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Thursday, August 30, 2012

ワイルド・スピード X2 / 2 Fast 2 Furious



思わぬヒットを飛ばした前作に引き続き、チューンド日本車が大暴れする続編。主人公は前作同様にポール・ウォーカーが演じるブライアンだが、今回はR34GT-Rで登場。警官も辞めたし、どこからその改造費を捻出しているんだろう、という疑問はどうでも良いか。しかし、R34 GT-Rは冒頭の数分で退場し、その後はGTウィングを奢ったランエボで大暴れする。そして今回もご多分に漏れずブライアンが再び潜入捜査官として犯罪組織に潜り込む。

ストーリーに関しては前作同様にどうでも良く、とにかくチューンド日本車の走りっぷりを楽しむ作品。ここまで、日本車万歳の映画ならばもう少しチューン仕様について詳しく触れてもいいと思うし、HKSやらTRUSTやらSPOONやらもスポンサーとして、シーンに露出しても良さそうだが、そういう細かいのは一切なし。薄っぺらいストーリーなので評価は分かれるが、走り屋系の車が大好きなので星2つ。(SS)


製作: 2003年 アメリカ 108分
監督: ジョン・シングルトン / John SINGLETON
製作: 
出演: ポール・ウォーカー / Paul WALKER, タイリース・ギブソン / Tyrise GIBSON, エヴァ・メンデス / Eva MENDES
ジャンル: アクション
鑑賞方法: DVD

ワイルド・スピード / The Fast and the Furious



ハリウッド製作の改造車をストーリーの軸に据えたあ映画とくれば、アメ車が中心と思いきや、出てくる車は殆どに日本車ばかり。むしろ、改造された日本車がアメ車をブチ負かすシーンが多く、アメリカ映画らしくない本作。低予算の映画ながら予想外の大ヒットを記録したらしく、結局シリーズは5作目まで製作されている(今のところ)。

チューンドカーによるストリートレースだけでは、女やらライバルとの死闘やらを交えても流石に2時間は持たないだろうから、主人公を潜入捜査官にして、潜入先の悪人達との間に芽生えた友情と、捜査のどちらを取るかに揺れる心を描いてはいるが、まぁ良くある話でストーリーは正直なところ軽薄である。そんな事より、GT-Rやスープラ、RX-7といったチューンド日本車の爆走映像を楽しむことに主眼が置かれたカーアクション・ムービーと思えば気軽に見られる。NOSを使って外装を派手に作りこむ辺りがアメリカっぽいが、日本のチューンドパーツメーカーのロゴステッカーが貼られていたり、GTウイングが付けられており、当時の日本のトレンドが反映されているのも面白い。日本車が中心に置かれた海外製カーアクション・ムービーは余りお目にかかる事が少ないので、そういう意味では貴重なシリーズ。(SS)


製作: 2001年 アメリカ 107分
監督: ロブ・コーエン / Rob COHEN
製作: 
出演: ヴィン・ディーゼル / Vin DIESEL, ポール・ウォーカー / Paul WALKER
ジャンル: アクション
鑑賞方法: DVD

ラスト・ターゲット / The American



個人的に格好いい俳優部門でかなり上位のジョージ・クルーニーを主演に据えたクライム・サスペンス。独特の顔を傾げながらの演技をするクルーニーが、口数の少ない裏稼業の男を淡々と演じている。

主人公の生業はどうやらスナイプや銃の製作のようだが、別に解説が有るわけでないし、何故命を狙われているのか、何故北欧に居たのか、依頼者や協力者は誰なのか、等々最後に至るまで背景の説明はほとんど無い。ただ、裏の世界に生きる職業的テロリストである彼の仕事が、余計な台詞も派手なアクションもそこそこに、淡々と映像に映し出されていく。依頼された銃を製作する場面はやたら描写が細かく、モノづくりが好きな私にとっては好きなシーンの一つだが、前述のとおりのあっさりしたストーリー進行もあって、万人受けする映画では無いことは確か。

デューク東郷ほど自分を律した機械的殺人者では無いにしても、クルーニー演じる主人公が必然的に抱える不休の緊張感は観る者にも十分伝わってくる。イタリアの田舎を舞台にした映像は美しく、ストーリーも良いのだが「ラスト・ターゲット」という邦題が至極残念。このタイトルを考えた人は映画を見ずに考えたとしか思えない。(SS)



