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Thursday, January 31, 2013

剱岳 点の記 (映画) / Mt. Tsurugidake (film)



三角点。経度、緯度、標高の基準になる点のことで三角測量に用いる永久標識の事だが、本作はその三角点を前人未踏の山頂に設置して日本地図を完成させるべく、剱岳に挑んだ男たちの物語。原作はこれまでも『八甲田山死の彷徨』など、名山をテーマとした小説を書いてきた新田次郎の同名説。主演に浅野忠信、共演に香川照之、松田龍平など。

物語は日露戦争に日本が勝利を収めた明治39年を舞台に始まる。陸軍省参謀本部陸地測量部では日本地図の完成を急いでおり、最後の空白地点である剱岳の測量は柴崎芳太郎に任されることになった。一方、日本山岳会もヨーロッパ製の最新登山道具を身に付け、剱岳初登頂を狙っていた。『三角点の設置と測量』という本来の目的はいつやら隅に追いやられ、国家陸軍の威信をかけた剱岳征服は陸地測量部のみならず陸軍上層部の至上命令となっていた…。

柴崎ら測量士の一行が剱岳に頂きを目指すのは、未踏のその場所へ足跡を残すことか、日本山岳会よりも先に登ることか、それとも国家陸軍の名誉のためか。柴崎が言う。『俺達の目的は剱岳に登ることだけじゃない』。剱岳登頂の本来の目的を履き違えた陸軍幹部の圧力にも負けず、しかし剱岳の山頂制覇の向こうにある測量を全うしようとする柴崎のプロフェッショナル魂が観る者に伝わってくる。一方、登ること自体が目的と言う日本山岳会。国家陸軍による日本地図作成と登山愛好家は、単なる『仕事と趣味』以上の違いがあり、この全く異なる2つの要素を同じ土俵に上げて論じることに何の意味も見いだせず、史実はそうだとしても、脚本としては大胆なデフォルメしてもいいところかと思う。

雄大な剱岳を背景にした映像は非常に美しく畏怖の念すら覚える。しかし、わずかに挿入されるCGが余りにチープで興醒めする。また、宮崎あおい演じる柴崎の妻が発する空気感が映画全体の硬派な空気感と余りにかけ離れ過ぎて目に痛い。(SS)


製作: 2009年 日本 139分
監督: 木村大作 / Daisaku KIMURA
出演: 浅野忠信 / Tadanobu ASANO, 香川照之 / Teruyki KAGAWA, 松田龍平 / Ryuhei MATSUDA, モロ師岡 / Moro MOROOKA, 螢雪次朗 / Yukijiro HOTARU, 仲村トオル / Toru NAKAMURA, 宮崎あおい / Aoi MIYAZAKI, 小澤征悦 / Seietsu OZAWA, 鈴木砂羽 / Sawa SUZUKI, 笹野高史 / Takafumi SASANO, 石橋蓮司 / Renji ISHIBASHI, 井川比佐志 / Hisashi IGAWA, 夏八木勲 / Isao NATSUYAGI, 役所広司 / Koji YAKUSHO
ジャンル: ドラマ, ヒストリー
鑑賞方法: DVD

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