権を放棄するに等しいという判例もあるとエラい親切な解説。ちなみに、トミーズ健の出演はこれだけである。

最後の銀次郎のキリ取りは第26作目『追憶』でも使われた『時効停止』。今回は刑事訴訟法第254条『公訴の提起による時効の停止』をキーに、悪徳横井建設に鉄槌が下る。銀次郎の眉墨が太くなって台詞も少なめになってきた。山村紅葉の派手すぎる演技と台詞回しが火サス&土曜ワイドといった2時間ドラマの風情を本作へ持ち込んでいる。(SS)


製作: 2005年 日本93分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 桐谷健太 / Kenta KIRITANI, 岩崎ひろみ / Hiromi IWASAKI, 結城哲也 / Tetsuya YUKI, 天田益男 / Masuo AMADA, 宇野ポテト / Potato UNO, 山村紅葉 / Koyo YAMAMURA, 山田幸伸 / Yoshinobu YAMADA, 高山智浩 / Tomohiro TAKAYAMA, 立川貴博 / Takahiro TACHIKAWA, 鶴田忍 / Shinobu TSURUTA, 桑原和男 / Kazuo KUWAHARA, トミーズ健 / Tommies KEN, 本田清澄 / Kiyozumi HONDA, 江藤潤 / Jun ETO
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD

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