製作: 2011年 アメリカ 105分
監督: アントン・コルベイン / Anton CORBIJN
製作: 
出演: ジョージ・クルーニー / George CLOONEY, ヴィオランテ・プラシド / Violante PLACIDO, テクラ・ルーテン / Thekla REUTEN
ジャンル: クライム, サスペンス
鑑賞方法: Imagica BS

Wednesday, August 29, 2012

ジュマンジ / Jumanji



元々はクリス・ヴァン・オールズバーグの絵本が原作の作品。ジュマンジの続編としてデスーラも製作されているが、こちらも絵本が原作。絵本の方はザスーラのみ読んだことがあるが、ほのぼのとしたいいお話だがこれが映画になると壮大な話になる。脚本家というのはある意味大変な仕事だ。

ということで、本作はジュマンジというボードゲームの話。要するにサイコロを振って出た目だけ進んでゴールしたらジュマンジ!と叫ぶと上がりなのだが、各目でボードが指示するイベントが現実なのだ。こういう風に書くと凄い面白そうなボードゲームで我が家にも是非一つ、と思うわけだが、このイベントが凄まじい。大雨に台風に虫やハンター、動物の大行進まで登場して、町一つが滅茶苦茶に破壊されるイベントが連発する。やもするとこうしたCGを多用した派手なシーンが注目されがちだが、100年前にジュマンジが封印されたシーンから始まり、26年を経てジュマンジを上がり、そして現在へと繋がる壮大なストーリーでもある。

普段目にするボードゲームは何気ないものだが、アイデア一つでここまで卓越したストーリーに昇華させた原作と、派手な映像の中にもしっかりと兄妹愛や親の子を愛する気持ちなどのドラマを練り込み、芯のとおった脚本にした手腕が秀逸。ちなみに、ジョナサン・ハイドが二役を演じているのだけど、恥ずかしながら2回目に観て初めて気づきました。(SS)



製作: 1996年 アメリカ 104分
監督: ジョー・ジョンストン / Joe JOHNSTON
製作: 
出演: ロビン・ウィリアムズ / Robin WILLIAMS, ジョナサン・ハイド / Jonathan HYDE, キルステン・ダンスト / Kirsten DUNST
ジャンル: ファンタジー, アドベンチャー
鑑賞方法: DVD

インディー・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 / Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull



シリーズ前作の「最後の聖戦」から19年。年老いたインディー・ジョーンズにこれまた年老いたマリオンがレイダース以来の再開を果たす、シリーズ最終作。

出演時のハリソン・フォードは既に66歳でマリオン役のカレン・アレンも55歳。演技に円熟味は増しつつも、もうアクションは無理だろうと思いつつ見始めたが、本シリーズお約束のオープニングであるパラマウント映画の会社ロゴの山と実際の場面がオーバーラップしてくると不思議にワクワクした気持ちになってくるのは、長年に渡って本シリーズが築きあげてきた成果だろう。そして冒頭のシーンからこれまたお約束の掴みのアクションが始まる。が、今回はさすがにネタ切れか、冷蔵庫に入って吹き飛ばされるシーンは余りにも貧相。「魔宮の伝説」のトロッコシーンを彷彿させる、ジャングルでのカーチェイスアクションや絶壁の際で繰り広げられるカーチェイス、これまた「魔宮の伝説」を思い出させる、滝から落ちるシーンは見事ではあるが、しかし、CGが進化した現代のインディージョンズには前作までが持っていた「リアリティ」が無い。

「リアリティ」と言っても、映画だし本当じゃないのは知っている。しかし、アークや聖杯といった前作に出てきた様々なお宝は、実はこの世のどこかに埋もれてそう、といギリギリの「リアリティ」が有ったし、それがシリーズ一連の生命線だったと思う。その線を超えると、生身の人間が繰り広げるアドベンチャーじゃなくてSFになっちゃうみたいな。でも、今回のクリスタル・スカルは宇宙人の頭蓋骨。X-Fileを信じる向きには良いだろうが。幾つかのアクションシーンも同様で「あり得ないけど凄い」の向こうの「嘘」のエリアにある。とは言っても作品としてはそこまで悪くはないのだが、偉大なる前作、特に「レイダース」と「魔宮の伝説」に比べてしまうと、どうしてもそう思ってしまうのだ。(SS)


