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Friday, June 29, 2012

新 居酒屋ゆうれい



前作の『居酒屋ゆうれい』の続編ではなくリバイバルという作品だろうか。つまり、監督もストーリーも一緒だが、出ている俳優陣が一新された、云わば監督自身のセルフカバー的な作品とも言える。舞台も同じで上総屋の壮太郎と幽霊の前妻静子、後妻の里子と上総屋に集う客の面々。

正直何でこれを作ったんだろうか。さすがに全く同じではまずいからか、前妻の幽霊にそっくりの役を加えたり、里子の元旦那の背景を少々アレンジしてみたりしているものの、それだけでは前作は超えられない。上総屋の常連客である魚屋の主人の飲み代が前作と同じ2,350円だったり、キーとなるシーンでのセリフがまるで同じであったりとなれば、どうしても前作の名優たちを思い出してしまう。

今では絶版となってしまいDVDなども入手不可能。放送してくれたチャンネルNECOに感謝。(SS)



製作: 1996年 日本 113分
監督: 渡邊孝好 / Takayoshi WATANABE
製作: 
出演: 舘ひろし / Hiroshi TACHI, 鈴木京香 / Kyoka SUZUKI, 松坂慶子 / Keiko MATSUZAKA, 生瀬勝久 / Katsuhisa IKUSE, 中村有志 / Yuji NAKAMURA, 名古屋章 / Akira NAGOYA, 津川雅彦 / Masahiko TSUGAWA
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: チャンネルNECO


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居酒屋ゆうれい / Izakaya Yurei (Ghost Pub)



公開年度の国内映画賞を総ざらいにした作品で、横浜下町の居酒屋『上総屋』の主である壮太郎と死別した妻の静子 (といっても幽霊なのだが)、後妻の里子と上総屋に集う客の面々の下町人情ドラマ。

壮太郎を演じる萩原健一、可愛らしい演技が光る山口智子、そして幽霊の室井滋の3人の演技と掛け合いが素晴らしく、しっとりとした演技で魅せつつも笑いを誘う。居酒屋に集う面々もどこか癖のある人ばかりで、特に橋爪功の渋い演技は強い印象を残す。全編をとおして下町の風景を中心とした人情ドラマに仕上げられた作品だが、里子の元旦那役の豊川悦司だけは別で登場するシーンから空気が一変。違和感とまでは言わないが、画が馴染まないと感じたのは私だけだろうか。

一見、幽霊を含めた風変わりな三角関係を中心としたコメディ作品かと思ったが、居酒屋に集う面々のサブストーリーも大きなウェイトを占めており、両者のバランスが上手く仕上げられた最後まで楽しく鑑賞できる秀作。(SS)


製作: 1994年 日本 110分
監督: 渡邊孝好 / Takayoshi WATANABE
製作: 
出演: 萩原健一 / Kenichi HAGIWARA, 山口智子 / Tomoko YAMAGUCHI, 室井滋 / Shigeru MUROI, 三宅裕司 / Yuji MIYAKE, 橋爪功 / Isao HASHIZUME, 豊川悦司 / Etsushi TOYOKAWA, 八名信夫 / Nobuo YANA
ジャンル: ドラマ, コメディ
鑑賞方法: チャンネルNECO


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アラビアのロレンス / Larence of Arabia



アラビアのロレンス』『十戒』『ベン・ハー』などなど、所謂スペクタクル巨編と言われている歴史映画は長い間見ることを遠慮していた。膨大な制作費、大量の人員と資材、長期に渡る撮影、4時間に迫る上映時間で、観る側のこちらも多くのエネルギーを要するこの手の作品だが、アカデミー賞を幾つも取った大作も多く、映画好きとしては避けられない道。すると、IMAGICA BSがアラビアのロレンス完全版を放送するということで、コナコーヒーとハバナ産葉巻を手にまったりと鑑賞することにした。

物語は20世紀初頭の中東アラビア。第一次世界大戦中のこの砂漠の地で激突するトルコ軍とアラブの流浪の民達。大英帝国の軍人であるロレンスはアラブの言葉や文化に精通していることから、軍の命令でアラブとの共闘工作を実行するよう指示され、長旅を経てアラブの民と合流する。その後、アカバ占領やメギドの闘い、ダマスカス占領を経て多大な戦績を挙げたロレンスは、アラブ民族会議を立ち上げ大アラブ王国の設立を支持するが、アラブは既にロレンスを必要としておらず、また、列強によるアラブの分割統治を画策する大英帝国もまた然りであった。こうしてロレンスは失意のまま本国へ帰還する…。

長〜い映画だなというのが偽らざる感想。長編作品らしく、序曲・休憩・終局という黒い背景画面に音楽が流れる映像を途中に挟む3部構成の作品であるが、ここに限らずストーリー全体として冗長感が否めず濃密感に乏しい。もちろんスピード感のある局面もあるが、映画全体としてのスピード感は全く感じない。映画の素材としては面白くもあり深いものであるので、どこかの監督にリバイバルして欲しいものだが、今となっては誰も触れる事が出来ないだろう。一方、冒頭の砂漠での超長回し映像やアカバ占領、メギドの闘いなどにおける大スペクタクル映像など、現在ではほぼ不可能と思われるCG無しの生の映像は文句なく美しく、こういう時代の緻密に作り込まれた映像もたまには良いものである。(SS)



製作: 完全版 1988年 イギリス 227分, オリジナル版 1963年 207分
監督: デヴィッド・リーン / David LEAN
製作: 
出演: ピーター・オトゥール / Peter O'TOOLE, アレック・ギネス / Alec GUINNESS
ジャンル: ドラマ, ヒストリー
鑑賞方法: IMAGICA BS


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Monday, June 25, 2012

極道の妻たち



国内外にヤクザ・マフィア映画は数あれど、彼らの妻を主人公にした映画でかつシリーズ化された映画は『極道の妻(おんな)たち』だけと記憶する。本作は、家田荘子原作の『極道の妻(つま)たち』を元に製作されたシリーズ第1作。人気作だがヤクザ映画の多くの例に漏れずストーリーは至極単純で、大親分の急逝とそれに伴う跡目争いの中で対立する組同士の闘いを、岩下志麻演じる粟津組組長の姐サンである環と、かたせ梨乃演じる杉田組組長の妻で環の妹である真琴の2人を軸に、極道の妻達から見た任侠道を描く。

かたせ梨乃は何故極道の妻になったのかよく分からないし、結婚式のクダリは日本刀でケーキカットしてみたり、同じく東映のヒットシリーズ、ビーバップハイスクールのメンツがそのまま横流れした杉田組は何となく頼りなし。仕舞いには最後の山場のシーンでカット割りが悪く、画が不自然で繋がっていない、という少々グダグダ感のある映像だが、そういうネガティブ要素を補って有り余る岩下志麻の迫力の演技と、『貧乏は女娘を不幸にするんや。』『わては極道と結婚したんと違うんや。たまたま惚れた男が極道やったんや。』などなど、家田荘子が実際に聞いたであろう真実の言葉が、本シリーズが人気を博した最大の理由だろう。(SS)


製作: 1986年 日本 120分
監督: 五社英雄 / Hideo GOSHA
製作: 
出演: 岩下志麻 / Shima IWASHITA, かたせ梨乃 / Rino KATASE, 世良公則 / Masanori SERA, 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 清水宏次朗 / Kojiro SHIMIZU
ジャンル: ヤクザ
鑑賞方法: DVD


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Saturday, June 23, 2012

不毛地帯 (4/4)


日本帰任 〜 石油エネルギー 編
 第14話 百億の賭け
 第15話 邪魔者は消えろ!
 第16話 地獄からの招待状
 第17話 暗号と密約
 第18話 汚れた英雄
 第19話 約束の地



