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Sunday, January 13, 2013

難波金融伝ミナミの帝王 #45 詐欺の手口 / The King of Minami #45



2002年製作のシリーズ第45作目。本作はツタヤのポストレンタルで人気が高いのにレンタル準備枚数が少ないので、なかなか借りられない作品なのだが、後述する日活ロマンポルノ女優である風祭ゆきの往年のファンでも借りているのだろうか。銀次郎の取り巻きはいつものとおりで、舎弟は山本太郎演じる公平。探偵は川島なお美演じる翔子。沢木組長と若頭にゆうき哲也と天田益男。端役の井上茂、宇野ポテトに山之内幸夫もしっかり。今回の出演俳優陣に特筆すべき人はいないが、ただ、金融の社長に日活ロマンポルノの全盛期を支えた女優の一人でタランティーノの『キル・ビル』にも出演していた風祭ゆきが悪徳金融の女社長として出演している。

萬田銀行の上前をはねる3日で一割の『ミッカイチ』という高利貸しと、その高利貸しに指南する金主でかつ詐欺師が銀次郎のキリ取り相手。ミッカイチ金融の女社長は金主の詐欺師の指南を受け、銀次郎の債務者を詐欺に嵌めた挙句に、貸してもいない5000万の借金を背負わせる。一方、この債務者に対して3000万を融資した銀次郎だが、担保にした土地には譲渡担保の仮登記がされており、悪党詐欺師は銀次郎をも詐欺に嵌めようとしていた…。

シリーズでも一二を争う悪党のクソッタレ詐欺師が登場。これほどの悪党はシリーズ第2作目の『計画倒産』シリーズで登場した極悪証券マン以来じゃないだろうか。そして、ミッカイチ金融の女社長も極悪非道だが、その上前をハネる詐欺的キリ取りで魅せる銀次郎。『目には目を、詐欺には詐欺を』と言わんばかりの痛快な手法で最後を締める。タイトルどおり多くの詐欺の手口が紹介されているので、以下にまとめておきたい。

『カゴ抜け詐欺』: 関係のない建物に入り、そこの関係者のように見せかけて相手を信用させ、金品を受け取ると相手を待たせておきつつ、自分は建物から姿を消すという手口。
『トリック詐欺』: 偽物の宝石類や時計などを本物に見せるために、少しだけ本物を混ぜたり、盗んできたかのようにガラス片を混ぜたりするなどして、相手を騙す手法。
『贈答詐欺』: 詐欺師が連帯保証人やら借金に使用した印鑑を人に贈って、その本人が貰った印鑑を実印登録した時には、全てを押し付けられるというもの。
『二重担保詐欺』: 譲渡担保の仮登記申請を悪用した詐欺。金銭貸借契約で返済が滞った場合、差し押さえの対象にすると認めたものが担保だが、譲渡担保は返済より担保物件を譲り渡す事を前提としており、その仮登記には順位保全の順位があるため、先に登記をしたもの優先弁済の権利がある。
『訴訟詐欺』: 何ら請求権のない者が裁判所に訴訟を提起し、嘘の書類や証拠を提出したりして裁判所を欺いて判決やら決定やらを取得して、相手から金品を巻き上げること。

ネタバレで恐縮だが、最後のキリ取り前述の『訴訟詐欺』を使ったもので、裁判所から送付された債務の弁済命令書に対して、受け取った本人が2週間以内に異議申し立てをしなければ、その弁済命令書が有効と認められる制度を悪用して、相手が海外旅行で不在のうちに9000万の債務をでっち上げたという手口。

ということで、全編詐欺だらけの作品だが最後のキリ取りも痛快でスッキリと見終える事が出来た。最近、銀次郎の『フッ』という半笑いの顔で終わるエンディングが多く、相生橋のエンディングが少なくなってきたのは気のせいだろうか。愛車のブラバスチューンSLと翔子の白のアルファロメオは変わらず。(SS)


製作: 2002年 日本 87分
監督: 萩庭貞明 / Sadaaki HAGINIWA
出演: 竹内力 / Riki TAKEUCHI, 山本太郎 / Taro YAMAMOTO, 川島なお美 / Naomi KAWASHIMA, 結城哲也 / Tetsuya YUKI, 天田益男 / Masuo AMADA, 山之内幸夫 / Yukio YAMANOUCHI, 宇野ポテト / Potato UNO, 井上茂 / Shigeru INOUE, 平井昌一 / Shoichi HIRAI, 浅見小四郎 / Koshiro ASAMI, 風祭ゆき / Yuki KAZAMATSURI, 芦川誠 / Makoto ASHIKAWA, ベーブルース高山 / Bay-blues TAKAYAMA, 相澤一成 / Kazunari AIZAWA, 黒部進 / Susumu KUROBE
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD

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