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Thursday, June 21, 2012

監査法人



NHK制作の骨太ドラマシリーズの一つである本作は、企業の決算書類や会計の監査を行う公認会計士の集団『監査法人』を舞台にしたドラマ。監査法人の顧客は法人企業であり、言わば飯の種である。しかし、法に則り企業に厳格な監査を実施した結果、時には粉飾決算や資産隠しなどの違法会計を白日に晒し、倒産に追い込むきっかけとなることもある。監査法人びは公認会計士としての職務を忠実に行った結果、自らの顧客を減らしてしまう可能性があるいうジレンマがある。本作は厳格派会計士の小野寺と馴れ合い派の篠原という二人の対立軸を中心に前述のジレンマと葛藤する小野寺の変化とそのジレンマで悩む若い会計士の若杉を中心に監査法人のあり方を描いたNHK制作の骨太ドラマ。

正直言って難しいテーマを見事にドラマ化したNHK ―NHK名古屋というのが驚き― の手腕は、良質な原作があったとはいえ見事かと思うが、キャスティングに関してはどうだろう。豊原功補や特に橋爪功が醸し出す重厚な迫力ある演技は、正にこの社会派作品にピッタリだが、若杉演じる主役の塚本は若すぎる。また、クライアントや先輩会計士に対して『あんた』呼ばわりする辺りなどは、会計士以前に社会人して半人前であり興醒めを禁じ得ない。同様に、松下奈緒演じる会計士も若く先輩やクライアントを全く気遣わない発言から、到底まともな先輩会計士には見えない。

会計士の仕事について私は露知らずだが、全編を通して個人的に引っかかるのは『厳格監査』とは結局何なのだ?ということ。会計士として関連する法案や職務規程に則り監査を行う事は『通常』の業務で『厳格』とはならないだろうと思うのだが。後半は少々展開を急ぎすぎてストーリーが薄くなってくる感が否めないが、それでも会計士としても人しても一皮剥けた若杉をラストシーンで見られることが出来て何とか気持よく終演を迎えることができた。(SS)


製作: 2008年 日本
監督: 
製作: 
出演: 塚本高史 / Takashi TSUKAMOTO, 松下奈緒 / Nao MATSUSHITA, 豊原功補 / Kosuke TOYOHARA, 橋爪功 / Isao HASHIZUME
ジャンル: TV, サスペンス 
鑑賞方法: チャンネル銀河
エピソード: 
 第1話 「会社、つぶせますか」
 第2話 「800億円の裏帳簿」
 第3話 「粉飾の連鎖」
 第4話 「崩壊の序曲」
 第5話 「夢の代償」
 第6話 「会社、救えますか」



 

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