★★★ 知識も経験の無い弱小の近畿商事が挑むには余りにも過酷な世界、それがエネルギービジネス。生き馬の目を抜くこの世界でまたも鮫島が暗躍するが、壹岐も負けてはいない。舞台は日本から中東、パリ。そして、壹岐が地獄を経験した地であるソ連へと移っていく。このエネルギー争奪戦争で竹野内豊演じる兵藤が壹岐の右腕として獅子奮迅の活躍をみせる。

これまでのエピソードが霞んで見え、全て本編のための前置きと思わせる程の完成度。エネルギー資源獲得競争を舞台とした本編は非常に面白く痛快だ。石油公社総裁の貝塚との因縁、商社連合との闘い、石油工区開発権入札を巡る熾烈を極める情報戦。鮫島の攻撃も度を越したレベルに到達し、一時も目を話せないとはこの事だ。一方、壹岐が入社当初に繊維部でイジメまくった石原が再登場する辺りなど思わず笑わずにはいられない。

終始一貫して名優ぶりを遺憾なく発揮した原田芳雄演じる大門社長の大決断。シベリア抑留関連や秋津千里とのサブストーリー。そして最後に再び訪れる彼の地。長編ドラマの最後を飾るに相応しいエピソード。(SS)


製作: 2009年 日本
監督: 
製作:
出演: 唐沢寿明 / Toshiaki KARASAWA, 和久井映見 / Emi WAKUI, 遠藤憲一 / Kenichi ENDO, 岸部一徳 / Ittoku KISHIBE, 原田芳雄 / Yoshio HARADA, 竹野内豊 / Yutaka TAKENOUCHI, 橋爪功 / Isao HASHIZUMEニコラス・ペタス / Nicholas PETTAS, 中原丈雄 / Takeo NAKAHARA, 多部未華子 / Mikako TABE, 斎藤工 / Takumi SAITO, 柳葉敏郎 / Toshirou YANAGIBA, 段田安則 / Yasunori DANDA, 佐々木蔵之介 / Kuranosuke SASAKI, 小雪 / Koyuki, 伊東四朗 / Shirou ITOH, 江守徹 / Toru EMORI, 阿部サダヲ / Sadao ABE, 天海祐希 / Yuki AMAMI, 石橋蓮司 / Renji ISHIBASHI, 品川徹 / Toru SHINAGAWA, 松重豊 / Yutaka MATSUSHIGE
ジャンル: TV, サスペンス
鑑賞方法: DVD


 

不毛地帯 (3/4)


アメリカ赴任 〜 自動車産業 後編
 第9話 悲しい女
 第10話 恋と野望
 第11話 嫉妬に殺される男
 第12話 裏切りの極秘調査
 第13話 喰うか喰われるか




★★☆ アメリカ近畿商事社長として赴任した壹岐は、日本の自動車産業への外資参入というビジネスを舞台に闘うことに。米国自動車産業界ビッグ3の一角フォーク社と交渉が進むにつれ社内における里井副社長との確執は激しさを増しもはや血みどろの闘争劇となってきた。そして壹岐に対する嫉妬かライバル心らか、人格が変わったのではと思えるほど変貌した里井はフォーク社との交渉窓口を壹岐から奪い暴走を始める。こうした近畿商事の内部抗争を横目に鮫島は一見鳴りを潜めたように見えたが、里井の交渉も大詰めの終盤に来て鮫島の逆襲が始まった。

本編から次編に掛け里井と壹岐の社内闘争は思わぬ形で一先ず休戦に入り、物語は新たな展開に移る。兎にも角にもこの時代のビジネスマンは会社のために国のために社会のために猛烈に働いていたんだなと改めて思う。ストーリーに関係のないところだが、妙な存在感を発揮している家政婦のはるさんと鮫島の妻が少々面倒。(SS)


製作: 2009年 日本
監督: 
製作:
出演: 唐沢寿明 / Toshiaki KARASAWA, 和久井映見 / Emi WAKUI, 遠藤憲一 / Kenichi ENDO, 岸部一徳 / Ittoku KISHIBE, 原田芳雄 / Yoshio HARADA, 竹野内豊 / Yutaka TAKENOUCHI, 橋爪功 / Isao HASHIZUMEニコラス・ペタス / Nicholas PETTAS, 中原丈雄 / Takeo NAKAHARA, 多部未華子 / Mikako TABE, 斎藤工 / Takumi SAITO, 柳葉敏郎 / Toshirou YANAGIBA, 段田安則 / Yasunori DANDA, 佐々木蔵之介 / Kuranosuke SASAKI, 小雪 / Koyuki, 伊東四朗 / Shirou ITOH, 江守徹 / Toru EMORI, 阿部サダヲ / Sadao ABE, 天海祐希 / Yuki AMAMI, 石橋蓮司 / Renji ISHIBASHI, 品川徹 / Toru SHINAGAWA, 松重豊 / Yutaka MATSUSHIGE
ジャンル: TV, サスペンス
鑑賞方法: DVD


 

Friday, June 22, 2012

不毛地帯 (2/4)


中東情勢 〜 自動車産業 前編
 第5話 戦争と3人の女
 第6話 決戦
 第7話 妻との誓い
 第8話 愛妻の死!





★★☆ 泥沼の戦闘機選定戦争の後、鉄鋼部長として鉄鋼部門の立て直しなどを経て7年後、壹岐は近畿商事の常務取締役として会社の経営戦略を立てる業務本部長となった一方、近畿商事社内にはわずか入社7年で常務となった壹岐を妬む空気が里井副社長を筆頭に渦巻いていた。そんな中、第3時中東戦争勃発の危機が迫っていた。戦争の開始は同時にスエズ運河の封鎖と運輸コストやすず・ゴムなどの価格高騰を意味する。戦争は始まるのか否か?短期決戦か長期化か?近畿商事にとって重要な判断が壹岐に求められていた。

冒頭から前エピソードを遥かに凌ぐ面白さ。壹岐以下モーレツ商社マンの中東情勢・東南アジア貿易を舞台にした活躍と、壹岐への社内圧力や鮫島との闘争がバランスよく纏められてストーリーが疾走する。一方、小雪演じる秋津中将の娘、千里のサブストーリーは全く違う温度感に少々違和感を感じるが、これはこれでいいのだろう。自動車産業を舞台にした幕は尻切れ気味のため不完全燃焼感が拭えない。(SS)


製作: 2009年 日本
監督: 
製作:
出演: 唐沢寿明 / Toshiaki KARASAWA, 和久井映見 / Emi WAKUI, 遠藤憲一 / Kenichi ENDO, 岸部一徳 / Ittoku KISHIBE, 原田芳雄 / Yoshio HARADA, 竹野内豊 / Yutaka TAKENOUCHI, 橋爪功 / Isao HASHIZUMEニコラス・ペタス / Nicholas PETTAS, 中原丈雄 / Takeo NAKAHARA, 多部未華子 / Mikako TABE, 斎藤工 / Takumi SAITO, 柳葉敏郎 / Toshirou YANAGIBA, 段田安則 / Yasunori DANDA, 佐々木蔵之介 / Kuranosuke SASAKI, 小雪 / Koyuki, 伊東四朗 / Shirou ITOH, 江守徹 / Toru EMORI, 阿部サダヲ / Sadao ABE, 天海祐希 / Yuki AMAMI, 石橋蓮司 / Renji ISHIBASHI, 品川徹 / Toru SHINAGAWA, 松重豊 / Yutaka MATSUSHIGE
ジャンル: TV, サスペンス
鑑賞方法: DVD


