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Thursday, August 9, 2012

ゴッドファーザー / Mario Puzzo's the Godfather



近年のハリウッドマフィア映画といえば、残虐な殺人シーンや派手な火薬ショーで見せる作品が多いが、本作のストーリーの核を成すのは、ドン・コルレオーネを頂点とするコルレオーネ・ファミリーの人間模様である。ドン・コルレオーネを演じるマーロン・ブランドの内面から滲み出るような演技が、言わずとも彼がファミリーの頂点に立つゴッドファーザーであることを体現し、その3人の息子達、ソニー、マイケル、フレド、義兄弟のトニーと娘のコニーは、冒頭の数分も観ているだけで、各人の性格が手に取るように分かる。こうした名優たちの演技と優れた脚本が、本作がマフィア映画の金字塔となっている大きな理由だろう。

印象的な冒頭は、ゴッドファーザーことドン・コルレオーネの薄暗い書斎でのやり取りと、明るい日差しのもとで行われている娘コニーの結婚式のシーンから始まる。ドン・コルレオーネはか弱き友人の頼みごとを聞いていた。どんな些細な問題でも彼は親身に応じ、解決の手助けを施す。そんな彼への見返りは金銭ではなく、ゴッドファーザーという尊称と、いつかドン・コルレオーネの頼みごとに対し恩で返すというもの。そんなある日、ソロッツォが麻薬がらみの仕事の話を持ちかけてきた。しかし、ドンはその話を丁重に断る。麻薬はドンの領分ではないと判断したのだ。そして、その日からソロッツォと背後のタッタリーア・ファミリーと、コルレオーネ・ファミリーの血を血で洗う抗争が始まる。

冒頭に続く、血だらけの馬の生首がベッドから現れるシーン。マイケルがレストランでソロッツォとその子飼いの警察幹部を射殺するシーン。そして、ラストのコニーの息子の洗礼式とタッタリアファミリーへの復讐シーンのモンタージュ。緻密な人間関係の描写も相成り、175分の長編であることを感じさせない見事なストーリ展開が秀逸。一方、家族を何よりも大切にするドン・コルレオーネの筋が一本通った役柄に対して、彼女が居ながらシチリアで結婚したりと、一本気のないマイケルの設定に少々不満。加えて、カンペ棒読みのマーロン・ブランドのセリフ回しは、それに気づき始めると最後、気になってしょうがない。五大ファミリーの会合での時折目を伏せる演技はその代表格。

今回は3作品を一気に見てレビューを書いた。昔はPart IIが最も好きな作品だったが、今回改めて鑑賞してみて、Part Iが一番完成度が高いと変わった。その理由は良くも悪くもマーロン・ブランドの存在感ではないだろうか。(SS)


製作: 1972年 アメリカ 175分
監督: フランシス・フォード・コッポラ / Francis Ford COPPOLA
製作: 
出演: マーロン・ブランド / Marlon BRANDO, アル・パチーノ / Al PACINO, ジェームズ・カーン / James CAAN, ロバート・デュヴァル / Robert DUVALL, タリア・シャイア / Talia SHIRE, ダイアン・キートン / Diane KEATON, リチャード・ブライト / Richard BRIGHT
ジャンル: ドラマ, クライム, マフィア
鑑賞方法: DVD


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