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Friday, February 21, 2014

ハゲタカ (映画)

★☆

NHKの制作の大ヒットドラマ『ハゲタカ』の映画版作品である本作は、TV版と同様に、真山仁の経済小説ハゲタカバイアウトおよびレッドゾーンの3作品を原作とした経済ドラマである。TV版が非常に秀逸な作品であっただけに期待が高まるが、同じNHK制作の『外事警察』はTV版に比べて映画版の方がイマイチだっただけに本作はどうだろうか。主演は引続き大森南朋と柴田恭兵。共演に玉山鉄二。栗山千明や松田龍平もTV版に引続き出演している。

かつて日本を買い叩く「ハゲタカファンド」の辣腕マネジャーとして一世を風靡した鷲津は、一向に変わることのない閉鎖的な日本市場に見切りをつけ、海外で生活を送っていた。そんな時、日本を代表する自動車メーカーであるアカマ自動車の役員として迎えられていた芝野が鷲津の元を訪れ、アカマ自動車の救済を求めてきた。アカマ自動車は中国政府系ファンドのブルー・ウォール・パートナーズによる買収の危機にさらされていた。芝野の依頼を一度は断った鷲津だが、ブルー・ウォール・パートナーズの代表、劉一華の記者会見をみたのち、アカマ自動車からの正式な要請に答える形で「ホワイトナイト」としてブルー・ウォール・パートナーズと対峙することを決意する…。

映画版ということで、TV版を見ていなくても掴めるようなストーリー展開になっているのは間違いない。また、本作のメインストーリーは鷲巣と劉一華との対峙であり、芝野やアナウンサーの三島は脇に添えられた役どころと言っても過言では無いだろうが、TV版を見ていない人にはこの3者の過去の関係についての前知識が全く無いため、はてなマークが頭の中にグルグル回ったまま本作を鑑賞し続けたに違いない。

TV版では良く練られたファンドのスキームを充分に堪能することが出来たが、本作では所謂『リーマン・ショック』の翌年に公開された作品のため、どうしてもリアル経済に倣ったストーリーになってしまい、特に鷲津が劉一華を潰すためのロジックが稚拙に感じられた。そういう意味では、松田龍平演じる旅館の若旦那をTV版に続いて出演させるべき理由が見当たらないし、根本的なところでは、鷲津がアカマ自動車のホワイトナイトを引き受ける明確な動機が不明確。劉一華の最後も意味不明で、あらゆる意味で映画版はTV版を超えることが出来なかったと感じた。(SS)


製作: 2009年 134分 日本
原作: 真山仁 / Jin MAYAMA 「ハゲタカ」「バイアウト」「レッドアウト」
監督: 大友啓史 / Keishi OTOMO
出演: 大森南朋 / Nao OMORI, 柴田恭兵 / Kyohei SHIBATA, 松田龍平 / Ryuhei MATSUDA, 栗山千明 / Chiaki KURIYAMA, 嶋田久作 / Kyusaku SHIMADA, 志賀廣太郎 / Kotarou SHIGA, 中尾彬 / Akira NAKAO, 玉山鉄二 / Tetsuji TAMAYAMA, 高良健吾 Kengo KORA遠藤憲一 / Kenichi ENDO
ジャンル: サスペンス 
鑑賞方法: DVD

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