 

Thursday, June 21, 2012

不毛地帯 (1/4)



小説『不毛地帯』を原作とした唐沢寿明主演のTVドラマ。本作はフジテレビ製作の全19話からなる長編作品。舞台は終戦後から高度成長期にかけての日本。陸軍士官学校および大学校を経て大本営参謀とエリート軍人の道を歩いた主人公の壹岐(いき)。11年という長く苦しいシベリア抑留を経て再び祖国の地を踏んだ壹岐は総合商社に入社し、戦闘機・鉄鋼・自動車・エネルギーという経済戦争を舞台に再び世界で闘う。

戦後高度成長期の商社マンを主人公としたストーリーは、非常に重厚で熱く、笑いもジョークも無い硬派なドラマ。演じる俳優陣もストーリーに負けない熱い演技で魅せる。だいぶ前になるが、唐沢寿明の舞台をテレビで観たことがある。演目は失念したがその演技の迫力に驚き、舞台に全く興味の無い私が釘付けになったのを覚えている。本作においても原田芳雄、岸部一徳など並み居るベテラン俳優陣に決して劣らない、圧倒的な演技力を見せている。なお、同じく舞台出身者の阿部サダヲも出演しているがこちらはどうだろう。とにかく大袈裟過ぎる演技とこれまた演技じみた小股走りが目に痛い。

ところで『これは架空の物語である。過去、あるいは現在においてたまたま実在する人物、団体、出来事と類似していてもそれは偶然にすぎない』という冒頭の一文が非常にシラける。文自体もおかしいが、似せた名を付けながら偶然と言い張るとは最近の中国のコピー商品のようだ。五菱商事は三菱商事、丸藤商事は丸紅商事など誰でも分かるし、カプシ・コーラやラッキードなどもはや『おフザケ』の領域。また、フィクションを加えているものの、壹岐のモデルは実在する人物であることはよもや周知の事実であり、開口一番の一文がむしろ重厚さを削ぎ落としているのが残念。(SS)



終戦 〜 シベリア抑留 〜 次期国防戦闘機選定 編
 第1話 物語
 第2話 黒い頭脳戦
 第3話 妻と娘の涙
 第4話 俺が殺した





★★★ マイナス40℃の凍てつくシベリアの大地はまさに『不毛地帯』と呼ぶに相応しい。そしてここから本作のストーリーが始まる。11年の長きに渡るシベリア強制労働の後に帰国。その後の2年を他の帰還者の就職支援と静養に当てていた壹岐だが、近畿商事社長の大門の再三の要請により同社へ再就職を決める。軍人経験しか無い壹岐は当初戸惑うものの、岸部一徳演じる東京支社長の里井のもと、次期国防戦闘機選定交渉の担当に配置されてからは水を得た魚のように活躍を見せる。しかし、ライバルである東京商事の鮫島は政治家への働きかけやマスコミ・情報リークに賄賂に女と、ありとあらゆる手を尽くして近畿商事を攻め上げ、泥沼の次期戦闘機争奪戦が繰り広げられる。

冒頭から戦闘機選定に至るまで4作で計200分近くあるが、それを感じさせないスピード感。シベリア抑留のシーンは重く辛いものだが、回想シーンなど幾つかに分割されて配置しており、テレビらしい飽きさせない工夫が見やすい。里井と遠藤憲一演じる東京商事の鮫島が長く続く壹岐の闘いのライバルである。(SS)


製作: 2009年 日本
監督: 
製作:
出演: 唐沢寿明 / Toshiaki KARASAWA, 和久井映見 / Emi WAKUI, 遠藤憲一 / Kenichi ENDO, 岸部一徳 / Ittoku KISHIBE, 原田芳雄 / Yoshio HARADA, 竹野内豊 / Yutaka TAKENOUCHI, 橋爪功 / Isao HASHIZUMEニコラス・ペタス / Nicholas PETTAS, 中原丈雄 / Takeo NAKAHARA, 多部未華子 / Mikako TABE, 斎藤工 / Takumi SAITO, 柳葉敏郎 / Toshirou YANAGIBA, 段田安則 / Yasunori DANDA, 佐々木蔵之介 / Kuranosuke SASAKI, 小雪 / Koyuki, 伊東四朗 / Shirou ITOH, 江守徹 / Toru EMORI, 阿部サダヲ / Sadao ABE, 天海祐希 / Yuki AMAMI, 石橋蓮司 / Renji ISHIBASHI, 品川徹 / Toru SHINAGAWA, 松重豊 / Yutaka MATSUSHIGE
ジャンル: TV, サスペンス
鑑賞方法: DVD



 

マイケル・ジャクソン THIS IS IT / THIS IS IT



2009年に急逝したマイケル・ジャクソン。幻となったロンドン公演 『This is it』のリハーサルシーンで構成された本作はマイケルの遺作でありドキュメンタリー作品。

『歌とダンスが上手いスキャンダラスな歌手』。ベスト盤を持っている程度でそれほど詳しく無かったこの恥ずかしい私見は、本作を見終わった後に完全に叩きのめされると同時に、熱烈なマイケルのファンとなってしまった。しかし、それは素晴らしい歌声やダンスだけが理由でなくマイケルの人柄によるところが大きい。映像からにじみ出る彼の優しさや人を気遣う優しい口調。マイケルが思わず強い口調でやり直しを命じたシーンがある。その刹那、マイケルは『言い過ぎた』という表情になり優しい口調で再度言い直している。語尾には with loveと付けて。

真の天才エンターテナーが見せる歌と踊りはリハーサルとは思えない完成度。見本として彼が見せるダンスのほんの数ステップが、世界中から集ったダンサー達のそれを凌駕し、リズムが少し違うといって口ずさむアカペラに鳥肌が立つ。King of Popとは彼のニックネームだが、それを感じさせない等身大のマイケルがこのドキュメンタリー作品の中にある。(SS)


製作: 2009年 アメリカ 111分
監督: 
製作: 
出演: マイケル・ジャクソン / Michael JACKSON
ジャンル: ミュージック, ドキュメンタリー
鑑賞方法: 映画館, ブルーレイ


HMVジャパン CD DVD

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監査法人



NHK制作の骨太ドラマシリーズの一つである本作は、企業の決算書類や会計の監査を行う公認会計士の集団『監査法人』を舞台にしたドラマ。監査法人の顧客は法人企業であり、言わば飯の種である。しかし、法に則り企業に厳格な監査を実施した結果、時には粉飾決算や資産隠しなどの違法会計を白日に晒し、倒産に追い込むきっかけとなることもある。監査法人びは公認会計士としての職務を忠実に行った結果、自らの顧客を減らしてしまう可能性があるいうジレンマがある。本作は厳格派会計士の小野寺と馴れ合い派の篠原という二人の対立軸を中心に前述のジレンマと葛藤する小野寺の変化とそのジレンマで悩む若い会計士の若杉を中心に監査法人のあり方を描いたNHK制作の骨太ドラマ。

正直言って難しいテーマを見事にドラマ化したNHK ―NHK名古屋というのが驚き― の手腕は、良質な原作があったとはいえ見事かと思うが、キャスティングに関してはどうだろう。豊原功補や特に橋爪功が醸し出す重厚な迫力ある演技は、正にこの社会派作品にピッタリだが、若杉演じる主役の塚本は若すぎる。また、クライアントや先輩会計士に対して『あんた』呼ばわりする辺りなどは、会計士以前に社会人して半人前であり興醒めを禁じ得ない。同様に、松下奈緒演じる会計士も若く先輩やクライアントを全く気遣わない発言から、到底まともな先輩会計士には見えない。

