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Thursday, November 29, 2012

ハゲタカ - Road to Rebirth (TV)



『チェイス 国税査察官』や『監査法人』、最近では『外事警察』など硬派なテーマを元に、無骨ながらも民放にはない『TVっぽくない』映像で製作されるNHKのドラマはどれも秀逸な作品が多い。キャスティングも当世流行のアイドルや芸人、ジャニーズを使って画面を華やかにする訳ではなく、真に演技力のある俳優陣を起用する辺りがNHKらしい。本作は経済小説を多く手がける真山仁の小説ハゲタカバイアウトの2作品を原作とした経済ドラマ。

物語は外資ファンドのホライズン・インベストメントワークスで敏腕ファンド・マネジャーとうたわれた鷲津(大森南朋)が日本へ帰国するところから始まる。鷲津の目的は「日本を買い叩く」こと。かつて勤めていた三葉銀行が抱える不良債権を安く買い叩いては、経営者や従業員の事情など一切聞かず高値で売り飛ばす。そんな容赦ないやり方はいつしか『ハゲタカ』と呼ばれるようになっていた。そんな鷲津のハゲタカファンドが最初に標的としたのは老舗旅館の『西乃屋』だった。そして、旅館を切り売りされ何もかも失った西乃屋の社長は事故死してしまう。

その鷲津の強引な手法に異を唱えるのが、かつての三葉銀行時代の上司であった芝野(柴田恭兵)。芝野と鷲津は事ある毎に対立していく。一方、日本で企業を買い叩くハゲタカファンドに対して執拗に取材をするTVキャスターの三島(栗山千明)。彼女の父親はかつて小さな工場を経営していたが、銀行の貸し渋りにあい自殺をしたのだった。そして、当時の銀行の担当者が鷲津だった。そして、鷲津に切り売りされた『西乃屋』の息子である治(松田龍平)は、急成長するIT企業の若き社長となり、憎き敵でありながら同時に憧れでもある鷲津に挑戦状を叩きつけた…。

不良債権処理やハゲタカファンドなど、現実世界で起こっている事象を取り上げるだけではなくその裏にある人間模様を丁寧に描いているのだが、秀逸なのはストーリーだけではない。ブルーフィルターが掛かるTVの枠を超えた映像美、TVシリーズであるが故に放送時間枠内があるのは当然だが、ストーリーの展開をボカすことなく、一つのテーマをしっかりと描ききる凝縮感。映像・音楽・キャスト・演出と全てがバランスが良く描かれたNHKのドラマ史に名を残す名作に違いなく、見始めたら最後、全6話を一気に観てしまうことを請け負う。(SS)


製作: 2007年 日本
原作: 真山仁 / Jin MAYAMA 「ハゲタカ」「バイアウト」
演出: 大友啓史 / Keishi OTOMO, 井上剛 / Tsuyoshi INOUE, 堀切園健太郎 / Kentaro HORIKIRIZONO
出演: 大森南朋 / Nao OMORI, 柴田恭兵 / Kyohei SHIBATA, 松田龍平 / Ryuhei MATSUDA, 栗山千明 / Chiaki KURIYAMA, 嶋田久作 / Kyusaku SHIMADA, 志賀廣太郎 / Kotarou SHIGA, 渡辺哲 / Tetsu WATANABE, 中尾彬 / Akira NAKAO, 冨士眞奈美 / Manami FUJI, 小林正寛 / Masahiro KOBAYASHI, 光石研 / Ken MITSUISHI, 大杉漣 / Ren OSUGI, 宇崎竜童 / Ryudo UZAKI, 菅原文太 / Bunta SUGAWARA
ジャンル: TV, サスペンス 
鑑賞方法: NHK, DVD
エピソード: 
 第1話 「日本を買い叩け!」
 第2話 「ゴールデン・パラシュート」
 第3話 「終わりなき入札」
 第4話 「激震!株主総会」
 第5話 「ホワイトナイト」
 第5話 「新しきバイアウト」

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