製作: 2008年 アメリカ 124分
監督: スティーブン・スピルバーグ / Steven SPIELBERG
製作: ジョージ・ルーカス / George LUCAS
出演: ハリソン・フォード / Harrison FORD, カレン・アレン / Karen ALLEN, シャイア・ラブーフ / Shia LaBEOUF
ジャンル: アクション, アドベンチャー
鑑賞方法: Blu-ray

インディー・ジョーンズ 最後の聖戦 / Indiana Jones and the Last Crusade

★☆

80年代を代表する冒険活劇インディージョンズシリーズの3作目。第4作目まで製作された本シリーズだが、公開年や出演者の年齢を考えても、本作が実質最後の作品で、4作目は続編を熱望するファンの期待に答えたおまけといった感じ。実際に本シリーズ製作前のパラマウントとスピルバーグとの契約は当初は3作までだったようだ。

インディーの蛇嫌いといつも被っている帽子にかんする逸話がさらりと触れらた若き日のインディーによる冒頭の掴みは、本シリーズではお約束。考古学者のイメージを拳銃を持った冒険者というイメージにしたインディーとは対照的に、物静かで如何にも教授といった風体である父親のヘンリー役を演じるのは名優ショーン・コネリー。本シリーズには欠かせないアクションシーンはハリソン・フォードに任せて、ショーン・コネリーはユーモアを交えつつ独特の存在感を放っており、最後の出演となったデンホルム・エリオットも交えての出演者の対比が面白い。

ボートチェイスにバイクチェイスとアクションシーンの派手さは相変わらずだが、とは言っても前2作と比べると少々丸くなった感は否めない。しかし、それを補うショーン・コネリーの存在感、ジョーンズ親子の確執が次第に融和に向かっていきホロっとさせるラストなど、これまでの2作品に比べて大人も満足できるバランスの良い作品となっている。(SS)



製作: 1989年 アメリカ 127分
監督: スティーブン・スピルバーグ / Steven SPIELBERG
製作: ジョージ・ルーカス / George LUCAS
出演: ハリソン・フォード / Harrison FORD, デンホルム・エリオット / Denholm ELLIOTT, ショーン・コネリー / Sean CONNERY, ジョン・リス・デイヴィス / John Rhys DAVIS
ジャンル: アクション, アドベンチャー
鑑賞方法: DVD

Tuesday, August 28, 2012

インディー・ジョーンズ 魔宮の伝説 / Indiana Jones and the Temple of Doom



史上最高の冒険活劇である前作「レイダース 失われたアーク」の続編である本作は、前作を上回るスリリングな展開で期待を裏切らない作品。ダンスショーの中、ダイヤと宝と解毒剤を巡って中国人のギャングとの駆引きは、冒頭の「掴み」というには勿体無いほどのクオリティーとスピード感で、やもするとそれだけで一本作れるくらいの濃密な内容。一方、宮殿内ので大量の昆虫は前作の大量の蛇に引き続き、更に蛇に猿に虫だらけの料理といった、気持ち悪いシーンの数々は本シリーズのお約束といったところ。

前作で観る者をあんなにハラハラさせて、もうネタがないだろうと思っていると完全に裏切られる。飛行機や滝からのダイブ、天井から落ちてくる石版、そしてトロッコのチェイスシーンからエンディングまでの連続アクションはもはや伝説だろう。終わることのないアクションシーンが最後の最後まで続き、いい意味で疲れを覚えるほど。心地良い笑いと感動も交えた最強のジェットコースター・ムービー。(SS)


製作: 1984年 アメリカ 11分
監督: スティーブン・スピルバーグ / Steven SPIELBERG
製作: ジョージ・ルーカス / George LUCAS
出演: ハリソン・フォード / Harrison FORD, ケイト・キャプショー / Kate CAPSHAW, ジョナサン・キー・クワン / Jonathan Ke QUAN
ジャンル: アクション, アドベンチャー
鑑賞方法: DVD, TV, etc.