会計士の仕事について私は露知らずだが、全編を通して個人的に引っかかるのは『厳格監査』とは結局何なのだ?ということ。会計士として関連する法案や職務規程に則り監査を行う事は『通常』の業務で『厳格』とはならないだろうと思うのだが。後半は少々展開を急ぎすぎてストーリーが薄くなってくる感が否めないが、それでも会計士としても人しても一皮剥けた若杉をラストシーンで見られることが出来て何とか気持よく終演を迎えることができた。(SS)


製作: 2008年 日本
監督: 
製作: 
出演: 塚本高史 / Takashi TSUKAMOTO, 松下奈緒 / Nao MATSUSHITA, 豊原功補 / Kosuke TOYOHARA, 橋爪功 / Isao HASHIZUME
ジャンル: TV, サスペンス 
鑑賞方法: チャンネル銀河
エピソード: 
 第1話 「会社、つぶせますか」
 第2話 「800億円の裏帳簿」
 第3話 「粉飾の連鎖」
 第4話 「崩壊の序曲」
 第5話 「夢の代償」
 第6話 「会社、救えますか」



 

パルプ・フィクション / Pulp Fiction



タランティーノの名を世に知らしめた出世作とも言える本作は、1994年のパルム・ドールおよびアカデミー賞脚本賞受賞作品。レストランで強盗を企てようとしているカップル。盗まれたトランクを取り返しに来たマフィアのヴィンセントとジュールスの2人。そのギャングのボスの女と一晩付き合う羽目になったヴィンセント。八百長試合に巻き込まれたボクサーのブッチ。それぞれが交錯しながらエンディングに向けて収束していく。ストーリーは各々関連があるが作中では時系列に流れておらず、おやっ?と思うところがあるが、大きな違和感はない。

私がタランティーノ作品で一番好きなのは無駄話。ストーリーに関係のない、もはやアドリブか?と思える無駄話が最高だ。サミュエル・L・ジャクソンなどセリフを覚えるのが大変だったと思える程の、全編に散らばる長い意味の無い無駄話が最高に面白い。出演者が豪華で全員が主役級の仕事を見せるが、本作でのファーストクラスはジョン・トラボルタかと思う。

良質な脚本とそれを最高の映像として纏めあげたタランティーノの才能が結実した本作は、それまで存在したどの映画とも違う完全無欠の最高作品。(SS)


製作: 1994年 アメリカ 154分
監督: クエンティン・タランティーノ / Quentin TARANTINO
製作: ジョン・トラボルタ / John TRAVOLTA, サミュエル・L・ジャクソン / Samuel L JACKSON, ティム・ロス / TIm ROTH, ユマ・サーマン / Uma THURMAN, ハーベイ・カイテル / Harvey KEITEL, ブルース・ウィルス / Bruce WILLIS
出演: 
ジャンル: クライム, ドラマ
鑑賞方法: DVD


 

Monday, June 18, 2012

ハート・ロッカー / The Hurt Locker



第82回米アカデミー賞にて最大のライバル作『アバター』を退け、6部門受賞の完勝で話題をさらった作品。中東イラクのバグダッドで爆弾処理班の班長として赴任したジェームスは、2人の仲間とともに爆弾処理という常に死と隣り合わせの任務を遂行する。

本作はドキュメンタリー作品ではなくフィクションだと認識するが、全編を貫く核となるストーリーは無く、淡々と爆弾処理班の任務遂行映像におまけ程度のチーム内人間関係を添えたものがあるだけである。無茶をし過ぎるが死なない主人公、チグハグかつ尻切れで終わる幾つかのサブストーリー、結末の無いエンディングなど、中途半端な作品だ。

異なる2作品を比べて論ずる事はやや的はずれだが、アバターを差し置いてこの作品がアカデミー賞作品賞を受賞した理由を知りたいものだ。(SS)


製作: 2010年 アメリカ 132分
監督: キャスリン・ビグロー / Kathryn BIGELOW
製作: 
出演: ジェレミー・レナー / Jeremy RENNER
ジャンル: 戦争
鑑賞方法: Movie Plus


 

Sunday, June 17, 2012

ゴルゴ13 第1巻 ビッグセイフ作戦 / Golgo 13 #1



言わずと知れたさいとうたかを氏の名作。国際紛争・政治・経済・文化・歴史・スポーツ・農業・科学・芸術・宗教…この世に存在するありとあらゆるテーマを舞台に孤高の超A級スナイパーであるゴル…いや、デューク東郷の仕事を描く、1969年から一度も休むこと無く連載されている漫画界の大巨人。

本作は初めて読んだのは高校生の頃だろうか。入りは1980年代前半の少年ジャンプ。その後はマガジン系や青年誌系などへと展開する一方、さいとうたかを・小池一夫や叶精作などの劇画にハマり、その中でもゴルゴ13は男なら誰でも憧れるだろうGのキャラクターが好きで単行本を集めていた。集め始めた当初は60巻そこそこの本作も2012年現在で164巻まで伸ばしてきた。ちなみに、私は大型本以外の書籍は全て裁断して自炊済み。部屋もすっきりするので大量の本にお悩みの方にはオススメです。詳しくは私の別ブログの記事でも観て頂ければ。

"G"といえばゴルゴ。街角でGなり13という字を見かけると軽く警戒してしまう程読み込んだ本作は保有漫画愛読度で間違いなくNo.1である。なお、『そのまま絵を見ながら話すんだ…』『ゴルゴダの丘で主イエスに…』『おっとこれは失礼。あなたは利き腕である右腕を人に…』『ゆっくりだ、ゆっくり開けるんだ…』など、お馴染みのセリフにGの特徴や美学、依頼遂行様式が表現されているが、これらは様々なメディアで語り尽くされているのでここでは割愛したい。(SS)




ゴルゴ13 第1巻 ビッグセイフ作戦

ビッグセイフ作戦
★★★ G13初登場。初仕事ではないだろうから初登場ということだ。英国諜報部による殺しの依頼。若いしよく喋る。現金報酬を前金で受け取った際に『領収書はいらないだろうね?』というジョークはもはや語り草。依頼人が裏切った場合は皆殺しが原則だが、そのようなシーンは無い。

デロスの咆哮
★☆☆ とにかく字が多い。コマによっては吹き出しが8割を占めることも。まだ若いのかミスも多く狙撃は成功するものの拘束されてしまうG。しかし最後はキッチリ型に嵌めるのは今も昔も変わらない。

バラと狼の倒錯
★★☆ 娘を黄色いバラという謎の人物に拉致された父親から狙撃を依頼されたゴルゴだが、スコープに映る人物は女だった。Utensilsってそんな意味に使う単語だったのか?2度の偶然は無い、というのは昔からの美学のようだ。

色あせた紋章
★★☆『ダーティーピッグ!』と叫んだのは東側きっての諜報員。なんじゃそりゃ。劇画的なラストシーンで終わる第1巻の最終話はこれぞ劇画という作画で今見ると懐かしい。


初版発行: 1973年
著者: さいとうたかを
ISBN-10: 4845800012
ISBN-13: 978-4845800018




チェイス 国税査察官



ハゲタカ・外事警察・セカンドヴァージンなどNHK製作のTVドラマには民放が制作する旬の出演者頼みの映像と山場でCMを跨がせる薄っぺらいドラマには無い重厚感がある。本作は某映画で有名になった国税査察官と脱税コンサルタントとの国際的な攻防を描いたドラマで全6話構成。

