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Tuesday, May 6, 2014

マグマ (TV)



この数ヶ月、個人的にWOWOW製作の連続ドラマであるドラマWシリーズが流行っている。WOWOWは未加入で視聴は専らDVDなのが恐縮だが。WOWOWは『地上波で映像化出来ないものを映像化する』というポリシーがあるそうで、例えば地上波における大スポンサーの電力会社や大手小売などのネガティブな側面を描くドラマ…といったようなところにWOWOWが入り込む余地があるのだろう。本作は真山仁の経済小説マグマを映像化した作品。3.11の大震災以降に注目を浴び始めた自然エネルギーによる発電の一つ「地熱発電」を舞台としたドラマ。主演は尾野真千子。共演にはWOWOW常連俳優の津田寛治や谷原章介、長塚京三など。

外資系ファンドであるゴールドバーグキャピタルの敏腕マネジャー、野上妙子は社長の待田に大分県にある地熱発電や開発を専業とする「日本地熱開発」の再建を任される。バイスプレジデントに昇格したとはいえ、事実上の左遷ではないかと不満に思いつつ、妙子は会社を立て直すべく大分に乗り込む。赴任早々に大幅な社員のリストラや赤字部門閉鎖を発表するが、夢の地熱発電と言われる高温岩体地熱発電の研究一筋に生きてきた所長の御室や古参研究員からの猛反発を受ける。企業を立て直すために収益を第一に考える妙子だが、一方「日本の未来にとって絶対に必要な地熱発電を研究開発する」という御室の大局に立った考え方や、高温岩体発電の将来性を知るに連れ、妙子は次第に考えを改めていくが…。

個人的に地熱発電の蒸気設備建設プロジェクトに携わったことがあり、思い入れを強く持って視聴した。ドラマでは地元温泉組合との対立や政治家による横槍が相当に派手な形で入るが、事実も政治に振り回され、温泉組合と常に軋轢音を立ててきたのが地熱発電であり、そういったネガティブ面から目を逸らさずに描いた原作や脚本に好感が持てる。一方、地熱発電の蒸気供給面ばかりが語られ、発電もしくは電力の買い方である電力会社について一切触れられていないのは、片手落ちと言わざるを得ない。高温岩体地熱発電の実用化については、ドラマだからこそ描けるハッピーエンドとでも言うべきか。主演は朝の連ドラヒロインのイメージが強く残る尾野真千子だが、あのハマリ役ほどの輝きはなく、外資系ファンドの敏腕マネジャーという強さは感じられなかったのが残念。一方、津田寛治の配役・演技共に個人的にどツボ。如何にも居そうなファンドの辣腕マネジャーをその眼力で好演している。(SS)


製作: 2012年 日本 WOWOW
原作: 真山仁 / Jin MAYAMA『マグマ』
監督: 香月秀之 / Hideyuki KADUKI,  鈴木浩介 / Kosuke SUZUKI
出演: 尾野真千子 / Machiko ONO, 谷原章介 / Shosuke TANIHARA, 石黒賢 / Ken ISHIGURO,  津田寛治 / Kanji TSUDA, 甲本雅裕 / Masahiro KOMOTO, 釈由美子 / Yumiko SHAKU, 渡辺いっけい / Ikkei WATANABE, 大杉漣 / Ren OSUGI, 長塚京三 / Kyozo NAGATSUKA, 上川隆也 / Takaya KAMIKAWA, 升毅 / Takeshi MASU, グレゴリー・ペカー / Gregory PEKAR
ジャンル: ドラマ
鑑賞方法: DVD

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