レイダース 失われたアーク / Indiana Jones and the Raiders of the Lost Ark



映画を「楽しく最高の娯楽でなければならない」と定義するのならば、本作はその最高峰に位置するだろう。冒険活劇とは少し古臭い言い回しだが、本作はまさにその言葉を具現化した作品だ。冒頭の十数分のシーンはもはや伝説であるし、映画史の残る大きなマイルストーンだろう。何度見ても楽しいし、この冒頭を見逃してはならないとばかりに、本編が始まる少し前からテレビの前に座って待ち、パラマウントのロゴの山が出てくるとワクワクした子供の頃を思い出す。その後もこれでもかと押し寄せるアクション。ドキドキ感やハラハラ感で、息をつく暇も無いとはこの事。老若男女を問わず誰でも楽しめる、80年代を代表するアクション・アドベンチャー作品。

ストーリーは多くを語る必要は無いだろう。洞窟へ入るシーンの巨大なタランチュラや魂の井戸での大量の毒蛇など、今ではCGでサラッと作られる映像も全て本物を使ったリアル映像。アークを積むトラックのチェイスは駅馬車をリファーしたものだが、今見ても最高のアクションスタント。諦めの悪いインディーが大活躍する本作は30年以上も前の映画だが、古さを感じさせない史上最高の冒険活劇は観る者を惹きつけてやまない。(SS)



製作: 1981年 アメリカ 115分
監督: スティーブン・スピルバーグ / Steven SPIELBERG
製作: ジョージ・ルーカス / George LUCAS
出演: ハリソン・フォード / Harrison FORD, カレン・アレン / Karen ALLEN, ジョン・リス・デイヴィス / John Rhys DAVIS, デンホルム・エリオット / Denholm ELLIOTT
ジャンル: アクション, アドベンチャー
鑑賞方法: DVD, TV, etc.

Monday, August 27, 2012

イングロリアス・バスターズ / Inglourious Basterds

★☆

タランティーノが描くナチス・ドイツをテーマにした戦争作品というのは少し的外れか。舞台は第2次世界対戦下のフランスで、ナチス・ドイツとユダヤ系アメリカ人で構成されたナチ狩り部隊のバスターズとの駆引きを中心にストーリーが展開するが、ナチスに家族を殺害されたユダヤ人女性やナチス・ドイツ随一のスナイパー、仕舞いにはヒトラーも登場。交錯したサブストーリーを5つの章立てにして仕上げた、タランティーノ得意の脚本技が冴える。

主人公はブラッド・ピット。2枚目の格好いい男がそのまんま格好いい役かと思いきや、そうでもない。むしろイタリア語を話すシーンの彼は完全に馬鹿男。もちろんそれはそれで良いのだが、本作でファーストクラスの存在感を発揮したのは、ナチス・ドイツのランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツ。舞台かと思わせるの派手めな演技と、英語、フランス語、ドイツ語にイタリア語まで自由自在に操る知的な俳優。冒頭の掴みのシーンから最後のエンディングまでストーリーの中心に居るのは、紛れもなくクリストフ・ヴァルツだ。

バスターズの壮絶なナチ狩りシーンは、タランティーノ作品を見慣れた人ならインパクトは少ないかもしれない。ナチス・ドイツとユダヤ人という一見重そうなテーマも、設定としての重要さはあれど、ストーリーの主軸には成りえない。逆に言えば、少々軽薄な脚本でもあるが、派手な殺しに笑いと悲哀をてんこ盛りにした、タランティーノ風娯楽作品としては秀逸な出来。(SS)



製作: 2009年 アメリカ 152分
監督: クエンティン・タランティーノ / Quentin TARANTINO
製作: 
出演: ブラッド・ピット / Brad PITT, メラニー・ロラン / Melanie LAURENT, クリストフ・ヴァルツ / Christoph WALTZ
ジャンル: 戦争, アクション, R15+
鑑賞方法: 映画館, DVD

ジャッキー・ブラウン / Jackie Brown




私にとって初めて映画館で見たタランティーノ作品のジャッキー・ブラウン。パム・グリア扮するメキシコローカル航空のキャビン・アテンダント、ジャッキー・ブラウンは、武器密売人の売上金をメキシコからアメリカに密かに運んでいた。しかし、FBIとATFに目をつけられていた彼女はひょんなことから逮捕され、捜査官に武器密売人の逮捕に協力すれば、今回の件は見逃すと持ちかけられた。一方、サミュエル・L・ジャクソン扮する武器密売人のオデールは、証拠隠滅のためにジャッキーを消そうとするが失敗。八方塞がりのジャッキーは一計を案じる…。