物語は東京国税局査察第20部門所属の春馬国税査察官を中心に、莫大な遺産を継ぐことになるであろう2代目御曹司の檜山、その檜山に脱税を指南するコンサルタントの村雲との駆け引きで展開するが、悪は常に善に先行するもので、春馬が村雲の脱税スキームをチェイスしながら進行し、その舞台は日本のみならずタックスヘイブンとして名高いヴァージョン諸島・シンガポール・香港と世界に広がる。エピソードタイトルにもあるとおり、『タックス・シェルター』『パーマネント・トラベラー』『コーポレート・インバージョン』などの専門用語とそれを操るスキームが適度に解説され、見ている方にも優しい。

冷徹な人物像を求められる井浦新 (出演当時はARATA)の演技は素晴らしく、檜山の父親に会うシーンなど冷酷なその表情にゾクッとしたが、しかし、彼の目がとても優しい事がずーっと気になっていた。冷酷なセリフを発するシーンでも彼の持つ優しい面影が出ているのだ。それが演技なのか否かは知る由もないがミスキャストか…と思いつつ見進めたが、それは間違いだったということにラストシーンで気づかされた。前半の盛り上がりに対して後半は少々物足りず尻すぼみ感が否めないが、いずれNHKドラマの実力を知れる秀逸作。(SS)


製作: 2010年 日本
脚本:  坂元裕二 / Yuji SAKAMOTO 
出演: 江口洋介 / Yosuke EGUCHI, 井浦新 / Arata IURA, 奥田瑛二 / Eiji OKUDA, 益岡徹 / Toru MASUOKA, 斎藤工 / Takumi SAITO
ジャンル: TV, サスペンス
鑑賞方法: TV, チャンネル銀河
エピソード: 
 第1話 「カリブの手品師」
 第2話 「イミテーション・ゴールド」
 第3話 「パーマネント・トラベラー」
 第4話 「復讐」
 第5話 「史上最大のスキーム」
 第6話 「カリブの黒い薔薇」


ソニーストア

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告発 / Murder in the First



3年もの長き間、光の差し込まぬ独房で過ごすと人は一体どうなってしまうのだろうか。1年で30分しか運動できないという環境とはどういうことであろうか。様々な映画の舞台にもなり、現在は西海岸有数の観光地であるアルカトラズ刑務所。この刑務所にて発生したとある殺人事件をきっかけに、弁護士ジェームスと犯人のヘンリー・ヤングがアルカトラズ刑務所、そしてアメリカ合衆国との闘いに挑む。

事実を元にした作品だが、ドキュメンタリー性をほとんど感じさせない脚本が秀逸。配役も最高。クリスチャン・スレイター、ケヴィン・ベーコン、ゲイリー・オールドマン。飲み会がこのメンツだったら面倒くさそうだ。

とにかく観れば分かる。余計な言葉は要らない。ハンカチ必須の最高傑作。


製作: 1995年 アメリカ 124分
監督: マーク・ロッコ / Marc ROCCO
製作: 
出演: クリスチャン・スレイター Christian SLATER, ケヴィン・ベーコン / Kevin BACON, ゲイリー・オールドマン / Gary OLDMAN
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD, The Cinema


  

逃亡者 / The Fugitive



日本国内において様々な海外ドラマが紹介され人気を博しているが、本作の元である『逃亡者』はアメリカTV連続ドラマ史上最も有名な作品の一つである。

妻殺しで死刑判決という無実の罪を被せられた、シカゴの高名な外科医であるリチャード・キンブル。事件は彼の自宅で『義手の男』がキンブルの妻を撲殺するシーンから始まる。無罪を訴えるも無念の死刑判決で刑務所へ移送されるキンブル。しかし、移送車と鉄道の事故により九死に一生を得たキンブルは逃亡しながら『義手の男』の追跡を開始した。一方、連邦保安官補のサミュエル・ジェラードは、事故現場でキンブルが脱走したことを知り、執拗な追跡を開始する。

ハリソン・フォード演じる逃亡者のキンブル、トミー・リー・ジョーンズ演じる追跡者のジェラード。共に頭が切れ大胆な行動力を持ち合わせる感情移入しやすいキャラクター。『逃亡者』と『追跡者』なのでキャラの白黒は付いているが、感情移入の度合いは甲乙付け難く、見ている方は両方のキャラクターになった気分で見られるだろうし、それを見越した展開とラストシーンも秀逸。(SS)


製作: 1993年 アメリカ 130分
監督: アンドリュー・デイヴィス / Andrew DAVIS
製作: 
出演: ハリソン・フォード / Harrison FORD, トミー・リー・ジョーンズ / Tomy Lee JONES
ジャンル: サスペンス
鑑賞方法: DVD

 

ミッドナイト・エクスプレス / Midnight Express



オリヴァー・ストーンが脚本をとった本作は、イスタンブール空港からアメリカへトルコの麻薬であるハシシを持ちだそうとして当局へ拘束されトルコ刑務所に投獄されたアメリカ人旅行者ビリー・ヘイズの実話を元にした作品。

こんな経験したくない、という思いは映画やドキュメンタリーを観て、時々思うことがあるが、本作はまさにそういう思いを聴衆に抱かせる作品。重要なことだが、ビリーが犯した罪は事実であり、彼は犯罪者である。トルコ国内の法に則り下された判決も不当ではないだろう。つまり、ビリーは罪を犯したが故に現地の法で裁かれ刑に服すのだが、しかし、作中で描かれるトルコの刑務所の環境が凄まじい。超恐怖の刑務官、劣悪で不衛生極まりない獄中環境、イカれた囚人たち。プリズン・ブレイクで似たような環境の収容所が描かれていたが、あちらは完全にフィクションで『ありえない』という思いで見ていた。しかしこちらはノンフィクション作品。刑務所のシーンは脚色が相当強いと分かっていても、見ているこちらも気が滅入ってくる。しかし、そんな中でさらなる災難がビリーへ降りかかる…。

78年の作品とは思えない映像と音楽も素晴らしい。作品発表当初は本作で描かれた刑務所内の環境に対してトルコ政府から抗議があったそうだが、そりゃそうだ。描かれ方が酷すぎる。また、本作がきっかけの一つとなり、米・トルコ政府の犯罪人引渡条約締結に至ったという。人や物事には役割というのが必ずあるものだ。(SS)


製作: 1978年 アメリカ 121分
監督: アラン・パーカー / Alan PARKER
製作: 
出演: ブラッド・デイヴィス / Brad DAVIS
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: The Cinema


 

ザ・バンク 堕ちた巨像 / The International



実在した中東イスラム資本のパキスタン系銀行でルクセンブルクに本拠地を構えていたBCCI (Bank of Credit and Commerce International)をモデルにした映画と言われる本作は、マネーロンダリング・武器密輸・ゲリラ援助など法に背く行為を行う巨大国際銀行IBBCの捜査を行うインターポール捜査官の活躍を描いたもの。クライヴ・オーウェンがインターポール捜査官を、ナオミ・ワッツがニューヨーク検事局の検事を演じている。

ドイツのベルリンを皮切りにリヨン、ルクセンブルク、ミラノ、ニューヨークと世界中を舞台に様々な証人や情報提供者と接触をはかる捜査官。しかし、行く先々で銀行が手を回した殺し屋に出し抜かれてしまう。物語は銀行とインターポールとの丁々発止のやり取りかと思ったが、フタを開けてみると、むしろこの殺し屋の追跡に大部分が割かれている。しかし殺し屋は所詮手段のひとつで銀行の中枢にはなかなか迫れない。ラストシーンは少々安易で物足りないし、サジェスチョンが多すぎるが、物語全体としては巨大なテーマを無難にまとめた感が出ている。内容とは関係ないが世界各地の建造物の映像が非常に美しい。(SS)


