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Monday, August 27, 2012

イングロリアス・バスターズ / Inglourious Basterds

★☆

タランティーノが描くナチス・ドイツをテーマにした戦争作品というのは少し的外れか。舞台は第2次世界対戦下のフランスで、ナチス・ドイツとユダヤ系アメリカ人で構成されたナチ狩り部隊のバスターズとの駆引きを中心にストーリーが展開するが、ナチスに家族を殺害されたユダヤ人女性やナチス・ドイツ随一のスナイパー、仕舞いにはヒトラーも登場。交錯したサブストーリーを5つの章立てにして仕上げた、タランティーノ得意の脚本技が冴える。

主人公はブラッド・ピット。2枚目の格好いい男がそのまんま格好いい役かと思いきや、そうでもない。むしろイタリア語を話すシーンの彼は完全に馬鹿男。もちろんそれはそれで良いのだが、本作でファーストクラスの存在感を発揮したのは、ナチス・ドイツのランダ大佐を演じたクリストフ・ヴァルツ。舞台かと思わせるの派手めな演技と、英語、フランス語、ドイツ語にイタリア語まで自由自在に操る知的な俳優。冒頭の掴みのシーンから最後のエンディングまでストーリーの中心に居るのは、紛れもなくクリストフ・ヴァルツだ。

バスターズの壮絶なナチ狩りシーンは、タランティーノ作品を見慣れた人ならインパクトは少ないかもしれない。ナチス・ドイツとユダヤ人という一見重そうなテーマも、設定としての重要さはあれど、ストーリーの主軸には成りえない。逆に言えば、少々軽薄な脚本でもあるが、派手な殺しに笑いと悲哀をてんこ盛りにした、タランティーノ風娯楽作品としては秀逸な出来。(SS)



製作: 2009年 アメリカ 152分
監督: クエンティン・タランティーノ / Quentin TARANTINO
製作: 
出演: ブラッド・ピット / Brad PITT, メラニー・ロラン / Melanie LAURENT, クリストフ・ヴァルツ / Christoph WALTZ
ジャンル: 戦争, アクション, R15+
鑑賞方法: 映画館, DVD

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