パム・グリアやロバート・フォスターなど70年代テイストを全面に出しつつ、タランティーノ一流の無駄話は今回も健在。画と音楽の相性も良くセンスの良さがジワリとにじみ出てる。正直言うと、公開当初は映画館で相当な時間寝てしまった。タランティーノの映画は好きで、パルプ・フィクションの無駄話も大好きだが、本作はその無駄話もストーリー展開も含めて少々間延びした感が否めない。しかし、あれから10年以上経った今、改めて観ると、結構面白いじゃんという印象。年月が経つと印象も変わるものだ。別に年寄り向けの作品ではないのだが。

ピンと来ないお金の流れや、ラストのカットバックなど、個人的には少々雑な脚本という印象を受けるが、俳優陣が味のある演技で引っ張る。特にロバート・デ・ニーロの腹の出たダメ男の前科者という役柄が面白く、逆に彼の役者としての幅の広さを感じさせる。ハードなアクションや殺害シーンを抑えた、タランティーノ作品入門編といったところ。(SS)


製作: 1998年 アメリカ 155分
監督: クエンティン・タランティーノ / Quentin TARANTINO
製作: 
出演: パム・グリア / Pam GRIER, サミュエル・L・ジャクソン / Samuel L JACKSON, ロバート・フォスター / Robert FORSTER, ロバート・デ・ニーロ / Robert De NIRO
ジャンル: ドラマ, サスペンス, クライム
鑑賞方法: 映画館, DVD

Thursday, August 9, 2012

ゴッドファーザー Part III / Mario Puzzo's the Godfather: Part III



余りにも偉大な前2作品の後に続く3作目にしてゴッドファーザーシリーズ最終章。舞台は再びニューヨークに戻る。マイケルはコルレオーネ財団の名で行った多額の寄付金によりバチカンより勲章を授与され、それをきっかけとして違法なファミリービジネスから手を引き、合法ビジネスへの転換を試みようとしていた。しかし、彼の違法ビジネスの部分を引き継いだジョーイ・ザザとマイケルの兄ソニーの息子のヴィンセントとの確執が悪化。ファミリーの幹部会では、ジョーイ・ザザの手下によりヘリコプターで銃撃されてしまう。裏切り者は誰なのか。病魔に襲われながらマイケルは再び血で血をあがなう世界に引きずり戻されていく。

Part IIではマーロン・ブランドが出演せず、本作ではトニー役のロバート・デュヴァルの出演も叶わなかったが、シチリアでマイケルに助言を与えるドン・トマシーノは、Part IIでドン・チッチオに復讐を果たしたヴィト・コルレオーネを身を呈して守った男。アル・ネリは忠実な部下であり続け、本作でも最後までマイケルと新しいドン・コルレオーネのために仕えている。作品の年代設定である1901年から1997年まで、一貫したストーリー展開に基づき、各登場人物が丁寧に配置された良質な脚本が素晴らしい。アンディ・ガルシアはまだ若く荒削りだが、そこもまた如何にも血の気が多いソニーの息子といった感じが出ている。ラスト付近のモンタージュは本シリーズのお約束だが、本作でも健在。

上に行けばきれいな世界があると信じ、這い上がるだけの人生だったマイケル。しかし、行けばいくほど汚れた世界であると気付く。家族を守るため、全ての敵に勝利してきたが、最後は全てを失っていた。数年前に観た時は、3作品の中で最も評価の低い作品だったが、今回改めて全シリーズを一気に観てみてその考え方が変わった。本作はコルレオーネ・ファミリーを描いた壮大なドラマの締めくくりとして相応しい作品だ。(SS)



製作: 1990年 アメリカ 162分
監督: フランシス・フォード・コッポラ / Francis Ford COPPOLA
製作: 
出演: アル・パチーノ / Al PACINO, アンディ・ガルシア / Andy GARCIA, タリア・シャイア / Talia SHIRE, ダイアン・キートン / Diane KEATON, リチャード・ブライト / Richard BRIGHT
ジャンル: ドラマ, クライム, マフィア
鑑賞方法: 映画館, DVD