製作: 2009年 アメリカ, イギリス, ドイツ 117分
監督: トム・ティクヴァ / Tom TYKWER
製作: 
出演: クライヴ・オーウェン / Clive OWEN, ナオミ・ワッツ / Naomi WATTS
ジャンル: サスペンス / アクション
鑑賞方法: Movie Plus


 

Thursday, June 14, 2012

アルカトラズからの脱出 / Escape from Alcatraz



もはや多くを語る必要が無いであろうクリント・イーストウッド主演の傑作脱獄映画。私がまだ小さい頃、地上波の金曜ロードショーで何回も放送され、いったい何度観ただろう。それから随分と月日が経ち大人になった今日でも、今だに楽しめて分かっているのにドキドキする気持ちになれる数少ない作品。

実話を元にした映画だが、細かい手順などは後の創作であろう。しかし、高いIQを持つクリント・イーストウッド演じるフランクを中心に、非常に緻密な計画と実行力で、脱獄不可能と言われたサンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズからの脱出劇を描く本作は、ハードななアクションや盛り上げる派手な音楽などは無いのだが、出演者の迫真の演技と映像で観る者を引き込んでいく。

冷徹極まりない刑務所長と物静かだがしかし熱いモノを秘めたフランクとの対立、いかにも刑務所にいそうな『彼女』を物色中の大男ウルフ、黒人の仕切り屋イングリッシュなど、様々なサブストーリーを絡めながら、最後のシーンまで息をつかせない非常に秀逸な作品。(SS)


製作: 1979年 アメリカ 113分
監督: ドン・シーゲル / Don SIEGEL
製作: 
出演: クリント・イーストウッド / Clint EASTWOOD
ジャンル: サスペンス, 脱獄
鑑賞方法: DVD, IMAGICA BS, TV, etc.

 

Wednesday, June 13, 2012

アイ・ラブ・トラブル / I Love Trouble



私の中でジュリア・ロバーツといえばプリティーウーマンくらいで、あまり記憶に無いので丁度良いタイミング。本作では新米新聞記者に扮するジュリア・ロバーツとニック・ノルティが演じるライバル紙の看板コラムニストとの掛け合いをコメディータッチで描いた作品。

とある事件の真相を探りながらスクープを奪い合う二人の新聞記者。はじめは争っていた2人だが、互いに協力して調査取材をおこなようになり、やがて恋が芽生える…。という超定番のストーリーだが、絵になる2人のやり取りが素晴らしく、ストーリーに引き込まれる。ジュリア・ロバーツの登場シーンなど思わずニヤリとなってしまった。

アクションシーンもあるにはあるが、リアルさを追求しない適度なユルさが逆に本作の良い所だろう。二人の駆け引きとテンポ良く進むストーリー展開で、気持よく鑑賞できるバランスの良い作品に仕上がっている。(SS)



製作: 1995年 アメリカ 123分
監督: チャールズ・シャイア / Charles SHYER
製作: 
出演: ジュリア・ロバーツ / Julia ROBERTS, ニック・ノルティ / Nick NOLTE
ジャンル: コメディー, サスペンス
鑑賞方法: Movie Plus


  

ブロウ / Blow



ドラッグが広まる前の世界からドラッグを広めたジャンキーのドキュメンタリー。ジャンキー映画はSF映画と似たところがあっておかしな描写や辻褄合わせもドラッグの幻覚や抽象表現として片づけられる傾向があってあまり好きではないんだけどそこはドキュメンタリー、多少の脚色はあるだろうがおかしなシーンはなかったように思う。

ジョニーデップ演じる田舎の貧乏青年ジョージが巨デブで使える友人とカリフォルニアに引越し、ビーチでマリファナを捌いて荒稼ぎしディーラーデビュー。そのうちスチュワーデスの恋人を使ってNYにまで手を広げ規模を拡大していく。金の集まる場所には悪魔もついて回るわけで、明るくヘルシーだったジョージの周りは次第に暗いヤクザな世界に様変わりし、翻弄されていく。転落パターンすな。

華を添えるのはベネロペ・クルス演じるジョージのトロフィーワイフ、マーサ。ヤクザな世界にはお約束の美しきダメ女。派手でエロくて美しい我儘女。妊娠中でもシャブは止められない。全盛期のマーサも勿論魅力的だけど、落ちぶれたマーサは腐っても鯛、汚いジャージとだらしない頭でもどこかいい女。対照的に腐ったサバなジョージは詰め物のでっぷりお腹がイケてない。

ダメ男とダメ女の間にできた一人娘との約束を果たせず刑務所でボケていくジョージ。この結末のすっきりしなさ感はドキュメント映画なんだと納得させる様。因みに、2014年に出所予定なので、その頃にはまたドキュメント続編が期待される。ジョージ・ユング72歳、娘との約束。かな。(YS)


製作: 2001年 アメリカ 124分
監督: テッド・デミ / Ted DEMME
製作: 
出演: ジョニーデップ / Johnny DEPP, ペネロペ・クルス / Penelope CRUZ
ジャンル: マフィア, ドキュメンタリー
鑑賞方法: DVD


Tuesday, June 12, 2012

ペリカン文書 / The Pelican Brief



米国最高裁判所判事をはじめとした複数の司法関係者を巻き込んだ連続殺人事件。検察官を目指して法学部に通う女子大学生が自分なりの犯人予想をしたためたレポート。そんな何気ない女子大生のレポートはいつしか『ペリカン文書』と呼ばれ、大学教授の手からFBI、ホワイトハウス、そしてついには大統領と出まわる。そして、その内容は彼女の命を次第に危ういものにしていく。

普通の女子大生が作成した文書が国家上層部や悪の黒幕を動かしていく、という喰い付きの良い餌を撒かれているので期待感は大きいが、鑑賞後の満足感は少々物足りない。ペリカン文書の内容を隠しつつもジュリア・ロバーツが逃走する序盤の展開は良いのだが、後半までそのテンションが保てないのは、満を持して明らかになるペリカン文書の内容が薄いからか。(SS)


製作: 1993年 アメリカ 141分
監督: アラン・J・パクラ / Alan J PAKLA
製作: 
出演: ジュリア・ロバーツ / Julia ROBERTS, デンゼル・ワシントン / Denzel WASHINGTON
ジャンル: サスペンス, ミステリー
鑑賞方法: DVD, Movie Plus



 

Sunday, June 10, 2012

インセプション / Inception



劇場公開前のCMを見て何となく気になっていたのだが、そもそもマトリックスとかそういう感じの映画は嫌いでは無いので、映画館で鑑賞した作品。ストーリーは少々難しく、ターゲットとなる人の夢に侵入し、脳内のアイデアを盗むプロフェッショナルの男が、とある条件と交換に請けた仕事は、逆にターゲットにアイデアを植え付けるというもの。

派手なアクション映画のように無思考で過ごす映画鑑賞も楽しいが、本作のようにストーリーについて真剣に考えるというのもまた良いものだ。しかし、思考しながら真剣に見て理解しつつもストーリー展開に付いていけるのは、夢の第2階層くらいまでだろうか。夢の中で更に夢を見るという階層構造の中で展開されるストーリーも、深くなるにつれて段々複雑になっていく。アクションシーンもあるがストーリー背景の理解が乏しいと面白みは半減する。

好き好みがはっきりと分かれる作品。好きになった人は何回でも観るかもしれない。私はというと、無駄なことを考えない単純な映画が観たくなった。(SS)


製作: 2011年 アメリカ 148分
監督: クリストファー・ノーラン / Christopher NOLAN
製作: 
出演: レオナルド・ディカプリオ / Leonardo DiCAPRIO, 渡辺謙 / Ken WATANABE
ジャンル: SF, サスペンス, アクション
鑑賞方法: 映画館, DVD


