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Tuesday, March 25, 2014

メイドインジャパン



NHKがテレビ放送を開始したのが1953年2月1日。それから60年の節目の年ということで、『テレビ放送開始60周年記念ドラマ』として制作されたのが本作である("NHK開局"ではなく"テレビ放送開始"というところに留意)。『メイドインジャパン』というタイトルにNHKらしい重厚さを感じるとともに、ハゲタカチェイス-国税査察官など、秀逸な作品が多いNHKだけに、本作にも期待が高まる。主演は白い巨塔不毛地帯など硬派なタイトルの主役を多く演じたきた唐沢寿明。共演に高橋克実、國村隼、岸部一徳など。

日本を代表する大手電機メーカー『タクミ電機』の矢作は、財務部の柿沼や工場長の西山と共にとある場所へ呼ばれていた。そこで待っていたのはタクミ電機会長の譲原だった。譲原はメインバンクが3ヶ月内内に5000億円の債務を返済するよう迫ってきており、債務返済が滞った場合はメインバンクが撤退する、つまりタクミ電機は『余命3か月』と宣告された状態にあると3人に告げる。3人はこの危機的状況を打破するため、会長の特命再建チームを結成すべく招集されたのだった。矢作は早速チームリーダーとしてタクミ電機の倒産回避のために奔走するが、その矢先ヤマト自動車に対するリチウムイオン電池大量納入契約を中国の新興メーカーである『ライシェ』へ奪われてしまう。しかし、ライシェのリチウムイオン電池を詳しく調査するとタクミの開発した技術で作られている事が判明。ライシェと直談判を行うために中国へ飛んだ矢作だが、その前に現れた男は矢作のかつての盟友で、タクミ電機をリストラされた技術者の迫田だった…。

ハゲタカチェイス-国税査察官』『外事警察などなど、過去に観たNHK製作の秀逸なドラマ群を思い出して持った期待感は粉々に粉砕される。『メイドインジャパン』という壮大なタイトルそのものが無用な大風呂敷という感じだろう。ストーリーはさておき、人間ドラマの描写が浅く、日本経済に激震を及ぼす可能性の高い大企業の再建チームからは全く熱さが伝わってこない。チームの方針も二転三転し、最後は日中の特許訴訟かと思いきや、蓋を開けてみるとライバルが技術盗用をあっさりと認める始末。サブストーリーも稚拙で、人のせいにして問題と対峙することを避けてきた私怨に燃える新聞記者や、一方的な展開にイライラする矢作の離婚問題。何とか持ち込んだハッピーエンドでさえそのプロセスが不透明で最後まで消化不良。その上、マイコ、金井勇太、木下ほうかの3人の演技が余りに稚拙でもう観てられない。決して面白く無いという訳じゃないが、自分の中のNHK謹製ドラマ品質基準には合致しない。(SS)


製作: 2013年 日本
脚本: 井上由美子 / Yumiko INOUE
演出: 黒崎博 / Hiroshi KUROSAKI
出演: 唐沢寿明 / Toshiaki KARASAWA, 高橋克実 / Katsumi TAKAHASHI, 吉岡秀隆 / Hidetaka YOSHIOKA, 國村隼 / Jun KUNIMURA, 大塚寧々 / Nene OTSUKA, 酒井美紀 / Miki SAKAI, キムラ緑子 / Midoriko KIMURA, 刈谷友衣子 / Yuiko KARIYA, 金井勇太 / Yuta KANAI, マイコ / Maiko, 斎藤歩 / Ayumu SAITO, 中村靖日 / Yasuhi NAKAMURA, 平田満 / Mitsuru HIRATA, 及川光博 / Mitsuhiro OIKAWA, 岸部一徳 / Ittoku KISHIBE, 木下ほうか / Houka KINOSHITA
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD
エピソード: 
 第1話『余命3か月の会社を救うため集まった7人の会社員の物語!』
 第2話『倒産の回避に立ち上がれ! 七人の侍と家族がものづくり日本の誇りをかけて闘う! 日本の危機に迫る第2夜』
 第3話かつての友は敵に男達の誇りをかけて運命の最終回〜倒産の危機は? 訴訟の行方は? 日本の未来に希望は』

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