  ソニーストア

ゴッドファーザー Part II / Mario Puzzo's the Godfather: Part II



マフィア映画の金字塔「ゴッドファーザー」の第2作。ドン・ヴィト・コルレオーネ亡き後のコルレオーネ・ファミリーを継ぎ、新たなドンとなったマイケル・コルレオーネの苦悩と、父ヴィトのシシリーの少年時代からニューヨークでファミリーを築くまでのエピソードを交えて描く。

ニューヨークから西部のネバダに拠点を移したマイケル。稼ぎの殆どはラスベガスのカジノとホテルによるものである。物語は、マイケルの息子、アンソニーの初聖体式を祝うパーティーから始まる。パーティーの終わったその夜、マイケルと妻のケイがいる寝室に何者かが銃を乱射し、マイケル暗殺を企てた。幸い無傷で済んだマイケルは、家族を守るためトムに全件を託し、ユダヤ系マフィアのハイマン・ロスと出会う。一方、父親ヴィト・コルレオーネの若き日の物語はイタリア、シシリー島でのヴィトの父親の葬式のシーンから始まる。マフィアのドン・チッチオに反抗したばかりに殺されたヴィトの父親だったが、復讐を誓った兄に続き、ヴィトを守るため命乞いに行った母親まで殺されてしまう。まだ、9歳のヴィトは村人により囲われ、ニューヨークへと渡る。そして、リトル・イタリーで家族を守りながら様々な仕事をし、若き日のクレメンザや次第にコルレオーネ・ファミリーの基礎を築いていく。

華やかなパーティーと暗いマイケルの執務室の対比は、前作の冒頭シーンを思い出させる。若き日のヴィト・コルレオーネのストーリーだけで1作品出来そうな濃い内容。ヴィト役のロバート・デ・ニーロの鮮烈さが強烈な印象を残し、個人的にはそちらを掘り下げた別枠のストーリーが観たいとも思う。物語は時系列では無く、幾分複雑ではあるが、良く考えられた良質な脚本。シシリーの映像は美しく、20世紀初頭のリトル・イタリーを再現した街並みも素晴らしい。一方、現代のマイケルは苦悩の日々が続く。何よりも家族を大切にするようヴィトに教えられたマイケルが選択した決断は重く、闘いに勝利するが、全てを失ったマイケルがうつむくラストシーンは切ない。ところで、個人的にはマイケルの腹心で、リチャード・ブライト演じるアル・ネリが好きだ。彼はPart IからPart IIIに至る全ての作品で、重要なシーンで必ず登場する影の中心人物である。マイケルがいるところには常に彼がいる。トムやコニーよりも出演頻度は高い。マイケルがアルに向かって頷いた時。それが意味するところは、もはや言うまでもあるまい。

前作を上回る200分の大作。少々間延びした感が無くもないが、スペクタクル映画ほどのダラダラ感は微塵もなく、前作に続きアカデミー賞を受賞した本作もまた、間違いなくマフィア映画の金字塔である。(SS)


製作: 1974年 アメリカ 200分
監督: フランシス・フォード・コッポラ / Francis Ford COPPOLA
製作: 
出演: アル・パチーノ / Al PACINO, ロバート・デ・ニーロ / Robert De NIRO, ロバート・デュヴァル / Robert DUVALL, タリア・シャイア / Talia SHIRE, ダイアン・キートン / Diane KEATON, リチャード・ブライト / Richard BRIGHT
ジャンル: ドラマ, クライム, マフィア
鑑賞方法: DVD


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ゴッドファーザー / Mario Puzzo's the Godfather



近年のハリウッドマフィア映画といえば、残虐な殺人シーンや派手な火薬ショーで見せる作品が多いが、本作のストーリーの核を成すのは、ドン・コルレオーネを頂点とするコルレオーネ・ファミリーの人間模様である。ドン・コルレオーネを演じるマーロン・ブランドの内面から滲み出るような演技が、言わずとも彼がファミリーの頂点に立つゴッドファーザーであることを体現し、その3人の息子達、ソニー、マイケル、フレド、義兄弟のトニーと娘のコニーは、冒頭の数分も観ているだけで、各人の性格が手に取るように分かる。こうした名優たちの演技と優れた脚本が、本作がマフィア映画の金字塔となっている大きな理由だろう。