 

Thursday, June 7, 2012

レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏 / Les Arbitres



EURO2008という欧州最高峰の舞台で活躍するサッカー審判の苦悩、プレッシャーや喜びを描いたスポーツ・ドキュメンタリー。微妙な判定が時には政治家を巻き込み、熱くなった論争は国家間の問題へと発展する。このようなスポーツはサッカーだけであり、その論争はプレーそのものではなく判定に起因することが多い。そんな判定に携わるサッカーレフェリーが受けるプレッシャーたるは完全に我々の想像の向こうである。

ドキュメンタリーにありがちな盛り上げるナレーターや儀礼的な解説もなく、普段は絶対に聞くことが出来ない試合中の審判同士の会話、試合後のミーティングや心配する家族の会話など、まぎれもない真実の会話のみで構成された真実のドキュメンタリー作品であり、サッカーファンならば外すことの出来ない作品であろう。(SS)


製作: 2009年 ベルギー 77分
監督: イヴ・イノン / Yves NINAT
製作: 
出演: 
ジャンル: スポーツ, ドキュメンタリー
鑑賞方法: J-Sports



はなれ瞽女おりん / Melody in Gray



恥ずかしながら本作を観るまで瞽女(ごぜ)のことを知らなかった。瞽女とは盲御前(めくらごぜ)の略で、鼓や三味線を弾き歌を歌って門付けをする盲目の女芸人の事だそう。本作の舞台は大正初期。瞽女は瞽女でも掟を破って男と寝たがために瞽女屋敷から追い出されてしまった岩下志麻演じる『はなれ瞽女』と原田芳雄演じるどこか影のある男の物語。

役柄上全編をとおして目をつむったままであっても、岩下志麻の演技は相も変わらず秀逸。樹木希林もはなれ瞽女を演じているが、こちらは目を開けたまま。誰が決めたか知らないがその設定は正しいかと思う。西田敏行や小林薫ら今はベテランとなった多くの俳優が若い演技を見せているが、西田敏行のコミカルさや小林薫の過ぎた演技が面白い。

瞽女を一括りで不幸な人などと言うつもりはないのだが、おりんの生い立ちをみるにこれを不幸と言わずにはいられない。そんなおりんの物語を北陸の冬のシーンに重ねて描写した前半は見ている私も心がどんよりとしていたのだが、男と出会ってからのシーンは夏の美しい風景と重ねて描かれており、少々短絡的な演出だが見ているこちらも不思議と気持ちが晴れてくる。鑑賞するに連れ気持ちがどんどんおりんに入って行ったせいか、山谷あって最後に迎えるラストシーンは悲しく受け入れがたい。それだけにラストに至るおりんの行動や心のプロセスをもっと知りたかった。

見終わった直後はピンとこなかったが、その後しばらくおりんについて考えてしまった。盲でこの世に生を受け、母親に捨てられ瞽女になり、愛する男には抱かれたいと望んでも叶わないのに、愛していない男は拒んでも拒み切れない。そして何気ない行為が束の間の幸せとその後の人生を壊してしまう。そんなおりんをとおして瞽女の世界を北陸の美しい映像で綴った作品である。

個人的には映画は楽しいものでなければ、と思うが、楽しくなければ映画じゃない、と言うのとは違う。本作は決して楽しい映画ではないが、大衆娯楽映画が提供する一刻の快楽とはまた違う、長く琴線に触れる何かを得ることが出来るだろう。(SS)


★☆

いつの時代にも軽率で無邪気な愛らしい女はいるもの。主人公のおりんちゃんは生まれた時から目が見えなくて、幼い頃に瞽女屋敷に引取られる事に。そこでは目の見えない女ばかりが集まって生活をしていて、三味線を弾いたり歌をうたって家々を回り、お米や野菜のおこぼれをもらって生計をたててるんだ。目は見えずとも唇にあてがった針に糸を通す事も、遠くからの訪問者も足音で誰が何人くるかさえ解る。そんな瞽女屋敷での絶対ルールは男と寝ない事。「男と寝たら、落とされる」女親分のかあさまが度々言う。

しかし、そこはおりんちゃん。言動がスキだらけのうえに若くて可愛い。そんなおりんちゃんを男どもが放っておくわけがなく、夜這いに襲われ男を知ってしまう。初めての感想は「なぁんて、男と寝るのは温い(ぬくい)もんだ…」だ。そこからおりんちゃんの人生の選択ミスが始まる。

幼少期に捨てられた寂しさを埋める様にゆきずりの男に体をゆるし、金をもらい、温めてもらう。避妊もせずに子どもができれば生み捨てる。そんな堕落した生活もある男に出会い変わってゆくが、まともな生活をしたのも束の間、また好色が災いして不幸へと。ラストシーンは今まで見た事のない、静かで衝撃的な画にぎょっとした。

北陸なまりのおりんちゃんが「ぬくめてくだせえ~あにさまぁ」とねだる姿はなんとも素直で可愛らしかった。微笑みながらおにぎりやまんじゅうをむさぼり食べるその姿も何とも愛らしく、男が守ってやりたいという気持ちが女のあたしにも解るようだった。

おりん。この響きがなんとも可愛くて、もし次に女の子ができたならば名付けてみようかと思うけど、この物語のように不幸になるようで怖いから、やっぱりやめようか。(YS) 


製作: 1977年 日本 117分
監督: 篠田正浩 / Mashiro SHINODA
製作: 
出演: 岩下志麻 / Shima IWASHITA,  原田芳雄 / Yoshio HARADA
ジャンル: ドラマ, ヒストリー
鑑賞方法: DVD

  

Tuesday, June 5, 2012

FBI 失踪者を追え! シーズン 4 / Without a Trace Season 4 (2/2)



Without a Trace / FBI 失踪者を追え! のシーズン4 全24話の後半12話。(SS)

第13話 「怒り」/ Rage
★★☆ 熱心な教師が教え子ともに失踪。天職とも言える自分の仕事に対する誇りと熱意は第11話の消防士とダブる。いつも冷静で優しいヴィヴィアンが失踪した子どもの母親を取り調べるシーンで声を荒げたのは同じ母親として許せなかったからだろうか。

第14話 「丁か半か」/ Odds or Evens
★☆☆ ジャックが東京に出張。ジャックが東京の街で松方弘樹演じるヤクザと話し、甲冑のある部屋でお辞儀するシーンは中々の違和感。第5話もそうだったが日本や韓国に対する考証が不自然。意図的かもしれないが。しかしジャックは東京に来る必要があったのか。

第15話 「平凡な主婦の見たもの」/ The Stranger
★★☆ タイトル通りの平凡な主婦が知ってしまったとんでもない事実。ここ数回続いているジャックのパーソナルストーリーと事件が交錯する。失踪者が見つからないケースは過去にも幾つかあるが、見つけないケースもある。今回はどうだろう。

第16話 「小さな手」/ The Little Things
★☆☆ 突然息子が誘拐された夫婦。妻はすぐに駆けつけたが製薬会社に勤める夫はFBIからの通報後行方不明に。一見無関係に見える息子の失踪と夫の行方不明を繋げる事実とは。そろそろマーティンがやばくなってきたな。

第17話 「レイチェルの人生指南」/ Check Your Head
★★☆ 広場恐怖症の女が2年ぶりに外へ出たものだから行方不明者扱いに。そして迎えた結末はこれまでのWithout a Traceではあまり見かけないイージーなものだが何故か晴れ晴れとした気分。こういうカジュアル感もたまには良い。

第18話 「15歳の闘い」/ The Road Home
★★★ 母親の失踪で3人の子供達を抱えてしまった15歳の少年の悲哀、ヴィヴィアンの厳しさと優しさ、事故の後遺症に悩むマーティン、サマンサとダニーの同僚を思う心。全ての要素を織り込み高密度のストーリーながら良バランスで仕上げられた秀作。

第19話 「新たな命」/ Expectations
★☆☆ HIVポジティヴで出産予定2週間前の女性が失踪。知らなかったのだが、HIV陽性で妊娠しても産まれる子供の99%は無事だそうで。しかし、出産前の女性にこれだけのストレスが与えられると大変だよな。

第20話 「見つけた居場所」/ More Than This
★★☆ 恵まれない子を引き受ける施設の職員には似つかない裕福な家庭に育った男が行方不明に。少々後味の悪い事実が明らかになり、やるせいない気持ちになりかけたところをラストシーンに救われた。

第21話 「割れた氷」/ Shattered
★☆☆ フィギュアスケートの選手はコーチが非常に重要なのだろうと思う、素人目に見ても。それはさておき、フィギュアスケートの選手が行方不明になった。アメリカでは高校生でも薬物が蔓延しているのかという題材。そろそろジャックの活躍が観たい。

第22話 「不運の代償」/ Requiem
★☆☆ 妻は病気で亡くなる、仕事はクビになり借金も払えなくなる、娘の彼氏は悪党、息子は殺人に巻き込まれ、あげく一家は行方不明に。クタクタになるほど不運な家族だが、そこにはメゲそうになりながらも家族を守るため立ち上がる父親の姿があった。

第23話 「命の格差」/ White Balance
★☆☆ 同時刻に行方不明となった白人学生と黒人学生。本ドラマに限らず1シーズンに数回は取り上げられる人種問題が2つの事件の間を貫き、マスメディアやFBI上層部を巻き込んでチームに不和を広げていく。事件展開よりも差別問題がエピソードの中心。

第24話 「人生の転機」/ Crossroads
★★★ ブランドン久しぶり!と思った刹那、衝撃のシーンで幕を開けるラストエピソード。物語の展開にスピード感がありアクションシーンも多く短時間によくぞここまで詰め込んだなと感心する出来。冒頭の"ツカミ"シーンの後に、十数時間前に話が巻き戻る、という展開がスピード感を失わせているが、それでも最後まで寸分足りとも飽きさせない展開に製作者の辣腕を見ることができる秀逸なエピソード。


製作: 2008年 アメリカ
監督: 
製作: ジェリー・ブラッカイマー / Jerry BRUCKhEIMER
出演: アンソニー・ラパリア / Anthony LaPAGLIA, ポピー・モンゴメリー / Poppy MONTGOMERY, マリアンヌ・ジャン−バプティスト / Marianne JEAN-BAPTISTE, エンリケ・ムルシアーノ /  Enrique MURCIANO, エリック・クローズ / Eric CLOSE, ロゼリン・サンチェス / Roselyn SANCHEZ
ジャンル: TV, サスペンス, FBI, 
鑑賞方法: DVD



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Friday, June 1, 2012

FBI 失踪者を追え! シーズン4 / Without a Trace Season 4 (1/2)



Without a Trace / FBI 失踪者を追え! のシーズン4 全24話。第1話こそシーズンを跨ぐ続き物だが、それ以外は1話完結のストーリー。いつもながらテンポの良い展開とアメリカTVドラマ独特の凝縮感が見ている者を飽きさせない。(SS)

第1話 「正義が果たされる時」/ Showdown
★★☆ シーズン3からの続き物。珍しく激しいアクションシーンから始まる。事件に介入する上層部とジャックのやり取りが見もの。

第2話 「安全を守る者」/ Safe
★☆☆ ロザリン・サンチェスがエレーナ・デルガド捜査官役としてチームに参加しており、レギュラーエピドードが始まる。

第3話 「焼かれた手帳」/ From the Ashes
★★☆ とにかくお金を稼ぐため無理を押して売春をする女。新捜査官のエレーナが少しづつチームに溶け込みながら事件の解決に当たる。失踪と言うよりもしばらく外出してました感が強いが、まぁいいか。

第4話 「失われた時間」/ Lost Time
★★☆ ジャックとヴィヴィアンが担当した7年前の事件の行方不明者が再び目撃されたとの情報が。しかし、事件の犯人は既に収監されている。当時の事件を洗いなおしたジャックはある事に気づき…。  

第5話 「名誉と束縛」/ Honor Bound
★☆☆ 保守的な韓国系移民の家庭の娘と兄のスレ違いが産んだ悲劇。こういうどんでん返しではすっかり驚かなくなった。

第6話 「死者の祭り」/ Viuda Negra
★★★ 旅先のメキシコ旅行を満喫するとある夫婦だが、しかし妻の目の前で夫が誘拐事件に巻き込まれてしまった。ジャックとダニーがNYを離れ、メキシコにて捜査を敢行する。シリアスなストーリーだが、どこか軽妙でテンポが良い。

第7話 「写真の少女」/ The Innocents
★★☆ 児童ポルノに関連するこの手の犯罪は見てるだけでもヘドが出る。行方不明者はすぐ発見されたのだが、そこから繋がった糸の先にある新たな事件をチームで解決するのがどうも。内容としては非常に良いのだが、その事件は行方不明者捜索チームの担当じゃないだろう。

第8話 「ホプキンズ家の息子」/ A Day in the Life
★★★ 最初から最後まで行方不明者である息子の両親の視点から描かれており、普段とは違う視点で組み立てられている。この視点からみたジャックのチームは少々冷たい感じを受けるなか、ヴィヴィアンの優しさが光る。愛する息子を案じる両親の心を演じる夫婦役の俳優2人の演技が秀逸。

第9話 「友の失踪」/ Free fall
★★☆ ジャックの古い友人と産業スパイが絡む失踪事件。自分のケツは自分で拭くタイプの老齢なFBI捜査官はその妻もまたFBI捜査官であり、二人ともジャックの古い友人でもある。濃密感が少ないストーリーだがラストへの持って行き方はさすが。

第10話 「幕が下りる時」/ When Darkness Falls
★☆☆ 捜査官の個人的な背景に関するストーリーが絡んでくると、本筋の事件に関するストーリーが薄くなるのはしょうがない。シリーズもここまでくるとファンなら各捜査官のパーソナルな部分に興味が出てくるし。ところで、マーティンの行動を見てERのカーターを思い出した。アメリカドラマらしい展開。

第11話 「父の遺言」/ Blood Out
★★☆
元ギャングの消防隊員が失踪した。ある若者を救うために。前エピソードに引き続きジャックのパーソナルストーリーと並行して事件の真相が明らかにされる。しかし、聖職者が必ず聖人とは限らないものだ。

第12話 「患者X」/ Patient X
★★☆ 失踪というか誘拐事件だと思うが、とにかくジャックのチームが事件を担当。医者の不養生というが、まぁ完璧な人間などはなかなか居ないもので。マーティンのロールが次第に大きくなってきた。


製作: 2008年 アメリカ
監督: 
製作: ジェリー・ブラッカイマー / Jerry BRUCKhEIMER
出演: アンソニー・ラパリア / Anthony LaPAGLIA, ポピー・モンゴメリー / Poppy MONTGOMERY, マリアンヌ・ジャン−バプティスト / Marianne JEAN-BAPTISTE, エンリケ・ムルシアーノ /  Enrique MURCIANO, エリック・クローズ / Eric CLOSE, ロゼリン・サンチェス / Roselyn SANCHEZ
ジャンル: TV, サスペンス, FBI, 
鑑賞方法: DVD




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