印象的な冒頭は、ゴッドファーザーことドン・コルレオーネの薄暗い書斎でのやり取りと、明るい日差しのもとで行われている娘コニーの結婚式のシーンから始まる。ドン・コルレオーネはか弱き友人の頼みごとを聞いていた。どんな些細な問題でも彼は親身に応じ、解決の手助けを施す。そんな彼への見返りは金銭ではなく、ゴッドファーザーという尊称と、いつかドン・コルレオーネの頼みごとに対し恩で返すというもの。そんなある日、ソロッツォが麻薬がらみの仕事の話を持ちかけてきた。しかし、ドンはその話を丁重に断る。麻薬はドンの領分ではないと判断したのだ。そして、その日からソロッツォと背後のタッタリーア・ファミリーと、コルレオーネ・ファミリーの血を血で洗う抗争が始まる。

冒頭に続く、血だらけの馬の生首がベッドから現れるシーン。マイケルがレストランでソロッツォとその子飼いの警察幹部を射殺するシーン。そして、ラストのコニーの息子の洗礼式とタッタリアファミリーへの復讐シーンのモンタージュ。緻密な人間関係の描写も相成り、175分の長編であることを感じさせない見事なストーリ展開が秀逸。一方、家族を何よりも大切にするドン・コルレオーネの筋が一本通った役柄に対して、彼女が居ながらシチリアで結婚したりと、一本気のないマイケルの設定に少々不満。加えて、カンペ棒読みのマーロン・ブランドのセリフ回しは、それに気づき始めると最後、気になってしょうがない。五大ファミリーの会合での時折目を伏せる演技はその代表格。

今回は3作品を一気に見てレビューを書いた。昔はPart IIが最も好きな作品だったが、今回改めて鑑賞してみて、Part Iが一番完成度が高いと変わった。その理由は良くも悪くもマーロン・ブランドの存在感ではないだろうか。(SS)


製作: 1972年 アメリカ 175分
監督: フランシス・フォード・コッポラ / Francis Ford COPPOLA
製作: 
出演: マーロン・ブランド / Marlon BRANDO, アル・パチーノ / Al PACINO, ジェームズ・カーン / James CAAN, ロバート・デュヴァル / Robert DUVALL, タリア・シャイア / Talia SHIRE, ダイアン・キートン / Diane KEATON, リチャード・ブライト / Richard BRIGHT
ジャンル: ドラマ, クライム, マフィア
鑑賞方法: DVD


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Wednesday, August 8, 2012

リービング・ラスベガス / Leaving Las Vegas



暗い。途中でも気が滅入る感じの暗さだが、ラストも一段と暗い。何が故にここまで自分を追い詰めるのか。ダメな男を画に描けと言われたら、即座にこの男を描いてしまいそうなほどの男を愛してしまう娼婦。二人の自虐的かつ退廃的な純愛を描いた作品。

アルコール依存症により会社をクビになった脚本家のベンは、生活の全てを処分してラスベガスへ向かい、死ぬまで酒を飲み続けようとしていた。娼婦のサラはそんなベンと街で出会い一夜を共にする。あくる日、無意識ながらも街のどこかにベンを探してしまうサラ。幾度か出会いを重ねるうちに、サラはベンを自宅へ招き入れ同居生活を始めるが、アル中と娼婦という二人の男女の生活は上手く行かず…。

ダメ男を好きになってしまう女は必ず居るものだが、サラもご多分に漏れずといったところ。娼婦とアル中。お互いの事には干渉せず、サラは夜になると仕事に出かけ、ベンは酒を煽りまくる、という二人のこれもまた愛の形なのだろう。音楽と映像が上手くマッチしている。ただでさえ暗い展開にラストがのしかかり、鑑賞後には気持ちがドンヨリとする。ニコラス・ケイジはもちろん良いが、個人的にはエリザベス・シューの名演と難しい脚本を描ききった監督の手腕に拍手。(SS)


製作: 1996年 アメリカ 112分
監督: マイク・フィギス / Mike FIGGIS
製作: 
出演: ニコラス・ケイジ / Nicolas CAGE, エリザベス・シュー / Elisabeth SHUE
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD


ソニーストア Wave music system III